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くも膜下出血の治療法について

           

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くも膜下出血の治療法は、その原因によって異なっています。
ここでは、くも膜下出血の治療法やそれぞれの治療法の特徴などをご紹介します。
くも膜下出血の治療法を知りたい方にとって、有意義な内容となっています。

くも膜下出血の治療

手術
くも膜下出血は、迅速な処置が予後に関係している病気です。
そのため、CTやMRI、脳血管造影などの検査で原因を特定して、出来るだけ早く治療を始めることが重要です。
くも膜下出血は急性期の治療をした後、脳血管攣縮の予防治療が行われています。
入院期間は、軽症のくも膜下出血で治療が順調に行われた場合で2〜3週間、一般的には1~2ヶ月かかります。

脳動脈瘤破裂が原因のくも膜下出血の治療

脳動脈瘤破裂が原因でくも膜下出血が発症した場合は、再出血を防ぐことが重要です。
最初のくも膜下出血が軽症だとしても再出血してしまうと、生存率が低くなります。
命が助かったとしても、重い後遺症が残ってしまう可能性が高くなってしまうといわれています。
急性期の治療法は、血管内治療(コイル塞栓術)と開頭手術(クリッピング術)の2通りがあります。
どちらの治療法を選択するかは、破裂した動脈瘤の部位や大きさ、形状、患者の年齢や状態などによって異なります。

開頭手術:クリッピング術
頭蓋骨の一部を取り外して、手術用の顕微鏡を使って脳動脈瘤の根元を金属製のクリップで止めることで、瘤への血流を遮断する治療法です。
開頭クリッピング術は、確実性が高い治療として未破裂の脳動脈瘤にも頻繁に行われています。
しかし、脳の深部の動脈瘤に適応するのが難しいことや患者の負担が大きいことなどのデメリットもあります。
血管内治療:コイル塞栓術
血管内治療は、足の動脈から管(カテーテル)を挿入して脳動脈瘤まで到達され、脳動脈瘤の中にコイルを詰め込むことで出血を防ぐ方法です。
コイル塞栓術は、開頭や全身麻酔をする必要がないため患者の負担が少ない治療法です。
また、高齢者や脳の深部にある動脈瘤、脳が腫れていても行えるなどのメリットがあります。

しかし、数パーセントの患者に動脈瘤の再開通が認められるため、確実性は開頭クリッピング術より劣ると考えられています。

血管奇形が原因のくも膜下出血の治療

血管奇形が破裂して出血した場合は再出血する可能性が高いため、出血予防目的の手術が行われます。
血管奇形が原因のくも膜下出血の治療は、開頭手術や放射線治療、血管内治療の3種類の中から血管奇形の部位や大きさ、患者の状態などを考えた上で最適と思われる治療法が選択されています。

開頭手術
開頭手術をして異常血管を取り除きます。
異常血管を全て摘出できれば最も確実な治療法ですが、適用範囲が限定されることや患者の負担が大きいというデメリットもあります。
異常血管が脳の深い部分にあり手術が難しい場合は、血管内治療や放射線治療と組み合わせた治療や、外科手術はせずに血圧管理などの内科的治療だけを行い様子をみることもあります。
放射線治療(ガンマナイフ)
脳の深部に血管奇形があり手術で摘出することが難しいケースでは、放射線が行われています。
最も患者の負担が小さい治療ですが、治療を開始してから効果が現れるまでに半年~数年程度の時間がかかります。
異常血管が大きい場合は、放射線治療と開頭手術や血管内治療を組み合わせた治療を行うことがあります。
血管内治療
カテーテルを使って血管内に塞栓物質を詰めて、異常血管への血流を遮断する治療法です。
血管内治療だけで長期的に血流を遮断できる可能性は低いため、摘出手術時の出血を抑えるためや放射線治療の閉塞率を高めるために補助的治療として行われています。

外傷によるくも膜下出血の治療

外傷によるくも膜下出血は、基本的に手術をせずに鎮痛剤や抗痙攣薬を使って様子をみます。
脳のむくみが強い場合には、脳のむくみを抑える薬(抗脳浮腫薬)を使うことや、頭蓋骨を切除し脳圧を低下させる手術(減圧開頭術)を行うことがあります。

脳血管攣縮の予防

急性期の治療が終わったら、脳血管攣縮の予防が行われています。
血圧をやや高めに維持し、塩酸ファスジルなどの血管収縮を抑える薬を点滴し、脳血管の収縮を抑えます。
しかし残念なことですが、現在のところ脳血管攣縮を完全に予防する方法まだありません。

くも膜下出血は迅速な対処が重要

くも膜下出血は、発症してから治療までの時間が予後に大きく関係する病気のため、出来るだけ早く処置することが重要です。
また、適切な処置を受けたとしても、後遺症で苦しんでいる方が大勢います。
そのため、発症前に原因となる脳動脈瘤や血管奇形を発見して、予防することが重要となってきます。
くも膜下出血の最も大きな原因である脳動脈瘤は発見が難しいため、定期的に脳ドックなどを受けましょう。
また、発症リスクを抑えるためには、血圧をコントロールすることも大切です。
くも膜下出血は遺伝と関係するという報告もあるため、親族にくも膜下出血を発症した方がいる人は、特に注意した方がよいでしょう。

<参考>
◆ 東京大学脳神経外科:https://www.h.u-tokyo.ac.jp/neurosurg/rinsho/SAH.htm
◆ 京都大学医学部付属病院(くも膜下出血):https://neurosur.kuhp.kyoto-u.ac.jp/patient/disease/dis25/
◆ 京都大学医学部付属病院(脳動静脈奇形[AVM]):https://neurosur.kuhp.kyoto-u.ac.jp/patient/disease/dis04/
外部サイトの関連記事:くも膜下出血の予後

貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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