この記事を読んでわかること
・>くも膜下出血の手術費用は?
・くも膜下出血とは?
・くも膜下出血の治療法
くも膜下出血の手術費用は、手術方法によっても異なります。
この記事では、手術費用の目安と家族のサポートについて解説します。
くも膜下出血の手術費用や治療費の総額は?
くも膜下出血の手術法には『開頭クリッピング術』と『血管内コイル塞栓術』の2つがあり、それぞれ手術費用は異なります。
こちらでは1ヶ所のみ手術した場合の治療費例を示しました。
病院の食事や検査費用なども含んでいますので、処置内容によって変動することをご留意ください。
(参考資料[1])
開頭クリッピング術を行った場合の治療費例(1ヶ所)
70歳未満(3割負担):約65万円
70歳以上(1割負担):約22万円
高額療養費制度を利用する場合:3.54万円~約26万円
血管内コイル塞栓術を行った場合の治療費例(1ヶ所)
70歳未満(3割負担):約55万円
70歳以上(1割負担):約19万円
高額療養費制度を利用する場合:3.54万円~約26万円
くも膜下出血とは?
脳は頭蓋骨によって保護されていますが、頭蓋骨の中ではさらに、硬膜・くも膜・軟膜の3層によって覆われています。
1番外側の硬膜と、その内側のくも膜の間を『くも膜下腔』と呼び、くも膜下出血とはこのくも膜下腔に出血が起こった状態を指します。
くも膜下腔に流れ込んだ血液が脳や髄膜を圧迫し、突然激しい頭痛や嘔吐に襲われるのが特徴です。
統計上、患者の3割が良好な経過をたどり3割が後遺症を発症3割が死亡するとされています。(参考資料[2])
一度落ち着いたと思っても再出血の確率が非常に高く、再出血した場合の致死率は5割~8割以上と非常に高率です。
発症後はただちに救急車を呼び病院へ行くこと、再出血を防ぐために厳密に血圧をコントロールしながらなるべく早く手術を行うことが重要となります。
くも膜下出血の症状・原因・後遺症
症状
くも膜下出血は、何の前触れもなく症状が現れることが特徴です。
主な症状は突然の激しい頭痛で、しばしば「ハンマーで叩かれたような痛み」と表現されます。
まれに微量の出血により軽い頭痛が生じることがありますが、症状が軽いのでくも膜下出血とは思わず見逃す方が多いです。
そのほかの症状は吐き気、嘔吐、意識障害などで、重症の場合は頭痛が起きたのちそのまま意識を失い死に至ることもあります。
また、くも膜下出血において最も危険なのは放置しておくと再出血を繰り返し、その度に死亡率が大幅に上昇していく点です。
出血がおさまると一旦症状も落ち着きますが、それはカサブタができて止血されたからに過ぎません。
何かの拍子でカサブタがはがれると再び出血し、死亡率も5割~8割以上まで上昇します。
血圧が上昇すると再出血のリスクが高くなるので、発症後は病院で血圧をコントロールしてもらいながら手術に備えることが重要です。
原因
くも膜下出血の8割~9割は、「脳動脈瘤」と呼ばれる脳の動脈にできた「こぶ」からの出血が原因です。
脳動脈瘤の原因は完全には分かっていませんが、遺伝や高血圧、動脈硬化が関与していると考えられています。
高血圧や動脈硬化を引き起こすのは、以下のような要因です。
- 多量の飲酒
- 喫煙
- ストレス
- 塩分の取りすぎ
- 運動不足
- 肥満
- 加齢
そのほか、先天的な血管の奇形があると血管が弱くなりくも膜下出血につながる場合もあります。
後遺症
くも膜下出血は、症状が軽度だった場合は今までと同じ生活を送ることも可能です。
しかし、出血によって脳が損傷を受けた場合その領域の脳が機能しなくなり、後遺症が残ります。
後遺症は脳のどの部分が損傷を受けたかで異なりますが、おおよそ以下のような症状となります。
後遺症の種類 | 主な症状 |
---|---|
運動障害 | 左右どちらかの手足が動かなくなる |
感覚障害 | 手足がしびれたり、感覚がなくなったりする |
言語障害 | 言葉が浮かんでこない、言葉が理解できない、文字が書けない、うまく話せない |
嚥下障害 | 食べ物や飲み物をうまく呑み込めなくなる |
排尿障害 | 尿意を感じなくなりトイレに間に合わなくなる、尿が出なくなる |
視野障害 | 視野が狭くなる、物が二重に見える、片目だけ見えにくくなる |
高次脳機能障害 |
・言っていることは分かるけど話せない、話せるけど言っていることは理解できない ・服の着方が分からなくなる ・記憶が思い出せない、新しいことを覚えられない ・集中できない ・計画性がなくなる ・判断力が低下する など |
精神症状 |
・うつ状態 ・不安 ・感情が不安定になる ・意欲の低下 ・せん妄・幻覚など |
くも膜下出血の治療法
開頭クリッピング術
『開頭クリッピング術』は、破裂した動脈瘤に再び血液が流れ込まないよう動脈瘤の根本をクリップで止めてしまう手術です。
開頭という名の通り、頭部を切開して動脈瘤に直接アプローチします。(参考資料[3])
動脈瘤を直接目で見ることができるので確実性が高く、再発リスクが低いのが特徴です。
一方、正常な血管や神経を傷つけるリスクや、頭部切開や全身麻酔による体への負担も考慮する必要があります。
血管内コイル塞栓術
『血管内コイル塞栓術』は、動脈瘤の中に細いコイルをくるくると詰め、再び血液が流れ込んでくることを防ぐ手術です。
コイルは、太ももの血管から脳まで通したカテーテルを伝って詰められます。
頭部の切開がいらないので場合によっては局所麻酔だけで済み、体へのダメージが少ないことが大きな特徴です。
一方、コイルはX線透視画像を見ながら挿入する必要があるため、術者の技術が重要となります。
術後リハビリ
手術後は状態が変化しやすいため、リハビリは状態を観察しながら無理なく進めていきます。
くも膜下出血の再発を防ぐためにも、手術後2週間程度はベッド上でリハビリを行うのが一般的です。
問題がなければ徐々に歩行訓練なども行っていき、後遺症が残ってしまった場合は退院後もリハビリを継続します。
基本的に一度死んでしまった脳細胞は再生しませんが、近年では『再生医療』によって細胞を再生させ、後遺症を軽減することも可能です。
くも膜下出血患者の家族ができること
くも膜下出血の患者さんは、手術後も後遺症と向き合っていかなければなりません。
体が思うように動かない、思うように話せないなどといった身体的な症状や、うつ症状や落ち込みといった精神的な症状が表れます。
誰より辛いのは患者さんご自身なので、ご家族は患者さんがマイペースに物事を進められるようサポートしてあげることが大切です。
リハビリの際に理学療法士にも相談しながら、ご家族も一緒に患者さんのサポート法を習得していきましょう。
また、近年では人の細胞を再生させる『再生医療』も発展しています。
中でも『幹細胞』は、新しい細胞に分化して組織を再生する能力があり、一度損傷した脳組織の治療法として注目されています。
本院では『骨髄由来幹細胞点滴』を実施しており、脳卒中患者さんからも「後遺症が軽くなった」との声をいただいています。
くも膜下出血の後遺症を軽くしたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
食事や検査内容などによっても変動するので、必ず病院でご確認ください。
『開頭クリッピング術』や『血管内コイル塞栓術』を行った後は、リハビリで日常生活への復帰を目指します。
以前のような生活が難しくなることもあるので、ご家族のサポートが必須です。
本院は再生医療に特化しており、くも膜下出血の後遺症を改善する『骨髄由来幹細胞点滴』も実施しています。
くも膜下出血の後遺症で不安を抱えている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
【参考資料】
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