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若年発症閉じ込め症候群とは

           

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若年性閉じ込め症候群は、比較的若い人が何らかの疾患により意識ははっきりしつつも四肢の動きや発語などの機能を失ってしまった状態です。
根本的な治療法は、現時点で明確に確立されていません。
この状態は通常、脳幹の損傷によって引き起こされるため、治療は症状の管理と患者の生活の質の向上に焦点を当てることが一般的です。

若年発症閉じ込め症候群の特徴

閉じ込め症候群
閉じ込め症候群は、眼球の上下運動や開眼以外の機能が失われ、意思疎通の方法がほとんどなくなってしまう状態を指します。
Locked-in syndrome」とも呼ばれます。下位の脳神経麻痺で顔面下部の運動、咀嚼、嚥下ができなくなります。
また、四肢麻痺もあり、手足を自身の意図で動かすこともできません。僅かな眼球と眼瞼の動きを利用して、何とか意思疎通を図ります。
閉じ込め症候群の予後は閉じ込め症候群に至った疾患や症状、身体含む全身管理の状態に大きく左右されます。
報告の上では肺炎や敗血症などにより発症後1年以内に不幸な転帰をとることが多いとされています。
若年発症閉じ込め症候群は、比較的若年の人に発症した場合を指します。
厳密に年齢は定義されておりません。
若年性の場合は急性期の適切な治療により回復する例も散見されます。
原因疾患の探索、治療、合併症の予防、コミュニケーション方法の検討を行いつつ、診療にあたることが望まれます。

若年発症閉じ込め症候群の原因と予防策

閉じ込め症候群の最も多い原因は脳卒中(橋の出血、梗塞)です。
若年性脳梗塞も近年注目されていますが、やはり動脈硬化の影響は比較的少ないと考えられるので、その他の原因が多くなると考えられます。
他の原因、疾患としては感染症(ウイルス性脳炎やギラン・バレー症候群など)、脳腫瘍、薬物、外傷、血管奇形、多発性硬化症などがあります。
閉じ込め症候群は橋の病変により起こることが多いので、これらの疾患にかかることが即ち閉じ込め症候群となるわけではありません。
上記の通り若年性閉じ込め症候群は様々な疾患による後遺症を指すので、特異的な予防方法はありません。
原因となりうる外傷、血管奇形、多発性硬化症、脳腫瘍などは生活の仕方の影響は少ないので、予防はなかなか難しいです。
一方で脳卒中やギラン・バレー症候群など予防できる可能性があるものもあります。
脳卒中の場合は高血圧や糖尿病などの危険因子の管理をしっかり行い、発症した際には早期の治療により後遺症が軽減される可能性があります。
ギラン・バレー症候群では先行感染を予防するために、肉は必ず火を通して食べる、手指衛生をしっかり行うなどの行動を取ることができます。

再生医療による若年発症閉じ込め症候群治療の可能性

若年性閉じ込め症候群は単一の疾患が原因ではないので、閉じ込め症候群に限った治療法というのはありません
各疾患に対する治療を行う必要があります。例えば脳卒中の場合には血栓溶解療法や二次予防(抗血小板薬や抗凝固薬)を行うことになるでしょう。
ギラン・バレー症候群では免疫グロブリンによる治療、多発性硬化症にはステロイドパルス療法や疾患修飾薬などがあります。
これらに加えて、近年では再生医療が注目されています。
当院でもニューロテック®として導入している間葉系幹細胞治療は麻痺の程度を改善させ、日常生活動作のレベルを上げる効果があると報告されています。
閉じ込め症候群へ投与した報告はまだありませんが、大脳半球の脳梗塞には効果が報告されていること、安全性には問題がないことから閉じ込め症候群への期待も大きいです。
多発性硬化症に対しても幹細胞治療が病状の進行を食い止め、症状を改善させることが分かっています。
部位は異なっても病態が同じであれば、閉じ込め症候群にも効果が期待されます。
特に多発性硬化症の好発年齢は30歳前後であり、若年性閉じ込め症候群が発症した場合の罹病期間は長くなるので今後も更なる研究を望みます。

まとめ

若年性閉じ込め症候群には確立した予防法も治療法もありません。
しかし、罹病期間が長くなることが予想されるので、急性期の治療がきちんと行われ、少しでもコミュニケーションができるような検討をすることが重要になります。
原因疾患によっては再生医療が効果があるかもしれません。
当院ではニューロテック®を脳卒中後遺症の方に対して行ってきた実績があります。
単なる治療だけでなく、同時に先進機器も併用する再生医療×同時リハビリ™で患者様のニーズに応えます。
再生医療や疾患修飾薬など今後も医療の発展に注目したいものです。

Q&A

閉じ込め症候群の症状は?
閉じ込め症候群の症状は四肢や下位脳神経の麻痺が主です。意識は覚醒しており認知機能も保たれていますが、顔面下部の運動、咀嚼や嚥下、呼吸や四肢の運動を行う事ができず、コミュニケーションの手段も限られます。

ALSの閉じ込め状態とはどういう状態ですか?
筋萎縮性側索硬化症(AmyotrophicLateralSclerosis:ALS)の閉じ込め状態とは、疾患の進行により意識や認知機能に問題はないものの、四肢や顔面を動かす事ができず、眼球運動だけが保たれた状態です。開眼もできなくなった状態を完全閉じ込め症候群と呼びます。

あわせて読みたい記事:閉じ込め症候群の謎
<参照元>
橋梗塞による若年発症閉じ込め症候群の1長期療養例:https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.1436902139
完全閉じ込め症候群(TLS)となったALS患者のコミュニケーション−脳波(ERP)を用いたAndroidスマートフォンアプリの開発:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jnse/6/2/6_63/_article/-char/ja/


貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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