この記事を読んでわかること
・くも膜下出血とは?
・くも膜下出血で死亡する理由
くも膜下出血は、脳内の動脈瘤が破裂して発生する、非常に重篤な疾患です。
死亡率も高く、くも膜下出血を発症した方の約25%は、発症後24時間以内に亡くなっています。
治療のために入院しても、約40%は入院して1ヶ月、さらに約50%は最初の6ヶ月で死亡しています。
再出血、脳血管攣縮、脳室内出血などが、死亡率をさらに高くする原因となっています。
くも膜下出血とは?
くも膜下出血は、脳卒中の一種です。
高血圧や動脈硬化が原因となってできた脳動脈瘤が、何らかのきっかけで破裂してしまうことが、発症の一般的な原因です。
そのほか、頭部への外傷が原因となることもあります。
そもそも脳動脈瘤は、脳内の動脈の一部が膨らんだものですが、破裂するとくも膜下腔と呼ばれる脳と頭蓋骨の隙間の空間に出血します。
動脈からの出血は非常に勢いが強く、そのために激しい頭痛を引き起こすだけでなく、一気に全身の状態が悪化していく特徴があります。
場合によっては、発症直後に亡くなることもあり得ます。
くも膜下出血で死亡する理由
くも膜下出血で亡くなる原因について説明します。
その多くは出血そのものの直接的な影響です。
これは動脈から強い勢いで出血するため、脳内が瞬時に血液で満たされてしまい、私たちの生命を維持するために必要な脳の機能が障害を受けてしまうことになります。
特に呼吸機能が維持できなくなり、呼吸が止まってしまうこともあります。
そのほかにも、再出血や脳血管攣縮、さらには脳室内出血などが、くも膜下出血後の死亡に影響を与えています。
また、くも膜下出血後に自立して生活できなくなることに起因して、誤嚥性肺炎や尿路感染症など、内科的な合併症を発症して亡くなる方もおられます。
くも膜下出血の死亡率
次に、くも膜下出血に関係する死亡率についてご紹介します。
くも膜下出血発症直後急の死亡率
まず、くも膜下出血を発症すると、10-15%の方は病院に到着する前に死亡すると推定されています。
また、くも膜下出血を発症した方の約25%、つまり4分の1の方は治療の有無にかかわらず、24時間以内に死亡しています。
くも膜下出血発症後半年までの死亡率
くも膜下出血で入院した患者は、発症してから最初の1ヶ月で平均40%が死亡していると報告されています。
さらに約半数は、最初の6ヶ月で死亡しています。
なお、くも膜下出血後亡くなることがなかったとしても、3分の1以上はかなり重篤な神経学的後遺症を有していると言われています。
くも膜下出血後の再出血による死亡
くも膜下出血の主要な合併症である再出血を起こすと、51-80%が死亡しています。
再出血の発生率は、くも膜下出血を発症してから最初の2週間で最も高くなります。
特に最初の24〜48時間以内がピークで、その後12〜13日間は1日当たり1.5%程度の割合で発生することがわかっています。
最初の30日間を過ぎると、向こう10年間の再出血の発生率は、年間1.5%程度に減少します。
6ヵ月後の再出血率は3%程度で、20年後の死亡率は67%であったという報告もあります。
くも膜下出血後の脳血管攣縮による死亡
くも膜下出血後に発症する脳血管攣縮が原因となる遅発性虚血は、動脈瘤性くも膜下出血後の死亡や後遺症の原因となります。
動脈瘤性くも膜下出血患者の10-20%は遅発性脳虚血を起こし、生涯改善することのない神経学的後遺症の原因となり、さらに死に至る原因になるとされています。
遅発性脳虚血という合併症が、死亡や後遺症の原因として14-32%を占めています。
脳血管攣縮を有する方の約15-20%は、医学的治療を最大限に行ったとしても、7-10%の死亡率になると言われています。
くも膜下出血後の脳室内出血による死亡
くも膜下出血後に脳室内出血を起こすこともあります。
動脈瘤が破裂したくも膜下出血の方の13~28%にみられる脳室内出血は、予後が悪くなる主要原因です。
脳室内出血を起こすと、脳室内の髄液がうまく流れなくなり、水頭症を発症するリスクが高くなります。
ある研究では、脳室内出血は全死亡例の64%と関連していました。
くも膜下出血の死亡に影響を与える因子
くも膜下出血発症後の死亡率に影響を与える要因は、以下の通りです。
- 広範囲の出血
- 再出血の発生
- 血管攣縮の発生
- 脳室内出血の発生
- 感染症、肺水腫などの合併症の発症
- 喫煙歴
- 脳動脈瘤の位置など
これらが生じると、死亡率が高くなってしまいます。
まとめ
くも膜下出血の死亡率について、さまざまな角度からご紹介しました。
医学が進歩した結果、くも膜下出血の死亡率は年々低下していますが、依然として神経学的に大きなダメージを残す可能性のある、重篤な病気であることに変わりはありません。
出来る限り発症しないように、高血圧や喫煙などの危険因子の管理をすることを絶えず意識したいものです。
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