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環軸椎亜脱臼とダウン症の関連性

           

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ダウン症候群は、染色体の先天性異常によって起こる疾患で、環軸椎亜脱臼をはじめとする脊椎疾患を合併することもあります。
この記事ではダウン症と環軸椎亜脱臼の関係について解説します。
また、ダウン症の場合の環軸椎亜脱臼における課題や、治療法についても解説します。

ダウン症における環軸椎亜脱臼の発生率

では、はじめにダウン症とは何か、また、環軸椎亜脱臼とはどのようなものか、その発生率について解説します。

ダウン症(ダウン症候群)とは?

ジョン・ラングドン・ダウン
ダウン症は、ダウン症候群という先天性異常のことです。
通常21番目の染色体は2本なのですが、ダウン症では1本多く、3本となっています。
そのため、21トリソミーとも呼ばれます。
ダウン症では、特徴的な顔つきと、手のひらに一直線にのびる深いシワ、いわゆる「ますかけ線」、そして小指の関節が1つ少なく、筋緊張の低下が主な特徴となります。
そして、ダウン症の全ての方ではありませんが、心臓疾患・消化器疾患・甲状腺機能低下症・眼の疾患・難聴・環軸椎亜脱臼などが合併することもあります。

環軸椎亜脱臼とは?

環軸推亜脱臼
首の骨は、7個の骨(椎体)からなります。
その上から1番目の環椎(かんつい)はリング状の形で、2番目の軸椎(じくつい)から出る歯突起(しとっき)という部分に刺さっているような形をしています。
環軸椎亜脱臼とは、この環椎が軸椎に対して、前の方へずれてしまう、不安定な状態です。
ダウン症では、この環軸椎亜脱臼のリスクは約12〜24%とされています。
脊椎の内部には脊髄や血管が通っていますので、環軸椎亜脱臼によってそれらが圧迫されるとことでの症状がでる場合があります。
症状としては、軽い「しびれ」や鈍痛などがある位で長年経過する場合から、四肢麻痺や呼吸筋の麻痺などの重症な症状をきたすこともあります。
こうした種々の神経症状を合併する頻度は1.7%という報告もあります。
もし神経への圧迫が強くみられた場合には、麻痺などが後遺症として残ってしまう可能性もあります。

ダウン症における脊椎疾患の全体的な課題

ダウン症における代表的な脊椎疾患である環軸椎亜脱臼の治療では、ダウン症特有の課題もあります。
ダウン症では知的障害を合併することも多いので、保護者が歩行の異常やスプーンを落とすなどの症状が出てから合併症に気づくことも多く、発見が遅くなってしまうのです。
環軸椎亜脱臼の治療は、頸椎のずれの進行や症状の悪化がある場合では、頸椎の手術をすることをお勧めすることが多いです。
特に、子どもの頸椎の手術をする場合は、必要な場合には症状が出る前に予防的介入として、手術を行うこともあります。
しかしながら、ダウン症では心疾患などの合併症を持つこともあるので、手術の際にはそうした背景に配慮する必要もあります。

ダウン症の脊椎疾患治療のためのテクノロジーの進歩

ダウン症の脊椎疾患には、環軸椎亜脱臼の他にも、脊柱側湾症という背骨がS字状に曲がってしまうものがあります。
環軸椎亜脱臼に対する手術は、安定性が損なわれた環軸椎を安定化させ、脊髄への圧迫を軽減させることを目標としています。
近年では、インプラント(金属)を設置して環軸椎を固定する手術が多く実施されています。
最近では、バイオメディカルエンジニアリングの方法を用いて、挿入したインプラントなど周囲等に余分な力が加わっていないかという解析なども行われています。
また、ダウン症そのものの治療として、常染色体トリソミー症候群の患者細胞からiPS細胞を樹立すると、過剰な染色体が無くなり、染色体数が正常化するという研究もあります。
これは、まだクリニカルトライアル(臨床研究)の段階ですが、今後ダウン症の遺伝子療法としてさらなる研究が望ましい分野と言えます。
また、もしも環軸椎亜脱臼による脊髄損傷が原因で麻痺が起こった場合には、リハビリテーションを行っていくことになります。
当院で導入している、神経再生医療×同時リハビリテーション【ニューロテック®】によって脳や脊髄の治る力(可塑性)を高め、リハビリテーションの効果を上げることが期待できます。

まとめ

今回は、ダウン症でみられる環軸椎亜脱臼について解説しました。
もしも脊髄の圧迫の程度が強く、麻痺が残ってしまった場合には、リハビリテーションを行い機能の回復を行っていきます。
ニューロテックメディカルでは、脊髄損傷による麻痺に対して、神経再生医療×同時リハビリテーション【ニューロテック®】という最新治療をご提案しています。
再生医療についての相談も24時間受け付けていますので、ご興味のある方は一度お問い合わせ下さい。

Q&A

ダウン症と環軸椎脱臼の関係は?
ダウン症は染色体異常によりさまざまな症状を呈する先天性疾患です。
一方、環軸椎脱臼は首の骨の一番上にある環椎と、2番目の骨である軸椎とがずれてしまうことです。
ダウン症では全身の靭帯が緩く、関節がよく動くため、環椎の横にある靭帯がゆるんでしまい、軸椎の歯突起に上手く環椎を固定できないことが原因であるとされています。

環軸椎亜脱臼の後遺症は?
環軸椎亜脱臼により、その部位の脊髄が圧迫されると、四肢麻痺などの重い後遺症が残る可能性があります。
また、環軸椎のレベルにある椎骨動脈という重要な血管が詰まり脳梗塞を発症してしまう場合もあるため、四肢麻痺の他にも、嚥下障害などの後遺症が残ることもあります。

<参照元>
Down症候群と環軸椎亜脱臼:https://www.jstage.jst.go.jp/article/ojjscn1969/19/4/19_4_309/_pdf
ダウン症(ダウン症候群) | 国立成育医療研究センター:https://www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/children/006.html
小児ダウン症の歩行障害に対し手術を行った 1 例 〜膝蓋骨脱臼と環軸椎亜脱臼の合併〜:http://www.jpoa.org/mag/vol28-1/012-016.pdf

貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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