手の巧緻性の低下とは?原因と対策を徹底解説 | 脳卒中・脊髄損傷|麻痺痺れなど神経再生医療×同時リハビリ™で改善

手の巧緻性の低下とは?原因と対策を徹底解説

           

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この記事を読んでわかること

巧緻性の意味する具体的な動作がわかる
パーキンソン病や整形外科疾患で巧緻性が低下するメカニズムがわかる
巧緻性改善のためのトレーニング方法がわかる


手先や指先を自分の意思通り、上手に動かすことのできる能力を巧緻性と言います。
パーキンソン病や頚椎症性脊髄症などの疾患では、巧緻性が低下することで手指が思うように動かなくなるため、日常生活のさまざまな動作に支障をきたします。
そこでこの記事では、巧緻性低下の原因や対策・具体的なトレーニング方法などについて詳しく解説します。

パーキンソン病が引き起こす手の巧緻性の低下

パーキンソン病が引き起こす手の巧緻性の低下
パーキンソン病に罹患すると、身体が思うようにうまく動かなくなり、姿勢や歩行など、さまざまな動作に影響が出ますが、その1つが手の巧緻性の低下です。
巧緻性(こうちせい)とは、手先や指先を上手に動かすことのできる能力のことです。
巧緻性を高めることで、「つまむ」「たたく」「はがす」「留める」「ひねる」などの動作をより高いクオリティーで行うことができ、日常のさまざまな動作を可能とします。
では、なぜパーキンソン病を発症すると巧緻性が低下するのでしょうか?
パーキンソン病による巧緻性の低下を理解するためには、神経回路である錐体路と錐体外路を理解しておく必要があります。
まず、脳からの運動の指令は脳→脳幹→脊髄→末梢神経という錐体路と呼ばれる神経回路を経由して、最終的に筋肉が刺激されることで起こります。
一方で、錐体路の刺激をサポートして円滑な運動を可能とする神経回路が錐体外路です。
例えば、腕を曲げるという運動は、脳から錐体路を経由して上腕二頭筋が刺激されることで起こりますが、この際、腕を伸ばす筋肉である上腕三頭筋が収縮しているとスムーズに腕を曲げることができません。
そこで、同時に錐体外路を経由して、上腕三頭筋を弛緩させることで、スムーズに腕を曲げられるようになるのです。
パーキンソン病は大脳黒質を中心とする変性疾患であり、黒質の神経細胞が変性することで、神経伝達物質であるドーパミンの機能が障害され、錐体外路がうまく機能しなくなります。
その結果、作動筋と拮抗筋が強調して運動できなくなるため、パーキンソン病では下記のような症状をきたします。

  • 振戦
  • 筋固縮
  • 動作緩慢
  • 姿勢反射障害
  • 上肢における巧緻性の低下

パーキンソン病では、比較的初期から上肢における巧緻性の低下を認めやすく、進行すれば下記のような影響をきたすため、注意が必要です。

  • 字がうまく書けない(字が小さくなる)
  • ボタンを掛けられない・外せない
  • 化粧ができない
  • 箸が持てない

頚椎症性脊髄症による手の巧緻性への影響とは?

頚椎症性脊髄症による手の巧緻性への影響とは
頚椎症性脊髄症も、手の巧緻性が低下する病気の1つです。
頚椎症性脊髄症とは加齢性の変化によって椎間板の形状が変形したり、骨棘が形成されることで、頚椎周囲を走行する頸髄(頚椎レベルに位置する脊髄)が圧迫される病気であり、それに伴いさまざまな神経症状をきたします。
パーキンソン病が錐体外路の障害であるのに対し、頚椎症性脊髄症は錐体路そのものが障害される病気です。
特に、上肢の運動を司る神経は頸髄から分岐するため、頚椎症性脊髄症では上肢の運動麻痺やしびれが主症状であり、進行すれば日常生活に影響が出るような巧緻性の低下を認めます。
症状が進行すれば、下肢の麻痺によって歩行困難に陥ったり、排尿や排便のコントロールがつかなくなる膀胱直腸障害に陥る可能性があり、その場合は手術が必要となるため、注意が必要です。

日常生活でできる巧緻性改善のためのトレーニング方法

日常生活でできる巧緻性改善のためのトレーニング方法
巧緻性を改善させるためには、とにかく手指を動かすことが重要であり、日常生活にトレーニングを取り入れることもできます。
具体的には、下記のようなトレーニング方法がおすすめです。

  • 同じ手の手指同士をタッチさせる
  • 紐をいろいろな方法で結ぶ
  • 絵を描く
  • 工作する
  • タイピング練習する

これらのトレーニングは、日常で簡単に実践可能であり、これらの運動を反復して行うことで、脳や神経が刺激され、巧緻性の改善が期待できます。
逆にトレーニングを怠ると、時間の経過とともに症状が進行してしまい、さらに巧緻性が失われてしまうため、日々の反復してトレーニングすることが重要です。

まとめ

今回の記事では、脳や神経疾患によって生じる手指の巧緻性低下について詳しく解説しました。
脳や脊髄は身体のスムーズな運動を可能とする錐体路や錐体外路と呼ばれる神経回路の機能を司っているため、これらの部位が障害されることで手指の巧緻性が低下する可能性があります。
本記事で紹介した、頚椎症性脊髄症などの整形外科疾患が原因であれば、手術などで原因を除去することで症状改善が見込めますが、パーキンソン病のような変性疾患の場合、脳細胞の変性を止める術がないため、改善は困難です。
そのため、なるべく早期から巧緻性を改善・維持するためにリハビリテーションを行うことが重要です。
また、近年では巧緻性の低下に対して再生治療が新たな治療法として非常に注目されています。
ニューロテックメディカルでは、「ニューロテック®」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んです。
「ニューロテック®」では、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
また、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「同時刺激×神経再生医療Ⓡ」によって、これまで難治であったパーキンソン病による巧緻性低下の改善も期待できます。

よくあるご質問

手指の巧緻性障害とは?
手指の巧緻性障害とは、何らかの原因で指先が思うように動かせなくなり、箸の扱いや書字、洋服の着脱など、多くの日常動作に支障をきたした状態です。
脳や脊髄、上肢の末梢神経に障害が及ぶことで起こりやすい症状です。

パーキンソン病になると手の巧緻性がなくなりますか?
パーキンソン病になると手の巧緻性が損なわれる可能性があります。
パーキンソン病によって錐体外路と呼ばれる神経回路の機能が障害されると、スムーズな運動が行えなくなるため、手の巧緻性が損なわれます。

<参照元>
・J STAGE:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kyushuptot/2016/0/2016_200/_pdf/-char/ja
・日本整形外科学会:
https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/cervical_spondylotic_myelopathy.html
・日本脊椎脊髄病学会:
https://ssl.jssr.gr.jp/assets/file/common/sick/s_mahi.pdf

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貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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