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バセドウ病治療における再生医療と従来療法の違いとは?

           

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この記事を読んでわかること

バセドウ病の病態がわかる
バセドウ病の治療法がわかる
バセドウ病の治療法の選び方がわかる


バセドウ病は甲状腺機能が亢進してしまう病気であり、過剰分泌によって動悸や発汗など、さまざまな症状を引き起こします。
手術・放射線、内服などさまざまな治療があり、また近年ではバセドウ病に対する再生医療の応用も注目されています。
この記事では、バセドウ病治療における再生医療と従来療法の違いについて詳しく解説します。

抗甲状腺薬・放射線治療・手術のメリットとデメリット

抗甲状腺薬・放射線治療・手術のメリットとデメリット
バセドウ病とは、甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンが過剰分泌される疾患です。
本来、脳の下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)が甲状腺にあるTSH受容体に接合することで甲状腺ホルモンが分泌されますが、なんらかの原因で体内に発生した自己抗体がTSH受容体を刺激することで、過剰に甲状腺ホルモンが分泌されます。
甲状腺ホルモンは全身の代謝やカテコールアミンの分泌を司っているため、過剰分泌されることで下記のような症状を引き起こします。

  • 動悸
  • 体重減少
  • 振戦
  • 発汗
  • 易疲労感
  • 下痢
  • 筋力低下
  • イライラなどの精神変化

また、甲状腺が大きく腫れ上がり、目の奥の脂肪組織にムコ多糖が沈着することで両側の眼球が前方に突出する症状が代表的です。
これに対し、標準的な治療としては下記の3つが一般的です。

  • 薬物療法
  • 放射線療法
  • 手術療法

薬物療法では、甲状腺内における甲状腺ホルモンの合成を阻害するチアマゾールやプロピロチオウラシルと呼ばれる抗甲状腺薬や無機ヨウ素が主に用いられます。
薬物療法の最大のメリットは簡便に実施できる点であり、治療の第一選択となります。
一方で、薬物療法では皮膚のかゆみや発疹、無顆粒球症、肝機能障害、血管炎などさまざまな副作用を起こす可能性があり、また一旦寛解を得られたとしても再発率が高い点がデメリットです。
次に、放射線治療は放射性ヨウ素のカプセルを内服し、取り込まれた放射性ヨウ素が甲状腺細胞を破壊することで甲状腺ホルモンの過剰分泌を抑制する治療法です。
最大のメリットは副作用が少なく比較的安全、かつ効果が確実な点ですが、日本では「放射線」という言葉に対する抵抗感が少なくなく、実施できる施設が少ないことから、選択されにくい傾向にあります。
また、被曝するため、妊婦や授乳婦、小児では実施できません。
最後に、手術療法は甲状腺そのものを摘出して甲状腺ホルモンの過剰分泌を抑制する治療法です。
一部を残す亜全摘と、完全に切除する全摘がありますが、亜全摘の場合は再発率も上がってしまうため、全摘が選択されることが多いです。
一方で、全摘すると完全に甲状腺ホルモンが枯渇してしまうため、永続的な甲状腺ホルモンの内服が必要となります。
さらに、手術による合併症(嗄声や出血・感染・疼痛など)のリスクも少なからず存在します。

再生医療による治療の特徴と期待される効果

どの治療法もメリット・デメリットが混在していますが、近年ではバセドウ病に対する新たな治療法として再生医療も注目されています。
現状でバセドウ病に対する再生医療は確立された治療法ではありませんが、これまでの標準治療のデメリットを補う形で今後の活用が期待される治療法です。
再生医療とは、他系統の細胞に分化でき、また自己複製能力の高い幹細胞と呼ばれる細胞を投与し、損傷した臓器や組織の機能・構造を代償する治療法です。
例えば、放射線療法では甲状腺を破壊するため、逆に甲状腺機能低下症に陥る可能性があります。
また、手術療法で甲状腺を亜全摘した結果、同様に甲状腺機能低下症に陥る可能性があり、再生医療で甲状腺細胞を再生させることで改善が得られる可能性があります。

患者にとっての選択肢と治療法の選び方

患者にとっての選択肢と治療法の選び方
ここまで紹介した治療法を実際にはどのような基準で選ぶべきなのでしょうか。
多くの人にとって、治療の第一選択は抗甲状腺薬の内服です。
しかし、抗甲状腺薬を使用してなんらかの副作用が出現した場合や思ったような効果が得られない場合、もしくは腫れた甲状腺を縮小したい場合などは放射線療法も選択肢となります。
一方で、放射線療法は小児・授乳婦・妊娠(6ヶ月以内に妊娠の可能性がある人も含む)は実施できないため、その場合は手術療法も選択肢となります。
しかし、手術療法の場合は一定期間の入院が必要となり、さらに、手術侵襲によって甲状腺クリーぜと呼ばれる重症合併症を招く可能性があり、そうなると命の危険性もあるため、適応は慎重に検討すべきです。

まとめ

今回の記事では、バセドウ病治療における再生医療と従来療法の違いについて詳しく解説しました。
バセドウ病に対する治療法は一般的に薬物療法・放射線療法・手術療法の3つが挙げられ、その結果治療の副作用で甲状腺機能が低下する場合は、再生医療もいい適応となります。
それぞれの治療法にメリット・デメリットがあり、各患者の状態や社会背景によってもベストな選択肢は異なるため、自身の状況に合った治療を選択しましょう。
また、ニューロテックメディカルでは、「ニューロテック®」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んです。
「ニューロテック®」では、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
また、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「同時刺激×神経再生医療Ⓡ」によって、バセドウ病治療による甲状腺機能低下の改善が期待できます。

よくあるご質問

バセドウ病はどんな治療法がありますか?
バセドウ病に対する標準的な治療法は、抗甲状腺薬の内服、放射性ヨウ素による放射線療法、手術による甲状腺切除の3つが挙げられ、一般的には抗甲状腺薬の内服が第一選択です。

バセドウ病の初期症状は?
バセドウ病の初期症状は、代謝亢進に伴う発汗・体重減少・動悸・下痢・手指の震え・疲労感・イライラ・筋力低下などです。
進行すると心房細動や心不全のリスクもあるため、注意が必要です。

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    <参照元>
    1:バセドウ病|日本内分泌学会:https://www.j-endo.jp/modules/patient/index.php?content_id=40
    2:バセドウ病治療ガイドライン2019|J STAGE:https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/111/11/111_2279/_pdf

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    PROFILEこの記事の監修
    貴宝院 永稔
    貴宝院 永稔 医師
    (大阪医科薬科大学卒業)
    • 脳梗塞・脊髄損傷クリニック 総院長
    • 日本リハビリテーション医学会認定専門医
    • 日本リハビリテーション医学会認定指導医
    • 日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
    • ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

    私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
    リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
    このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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