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脊髄損傷後の機能回復と予後のQOL向上に再生医療は寄与するのか

           

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この記事を読んでわかること

脊髄損傷後のリハビリテーションが、急性期から回復期、維持期に分かれていることがわかる。
幹細胞治療の最新研究が進展しており、特にiPS細胞やmRNA技術、バイオプリンティングが注目されていることがわかる。
社会復帰プログラムが生活の質の向上と社会生活への復帰を目指していることがわかる。


脊髄損傷後には、長期的な機能回復に向けたリハビリテーションプログラムが大切です。
この記事では、急性期から回復期、維持期までの具体的な訓練内容と、幹細胞治療の最新研究、社会復帰プログラムを紹介し、多面的なアプローチで生活の質を向上させる方法を探ります。
ぜひ参考にしてみてください。

長期的な機能回復のためのリハビリテーションプログラム

長期的な機能回復のためのリハビリテーションプログラム
脊髄損傷後、長期的な機能回復のために効果的と考えられるリハビリテーションについて解説していきます。

初期段階:急性期リハビリ

二次的な合併症を防ぐことと、早期の機能回復を促すことが目標となります。
早期の起床・移動訓練で、ベッドから車椅子への移動訓練や、短時間の歩行訓練を行います。
また、呼吸リハビリとして、深呼吸や咳を誘導する訓練を行い、肺炎や呼吸器合併症を予防します。

回復期:機能回復リハビリ

残存機能の最大限の活用と神経再生の促進を目標とします。
運動療法では、抵抗運動やウェイトトレーニングを通じて、筋力の強化を図ります。
筋電図(EMG)フィードバックを活用することもあります。
また、ストレッチなどで、関節の柔軟性を高めます。
また、バランスボードや体幹安定化訓練を行い、体のバランスを改善します。
作業療法では、食事、着替え、入浴、トイレ動作など、日常生活動作の訓練を行います。
また、グリップ強化や細かい動作の訓練を通じて、日常生活での手の使用方法を改善します。
物理療法では、電気刺激療法といって筋肉の再活性化や痛みの緩和を目的とした電気刺激を用います。
血流の改善や筋肉の緊張緩和を図るため、温熱療法を行うこともあります。
関節への負担を軽減し、リラックス効果を得るために水中での運動も効果的です。

維持期:社会復帰プログラム

目標は社会生活への復帰と生活の質の向上です。
職業リハビリとして、仕事に復帰するために必要なスキルを習得します。
新しい職業への転換支援も行います。
職場の物理的環境や仕事の内容を調整し、復帰を支援することも大切です。
社会福祉支援として福祉サービスの利用も効果的です。
公的な福祉サービスを利用することで、生活の質を向上させます。
そして、地域のコミュニティ活動に参加し、社会的なつながりを持ち続けます。

生活の質を向上させるための多面的アプローチ

脊髄損傷後の生活の質を向上させるためには、リハビリだけでなく、多面的なアプローチが求められます。

  1. 社会的サポート: 家族や友人のサポートが重要です。コミュニティ支援やサポートグループも利用しましょう。
  2. 環境の適応: 車椅子や補助具の使用、住環境のバリアフリー化などが生活の質を向上させます。
  3. 職業復帰: 職業リハビリテーションを通じて、仕事への復帰を支援します。
    仕事は社会的なつながりや自己肯定感を高める重要な要素です。

幹細胞治療の最新研究と実用化の進展

幹細胞治療は、自己複製能力と多分化能を持つ幹細胞を用いて、損傷した組織や臓器の再生を促進する治療法です。
特に、脊髄損傷に対する幹細胞治療は、神経細胞の再生や機能回復を目指しています。
以下に、幹細胞治療に関する最新の研究トピックを紹介します。

1. 多能性幹細胞(iPS細胞)の利用

PS細胞(誘導多能性幹細胞)は、体細胞に特定の遺伝子を導入することで多能性を持つ細胞に変化させたものです。
これにより、個々の患者から得た細胞を用いて個別化治療が可能となります。
また、iPS細胞を用いた神経細胞の再生研究が進んでおり、動物実験では神経機能の部分的な回復が報告されています。

2. メッセンジャーRNA(mRNA)技術の応用

mRNA技術は、遺伝子を直接操作せずに、細胞に必要なタンパク質を生成させる方法です。
この技術は、幹細胞の分化誘導や再生を促進するために利用されています。
そして、このmRNA技術を用いた幹細胞治療の研究が進んでおり、初期の臨床試験でも安全性と有効性が確認されつつあります。

3. 組織工学との連携

バイオプリンティング技術という、3Dプリンティング技術を利用して、幹細胞を含む組織構造を作成する方法があります。
これにより、損傷した脊髄部分の再生が可能となることが期待されています。
バイオプリンティングを用いた研究が進んでおり、特定の神経構造を再現する試みが行われています。
そして、幹細胞治療の実用化に向けた進展は以下の通りです。

1. 臨床試験の進行

多くの研究が初期の臨床試験段階にあり、安全性と有効性を検証しています。
これらの試験は、主に動物モデルを用いた臨床研究に基づいています。

2. 規制と倫理の問題

幹細胞治療の実用化には、各国の規制当局による厳格な評価と承認が必要です。
これにより、安全性と有効性が確保されます。
また、幹細胞治療には倫理的な問題も含まれます。
特に、胚性幹細胞の利用に関する議論が続いています。

3. 商業化と普及

大手製薬企業が幹細胞治療の研究と開発に参入しており、実用化に向けた取り組みが加速しています。
一方で、幹細胞治療は高コストであるため、普及にはコスト削減と保険適用の拡大が重要です。

まとめ

今回の記事では、脊髄損傷後のリハビリテーションと再生医療について解説しました。
当院ニューロテック、脳梗塞脊髄損傷クリニックなどでは、脳卒中・脊髄損傷を専門として、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
リニューロ®では、同時刺激×神経再生医療®、骨髄由来間葉系幹細胞を用いて狙った脳や脊髄の治る力を高めた上で、神経再生リハビリ®を行うことで神経障害の軽減を目指します。
脊髄損傷後の再生医療を組み合わせたリハビリテーションにご興味のある方は、ぜひ一度当院までご相談くださいね。

よくあるご質問

脊髄損傷で障害者手帳は何級になりますか?
脊髄損傷による障害者手帳の級は、損傷の程度や機能の喪失具合によって異なります。
一般的には、重度の脊髄損傷の場合、一級または二級に該当することが多いですが、詳細な判定は医師の診断と自治体の評価に基づきます。

脊髄損傷は完全に回復できますか?
脊髄損傷の完全な回復は現在の医療技術では難しいとされています。
しかし、リハビリテーションや幹細胞治療などの進展により、機能の一部回復や生活の質向上が期待されています。
早期のリハビリと継続的な治療が重要です。

<参照元>
Nas K, Yazmalar L, Şah V, Aydın A, Öneş K. Rehabilitation of spinal cord injuries. World J Orthop. 2015 Jan 18;6(1):8-16. doi: 10.5312/wjo.v6.i1.8. PMID: 25621206; PMCID: PMC4303793.:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4303793/
Aderinto N, Abdulbasit MO, Olatunji D. Stem cell-based combinatorial therapies for spinal cord injury: a narrative review of current research and future directions. Ann Med Surg (Lond). 2023 Jul 3;85(8):3943-3954. doi: 10.1097/MS9.0000000000001034. PMID: 37554849; PMCID: PMC10406006.:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10406006/
神経系統の機能又は精神の障害に関する障害等級認定基準関係資料 厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/11/s1120-10g1.html

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貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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