慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)と再生医療の効果|脳卒中・脊髄損傷|麻痺痺れなど神経再生医療×同時リハビリ™で改善

慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)と再生医療の効果

           

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この記事を読んでわかること

CIDPの病態がわかる
CIDPの治療法や副作用がわかる
再生医療のCIDPに対する効果がわかる


慢性脱髄性多発神経炎とは、末梢神経において脱髄が生じ、進行性や再発性に麻痺やしびれが生じる病気です。
厄介なことに根治する術はなく、症状が慢性化すれば神経学的後遺症を残す可能性もあるため注意が必要です。
そこでこの記事では、慢性脱髄性多発神経炎の病態や治療、再生医療との関係性について詳しく解説します。

CIDPに対する治療法とその効果

CIDPに対する治療法とその効果
慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)とはその名の通り、多発性にさまざまな末梢神経において脱髄による炎症が生じ、2ヶ月以上にわたり進行性または再発性の経過で神経症状をきたす病気です。
わかりやすいようでわかりにくいため、もう少し噛み砕いて説明していきます。
まず、神経系は脳や脊髄などの中枢神経系と、脊髄から分岐した末梢神経系の2つに大別されます。
CIDPは、このうちの末梢神経において、神経周囲を鞘のように囲う髄鞘と呼ばれる構造物が破壊されること(これを脱髄と呼ぶ)で、神経の機能が障害され、麻痺やしびれをきたす病気です。
なぜ脱髄が生じるのか、その原因は明確にはなっていませんが、現状では髄鞘に対して誤って自己抗体が作られてしまうことが原因と考えられています。
通常、体内に入ってきた細菌などの異物に対して産生される抗体ですが、誤って自身の正常な細胞を異物と誤認して抗体を作ってしまうことがあり、これを自己抗体と呼びます。
髄鞘をターゲットにした自己抗体が作られることでCIDPが発症していると考えられており、自身の免疫能力が発症の原因であるため、治療する上ではこの上なく厄介な病気です。
具体的に、CIDPに対して行われる治療法は下記の通りです。

  • ステロイド療法
  • 免疫グロブリン療法
  • 血液浄化療法

これらの治療の考え方としては、ステロイドは人の免疫機能を抑制する作用があるため、自己抗体産生を抑え込む効果が期待できます。
次に、免疫グロブリン療法とは大量の免疫グロブリンを体内に投与することで、マクロファージや炎症性サイトカインの活性化を抑制し、自己抗体の産生やそれに伴う炎症を抑制する治療法です。
最後に血液浄化療法とは、血液から自己抗体を除去し、綺麗にした血液を元の身体に戻すという治療法です。
国内では安全性や有効性の観点から免疫グロブリン療法が選択されることが多く、維持期にも選択されます。
一方で、ステロイドの長期使用はさまざまな全身性の副作用を伴うため、長期的な治療を行う上では注意も必要です。

免疫療法とその副作用と対策

免疫グロブリン療法には比較的軽い副作用と、重い副作用があります。

軽い副作用

軽い副作用としては下記のような副作用が挙げられます。

  • 頭痛
  • 悪寒
  • 筋痛
  • 発熱
  • 嘔気・嘔吐

上記のような副作用は、投与後30分以内に20〜30%程度の割合で出現しますが、基本的には一過性で、投与スピードを抑えることで消失することがほとんどです。
また、それぞれの症状に対して、消炎鎮痛剤や抗ヒスタミン薬の投与で改善することがほとんどです。

重い副作用

重い副作用としては下記のような副作用が挙げられます。

  • 血栓塞栓症
  • アナフィラキシーショック
  • 無菌性髄膜炎

先述したように、これらの副作用を考慮しても他の治療法と比較して免疫グロブリン療法は長期使用の安全性が高く、有効性も高い治療法です。
一方で、血液製剤であるため、感染因子の混入という点で問題を抱えています。

再生医療による幹細胞治療はどの程度期待できるのか

上記で挙げた治療法はどれも医学的、もしくはコスト面での課題を抱えています。
一方で、近年では新たな治療法として再生医療が非常に注目されています。
再生医療は、体内に投与した幹細胞が損傷した神経細胞へと分化し、その機能を再生・代償する治療法です。
また再生医療で用いられる脂肪由来幹細胞には、下記のような効果があります。
過剰な免疫を抑制
自己免疫の抑制
上記のような効果も自己免疫性疾患の治療として効果が期待され、今後の臨床応用が期待されるところです。

まとめ

今回の記事では、CIDPの病態や治療・再生医療との関係について詳しく解説しました。
CIDPは10万人あたり3〜5人と決して多い病気ではありませんが、一度発症すると進行性または再発性に繰り返すため、厄介な病気です。
同様に末梢神経に対する自己免疫性疾患であるギランバレー症候群は、4週間以内に症状のピークを迎え、その後は再発することはごく稀ですが、CIDPは再発や慢性化する可能性もあります。
そのため、早期から適切な治療が重要ですが、副作用の観点から長期的な治療が難しい側面もあります。
さらに、治療が遅れれば末梢神経に不可逆的なダメージが残り、神経学的後遺症を残す可能性もあります。
一方で、最近ではニューロテックメディカルでは、「ニューロテック®」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んです。
「ニューロテック®」では、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
また、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「同時刺激×神経再生医療Ⓡ」によって、CIDPの自己免疫反応や、CIDPによる神経学的後遺症の改善が期待できます。

よくあるご質問

慢性脱髄性多発神経炎は難病ですか?
慢性脱髄性多発神経炎は根治する治療法が現状見当たらない病気であり、国の定める指定難病の1つです。
そのため、症状の程度や所得に応じて、高額な医療に対する助成が行われます。

CIDPは何人に1人くらいですか?
CIDPは10万人あたり3〜5人と推定され、我が国における令和2年度の医療受給者証保持者数は約5,100人です。
年齢が上がるにつれて有病率は増加し、女性と比較して男性での発症が1.5〜2倍程度多いと言われています。

<参照元>
・慢性炎症性脱髄性多発神経炎/多巣性運動ニューロパチー(指定難病14)|難病情報センター:https://www.nanbyou.or.jp/entry/4089
・神経疾患に対する免疫グロブリン療法|J STAGE:https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/96/9/96_2046/_pdf#:~:text=IVIg治療中,治療後,日で軽快する3)%EF%BC%8E

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貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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