脳卒中治療の進化 | 再生医療|脳梗塞・脊髄損傷の後遺症を幹細胞治療で改善|ニューロテックメディカル

脳卒中治療の進化

           

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この記事を読んでわかること

脳卒中の治療法の現状と進化について
脳卒中の危険因子にはなにがあるかということ
脳卒中治療における再生医療の目的や効果


脳卒中は脳梗塞や脳出血、くも膜下出血の総称です。
主な原因は高血圧であり、脳卒中の予防においては血圧のコントロールが大切です。
今回の記事では、現在主流となっている脳卒中治療について、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血に分けてそれぞれ詳しく解説し、再生医療が脳卒中の後遺症に与える効果についても触れていきます。

現代の脳卒中治療の概要

脳卒中
脳卒中とは、脳の血管が詰まる脳梗塞や脳の血管が破れる脳出血、くも膜下出血の総称です。
脳卒中の危険因子にはいろいろなものがありますが、共通するリスクとして高血圧があります。
ここでは、まず現代の脳卒中の治療の概要について簡単に解説していきます。

脳梗塞の治療

現在の脳梗塞の治療としては、血栓を溶かす治療薬であるrt-PA(遺伝子組み換え組織型プラスミノゲン・アクチベータ)を用いた経静脈的線溶療法や、カテーテルを用いた経動脈的血行再建療法があります。
これらの治療法によって脳梗塞が完治する可能性が高くなっていますが、症状が出てからすぐに行わないと効果がありません。
目安は線溶療法で4時間半以内、血行再建療法で6時間以内とされていますが、現在治療できる時間を拡大する努力がなされています。

脳出血の治療

脳出血の治療としては、大まかには薬物治療と手術治療があります。
薬物治療では、血圧を適切に下げるような降圧薬や、脳の腫れを抑えるような点滴を行います。
また、全身治療として呼吸を補助することもあります。
手術治療としては、頭の骨を削って外し、顕微鏡を使って出血を治療する「開頭術」や、頭の骨にドリルで小さな穴をあけてそこから内視鏡(数ミリの細いカメラ)を挿入して血液を取り除く「内視鏡手術」などがあります。
出血の部位や大きさによって、適切な手術が行われます。

くも膜下出血の治療

くも膜下出血の急性期治療には、脳動脈瘤クリッピング術や脳動脈瘤コイル塞栓術があります。
脳動脈瘤クリッピング術は全身麻酔の手術となり、頭皮を切開し、頭蓋骨を一部取り外してくも膜下腔を経由して脳動脈瘤に到達し、動脈瘤にクリップをかけます。
脳動脈瘤コイル塞栓術も、全身麻酔で行われることがほとんどです。
太ももの付け根から動脈に管を入れ、血管の中から動脈瘤に到達し、治療用の細いカテーテルを用いて動脈瘤をプラチナ製のコイルで詰めていきます。

再生医療の役割と脳卒中治療

脳血管障害の中では脳梗塞が過半数を占めています。
脳梗塞に対するrt-PAは、その治療有効期間は原則として脳梗塞発症後3時間以内に限られています。
そのごく短い治療可能期間を過ぎると、リハビリテーションを行っても、完全にもとのような機能に改善することは困難と言えます。
そのため、新しい治療法として、再生治療が現在注目を集めています。
再生医療では、障害された脳神経の再生や血管そのものの修復が期待できます。
そのため、脳卒中治療においては、障害を受けた脳の部位の血流改善をはかり、脳の機能の回復にもつながる、新しい治療法とも言えるのです。

脳細胞の再生と脳卒中治療の未来

先に述べたように、脳卒中治療においては、超急性期治療の開発と同時に、後遺症などのリハビリを行っていく段階、すなわち慢性期の後遺症治療が今後ますます求められていくでしょう。
例えば、北海道大学脳神経外科の脳梗塞再生医療では、2001年から自家骨間葉系幹細胞(MSC)による再生医療を研究し、亜急性期(発症してから約2ヶ月)に対して、開発したMSC製品を直接脳内投与する、という幹細胞治療の治験を実施しました。
その結果、個人差はあるものの、患者さんが自力で歩けるようになったという例もあったとのことで、有効性が期待できる結果となったと報告されています。
この研究は一例ですが、今後ますます脳細胞の再生を促すための再生医療は、脳卒中治療にとって重要なものとなっていくことが予想されます。

まとめ

今回の記事では、現在の脳卒中治療や、今後ますます需要が高まるであろう再生医療について解説しました。
当院でも、脳血管障害後の後遺症に対するリハビリテーションと再生医療を組み合わせた「同時リハビリ×再生医療™」などの再生医療を提供しています。
脳卒中の後遺症にお悩みの方や、再生医療にご興味のある方は、ぜひ一度お問い合わせください。

Q&A

脳卒中が治る確率は?
脳卒中の再発率は、発症後1年で12.8%、5年で35.3%、10年で51.3%というデータもあります。つまり、脳卒中の患者さんのうち、2人に1人は10年以内に再発しているということになります。脳卒中が治るということは、再発せずに経過するという意味でもあるかと思いますので、ぜひ参考にしてみてください。

脳出血の後遺症は治る?
脳出血の後遺症は、出血が起こった場所や発症した時の症状の重さと、強い関係があります。 そのため、最初の脳出血での症状が重い場合は完全に症状をなくすことは難しいですが、早期からのリハビリテーションを始めることによって、症状を改善することができる可能性はあります。

あわせて読みたい記事:再生医療と脳卒中の新たな可能性
<参照元>
脳血管障害・脳卒中 | e-ヘルスネット(厚生労働省):https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-006.html
脳内出血 – 脳神経外科教室 京都大学医学部附属病院:https://neurosur.kuhp.kyoto-u.ac.jp/patient/disease/dis24/
くも膜下出血 – 脳神経外科教室 京都大学医学部附属病院:https://neurosur.kuhp.kyoto-u.ac.jp/patient/disease/dis25/
PRESS RELEASE 2021/8/6 脳梗塞に対する再生医療等製品の研究開発脳卒中の再発予防:https://www.huhp.hokudai.ac.jp/wp-content/uploads/2021/08/release_20210806.pdf

貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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