この記事を読んでわかること
目の奥の痛みが出る疾患がわかる
脳梗塞で目の奥が痛くなる原因がわかる
目の奥の痛みが出た際の対処法がわかる
目の奥の痛みはさまざまな疾患で出現しうる症状であり、多くの場合は結膜炎や角膜炎など比較的緊急性の低い眼科疾患であることが多いです。
一方で、急性緑内障発作や脳梗塞・脳腫瘍などの緊急性の高い疾患でも起こりうる症状であるため、注意が必要です。
そこでこの記事では、目の奥の痛みと脳梗塞の関連性や対処法について詳しく解説します。
目の奥の痛みが示す脳梗塞の初期症状とは
急に目の奥に痛みを感じた場合、その多くは眼科疾患であることが多いですが、稀に脳梗塞の初期症状としても生じる可能性があるため、注意が必要です。
では、なぜ脳梗塞で目の奥に痛みが生じるのでしょうか?
心臓から分岐した大動脈は全身に血液を届ける血管ですが、まず脳に3本の動脈(腕頭動脈・左総頸動脈・左鎖骨下動脈)を分岐させます。
このうち、腕頭動脈は右総頸動脈⇨右外頸動脈・右内頸動脈に分岐し、右内頸動脈から右目への眼動脈が分岐します。
一方で、左総頸動脈は左外頸動脈・左内頸動脈に分岐し、右側と同様に左内頸動脈から左目への眼動脈が分岐する構造です。
脳梗塞とは血管が動脈硬化によって狭窄したり、心臓内に形成された血栓が大動脈を介して脳血管を閉塞させる疾患であるため、これらの病態によって眼動脈への血流が途絶すると、急激な視力・視野障害や、時に目の奥の痛みを訴えることがあります。
また、この場合は他にも麻痺やしびれ、立ちくらみ、頭痛、嘔気、構音障害、嚥下障害、顔面の麻痺など、さまざまな神経症状をきたす可能性もあるため、注意が必要です。
脳梗塞以外で目の奥に痛みを引き起こす疾患一覧
脳梗塞以外で目の奥に痛みを引き起こす疾患一覧は下記の通りです。
- 脳腫瘍
- 副鼻腔炎
- 片頭痛
- 群発頭痛
- 筋緊張性頭痛
- 眼精疲労
- ドライアイ
- 急性緑内障発作
- 視神経炎
- 角膜異物
- 麦粒腫
- 霰粒腫
- 結膜炎
- まつげ内反
上記のうち、副鼻腔炎や眼精疲労・ドライアイ・角膜異物・麦粒腫・霰粒腫・結膜炎・まつげ内反などの一般的な眼科疾患や、片頭痛・群発頭痛などは、特に緊急性はなく、また命に関わるような病態でもありません。
一方で、脳腫瘍・急性緑内障発作・視神経炎などは特に緊急性が高い疾患です。
脳腫瘍は時間の経過とともに腫大し、正常な脳細胞を圧排するため、重篤な神経症状をきたす原因となる上に、時間の経過とともに全身に転移すれば死亡する可能性も顕著に高まります。
次に、急性緑内障発作とは緑内障の急激な増悪であり、急激に眼圧が上昇することで眼痛や嘔気・頭痛などの症状をきたします。
最悪の場合、一晩で失明に至る可能性もあるため、やはり緊急性は高い病気です。
最後に、視神経炎という病気は視神経を構成する神経細胞に対する自己免疫性疾患であり、自身の免疫細胞が異物と誤認して誤って視神経を攻撃してしまう病気です。
基本的には自然寛解する病気ですが、放置すれば徐々に視力が低下し、最悪失明の可能性もあるため、早期から適切な治療を受ける必要があります。
このように、目の奥の痛み=目の病気と決め付けず、まずは医療機関での精査を受けることが重要です。
目の奥の痛みを感じたときの適切な対処法と受診の目安
では、具体的にどのような対処法を取るべきなのでしょうか?
症状次第で取るべき対処法も異なりますが、単純に目の奥の痛みのみを認め、頭痛や嘔気などの随伴症状を認めない場合、まずは鏡で直接目を見てみましょう。
表面的に異常を認めれば眼科疾患の可能性が非常に高いため、早急に眼科を受診するべきです。
また、目の痛みが生じるようなイベント(ぶつけたり、何か目に入ったなど)に心当たりがある場合も眼科受診が適切です。
頭痛や嘔気に加え、麻痺や痺れなどの神経症状を認める場合は、神経疾患の可能性が高いため、早急に神経内科を受診しましょう。
どちらにせよ、目の奥の痛みは緊急度の高い疾患を発症している可能性が高いため、自己判断で済ませず、気になることがあれば必ずすぐに医療機関を受診すべきです。
まとめ
今回の記事では、目の奥の痛みと脳梗塞の関連性について詳しく解説しました。
脳梗塞は脳を栄養する血管が何らかの原因で閉塞する疾患であり、脳を栄養する血管の一部は目を栄養する血管も含むため、脳梗塞によって目が虚血状態になる可能性があります。
その結果、頭痛や嘔気とともに、目の奥の痛みや視野障害をきたす可能性があるため、注意が必要です。
他にも、目の奥の痛みをきたす疾患には急性緑内障発作や脳腫瘍など、緊急性の高い疾患も多いため、自覚したら医療機関を受診すべきです。
もし目の奥の痛みが脳梗塞によるものであり、対処が遅れれば麻痺・痺れなど、さまざまな後遺症を残す可能性もあります。
現状ではこれらの後遺症に対してリハビリテーションでの改善を目指すしか術がないため、やはり早期受診が肝要です。
一方で、近年では脳梗塞による後遺症に対する新たな治療法として再生医療が大変注目されています。
ニューロテックメディカルでは、「ニューロテック®」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んです。
「ニューロテック®」では、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
また、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「同時刺激×神経再生医療Ⓡ」によって、これまで改善の困難であった脳梗塞後の後遺症の改善が期待できます。
よくあるご質問
- 目の奥が重いのは脳梗塞の症状ですか?
- 目の奥が重いのは脳梗塞の症状としてあり得ます。
脳梗塞によって眼球に血液を送る眼動脈の血流が低下した場合、目の奥が痛くなったり、重みを感じることがあるため、注意が必要です。 - 目の痛みは脳神経に関係していますか?
- 目の神経=視神経と思われがちですが、視神経はあくまで視覚を司っているだけです。
目の表面の痛みなどの知覚は、脳神経の1つである三叉神経が司っており、三叉神経の1つである眼神経が痛みを感知しています。
<参照元>
(1):「目が痛い(眼痛)」原因と考えられている病気一覧|日本眼科学会:https://www.nichigan.or.jp/public/disease/symptoms.html?catid=73
(2):閉塞隅角緑内障|MSDマニュアル:https://www.msdmanuals.com/
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