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認知症についておさらいしましょう

           

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この記事を読んでわかること

認知症とは
認知症の分類、発症率
認知症のようで認知症でない状態とは


世界一の高齢化社会である日本、全人口のうち65歳以上の方が占める割合は28.9%(2020年)と、3割近くとなり今後さらに増加することが分かっています。
平均寿命は男性で約82歳、女性で約88歳となり、高齢の方がいかに自立した生活を維持するかが重要な課題です。
自立した生活が困難で介護や支援が必要になる最も大きな要因、それが認知症で全体の17.6%とされています。
他人事ではない認知症。
ここでは、認知症の基本について全般的におさらいしていきましょう。

認知症とは。定義、診断基準から見直してみましょう

認知症
「もの忘れ」「ボケ」などの俗称がある認知症ですが、以前は「痴呆」という用語が使われていました。
「痴呆」という言葉が侮蔑的な表現であることが問題視されたため、2004年に検討会が開かれ、それ以来「認知症」という用語が使用されることとなりました。
英語でもdementiaという用語の代わりにmajor neurocognitive disorder(DSM-5)となるなど、用語の変遷があります。

診断基準には世界保健機関によるもの、米国国立老化研究所によるもの、米国精神医学会によるものなどがありますが、大まかにいえば次のようなポイントがあります。

  • 記憶力や認知能力(判断、思考、言語、注意力など)が以前と比べて低下している
  • 認知の低下が日々の仕事や生活の支障となっている
  • せん妄や他の精神疾患ではないもの

以上の点を満たすものが認知症であり、例えば年齢に伴う正常な認知機能低下では、部分的なもの忘れなどが起こるものの生活の支障となることは少ないため、認知症とは診断されません。

認知症の分類、発症率

認知症にはさまざまな原因や疾患、病態が含まれており、多くの分類があります。
アルツハイマー病や血管性認知症が代表的であり、その他にも前頭側頭葉変性症、レビー小体病、脳損傷など、数多くの疾患があります。
認知症の発症率(有病率)は1980年代から2000年代にかけて出された報告では、3.8%~11%とされていました。
ところが2012年に全国8市町で行われた調査では、約15%と報告され、増加傾向にあることが分かっています。
そのうち病型でみると頻度が高いのはアルツハイマー型認知症血管性認知症であり、アルツハイマー型が67.6%、血管性が19.5%となっています。

認知症になりやすい危険因子とは?予防は可能?

誰しも認知症にはならずしっかりとした生活を送りたいものですが、予防は可能なのでしょうか?
認知症になる危険因子として分かっているものに、加齢と遺伝があります。
これらは修正しようがないので、受け入れるしかない部分もあります。
しかし次に挙げる危険因子については、早いうちから対処することで認知症の発症を予防できる可能性があります。

  • 高血圧(中年期)
  • 糖尿病
  • 肥満(中年期)
  • 脂質異常症
  • 喫煙
  • 身体活動
  • うつ病
  • 睡眠時無呼吸症候群

高血圧、糖尿病、肥満(メタボリック症候群)、脂質異常症は中年期にしっかり治療することが重要であると指摘されています。
喫煙や身体活動の低下、うつ病、睡眠時無呼吸症候群は認知症を発症させる可能性を高めてしまいます。
対処可能である疾患に対しては、早くから治療を受けることが重要です。
それに加えて生活上での対策、予防としては次のような点が挙げられています。

  • 適度な運動
  • 食事(炭水化物を主とする高カロリー食や低たんぱく、低脂肪食はリスクを高める傾向)
  • 余暇活動、社会参加
  • 適度の飲酒(ただし個人差、人種差が大きいため注意が必要)

認知症のようで認知症でない状態とは

一見したところ認知症のようであっても、実は認知症ではないと考えられる状態がいくつかあります。
とるべき対策が異なり、また治療できる可能性があるため、認識しておく必要があります。

加齢に伴う生理的健忘
一般的な知識を部分的に忘れてしまうといったことが起きますが、進行しないか、進行があっても緩やかです。
認知症では自分が病気であることを認識することはできませんが、「最近もの忘れしやすくなった」「言葉がなかなか出てこない」など、症状を自覚することができる点も異なります。
日常生活の支障を来すことは少なく、様子をみていい状態と考えられます。
せん妄
身体の疾患や、環境の変化、薬剤による影響などが原因となり起こる、精神や行動の障害です。
現在の日付や時間がわからない、不安になり大声を出してしまうなどの症状が起こりますが、疾患の治療や環境への適応、原因を取り除くことで改善する可能性がある状態です。
「認知症になってしまった」と決めつけずに対処していく必要があります。
うつ病
気分の落ち込みにより動きや思考が緩慢となり、集中できない状態は記憶力の低下や判断ミスを招くため、認知症のように見えることがあります。
アルツハイマー型認知症と比べると急に起こる、症状を自覚している、食事や睡眠の障害が起こりやすいなどの特徴があります。
抗うつ薬などにより治療できる可能性があるという点が重要です。
精神遅滞、統合失調症
認知症とは異なる多彩な症状を起こす疾患で、専門的な対処が必要です。

まとめ

認知症の基本的な事柄について、紹介しました。
認知症は現在も増加傾向にあり、他人事ではありません。
自分自身が予防に努めるとともに、身近な方をどのように支援し生活してくのか、早いうちから考えておく必要があるでしょう。

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貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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