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TMS治療に期待される効果と役割

           

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TMSとは、transcranial magnetic stimulationの略で、日本語では経頭蓋的磁気刺激といいます。
頭皮から磁気を当てて行う治療です。
1985年に初めて人体に行われた方法ですが、もともとは頭部を磁気で刺激することで、身体にどのような変化がでるか観察することによって脳の機能を探る、つまり検査の一つでした。
近年になり脳に磁気による繰り返しの刺激を与えると、神経の活動性が変化することが明らかとなり、治療に応用されるようになりました。
ここではTMS治療が今注目される理由、その利用法、そして脳卒中の治療にどのような役割を果たすのか、解説していきます。

今TMSが注目されている理由

車椅子のシニア女性
TMSは脳に磁気刺激を繰り返し当てることで、脳の活動性を変化させる治療法です。
磁気刺激の加え方によりその効果は異なり、1秒に5回以上の高頻度で刺激を与えると脳の活動は活性化し、1秒に1回以下の低頻度で刺激すると脳の機能は逆に抑制されます。
その変化を利用してこれまでにさまざまな疾患に対して治療が試みられています。
2020年にヨーロッパから出されたガイドラインによれば、うつ病、神経性の疼痛、脳卒中による運動麻痺に対して有効(Level A)とされており、他にもパーキンソン病や失語症などにも効果が期待されています。
日本でも厳しい制限があるものの、うつ病に対する治療として2019年に保険適応となりました。
脳の活動性を変化させることができる、というのは画期的なことです。
なぜなら脳、つまり神経の損傷は一度確定してしまうと元には戻らない、という事実があるからです。
しかし脳の活動性が変化すれば、症状が改善する可能性があります。
特に脳卒中の慢性期、確定してしまった後遺症に効果を発揮する可能性があるという点で、大きな注目を集めています。

うつ病に対するTMS治療

アメリカやヨーロッパでは2008年にTMSがうつ病の治療として適応が認められ、広く治療が行われています。
日本でも近年実施されるケースが増加しており、クリニックでも治療を行う施設が増えてきています。
うつ病の原因には諸説あるものの、脳の中の左前頭前野という場所の機能低下が指摘されています。
そこでうつ病に対するTMS治療では、左前頭前野を高頻度に刺激することで、活性化を促そうとします。
実際に行われた治療では、うつ病の患者さんのうち30-40%がTMSによって寛解したというデータがあります(薬物療法を併用)。
効果を発揮する機序にはほかにもドパミンやノルアドレナリン、グルタミンといった物質が関係する、ストレスに関与する物質(c-FOSなどと呼ばれます)が減少する、などさまざまな報告があります。
詳細は不明な部分があるものの、うつ病に対する有力な治療として注目を集めています。

脳卒中に対する治療としてのTMS

脳卒中はさまざまな症状を引き起こし、後遺症を残すケースが少なくありません。
中でも多いのが、手足の麻痺です。
脳卒中は発症後間もないうちは症状が自然に軽快しますが、慢性期になると症状が固定され後遺症となります。
後遺症は原則として生涯続く症状となり、障害を抱えながら生活をしていく方法を探るしかありません。
ところが、TMSは慢性期の麻痺に対して改善効果を示すケースが確認されています
特に軽度~中等度の麻痺を持つ方に対して効果を示すケースがあり、検査をすると脳の血流量が増加し、活動性が増していることがわかりました。
また近年では脳卒中の急性期にTMS治療を行うことで、神経の障害を最小限に抑えることのできる可能性や、脳卒中後遺症として頻度の高い失語症に対する効果を示す報告がでてきています。

TMS治療の安全性と対象者

TMSはからだの表面から磁気の刺激を与えるもので、からだにかかる負担は非常に小さいと言えます。
磁気の刺激によりコンコンと叩かれるような感じを受けますが、痛みになるほどのものではありません。
副作用として頻度が高いのは、頭痛や顔のけいれん、不快感があります。
またけいれんのリスクが高い方、頭頚部に金属や精密機器がある方では慎重に適用を検討する必要があります。

TMSを利用した神経再生治療

脳卒中によって起こる神経の損傷は原則として再生することはなく、それが多くのケースで後遺症を残す原因です。
その難しい課題をクリアするため臓器や組織の欠損、機能障害に対して幹細胞などを使用して臓器や組織を再生し、機能の回復を目指す医療、それが再生医療です。
再生医療は神経の障害に対して回復能力を引き出してくれる可能性がある新たな治療法です。
ニューロテックメディカル株式会社では、「ニューロテック®」として脳卒中・脊髄損傷・神経障害などに対する幹細胞治療の基盤特許を取得しており、再生医療の効果を高める取り組みを行っています。
その取り組みの一つがTMSです。
脳卒中の後遺症に対して再生医療とTMS、最先端のリハビリテーションを組み合わせることで最大限の機能回復を達成できると考えています。
脳卒中の後遺症にお悩みの患者さんやご家族の方は、ぜひご相談ください。

まとめ

うつ病の治療、再生医療の一翼を担う治療としてTMSについて解説しました。
TMSは数多くの研究による裏付けのある、安全性の高い治療法です。
他の治療法と併用することで、さらなる効果が期待できます。
症状にお悩みの患者さんやご家族の方は、一度主治医の先生と相談されてみてはいかがでしょうか?

<データ参照元>
◆「反復性経頭蓋磁気刺激法を併用したリハビリテーション治療」Jpn J Rehabil Med 58, 2021
◆「急性期脳卒中における反復性経頭蓋磁気刺激(rTMS)の有効性と役割」聖マリアンナ医科大学雑誌48, 2021

貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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