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今話題のTMS治療とは?デメリットについても徹底解説!

           

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この記事を読んでわかること

うつ病に対するTMS治療とは?
TMS治療の効果と治療のメリットは?
TMS治療のデメリットとは?


世界に遅れること20年。
2019年6月、ついに日本でもうつ病患者に対するTMS治療が保険適応に承認されました。
TMS治療は、前頭葉を磁気で刺激することで抑うつ気分を改善させる効果が期待される治療法ですが、様々なメリットとデメリットがあります
そこで今回は、TMS治療のメリットとデメリットに関して詳しく解説します。

うつ病に対するTMS治療とは?

うつ病に効く可能性が高いTMS
皆さんはうつ病に対するTMS治療をご存知でしょうか?
正式には「Transcranial Magnetic Stimulation」の略で、日本語で経頭蓋磁気刺激法と言われる治療方法です。
2002年に初めてカナダで承認され、アメリカでも10年以上前から脳神経内科領域やリハビリの分野で使用されていましたが、2019年6月に日本でもうつ病の治療法として保険診療としての承認を受けました。
うつ病患者は、脳内で神経刺激を伝達するセロトニンやノルアドレナリの分泌が不足することで、気分の落ち込み、集中力の低下などの症状を認める病気です。
特に脳の中でも背外側前頭前野と言われる部分の異常が報告されています。
そこで、TMS治療ではその名の通り、経頭蓋、つまり頭蓋骨の上から磁気を照射して背外側前頭前野を含む前頭葉を直接刺激するというものです。
これにより、背外側前頭前野が活性化され、意欲や興味の向上、情動の再活化が期待されています。
では、実際に報告されている効果とはいかがなものでしょうか?

TMS治療は効果なし?治療のメリットは?

結論から言えば、抗うつ薬が効かないとされる患者の3-4割に改善効果が認められると報告されています。
軽症者も含めれば8-9割ほどの患者に改善効果があるという報告もあります。
実際の施術は一般的に週に5回、4-6週連続の刺激法が主流となっています。
効果が出始めるまでは個人差がありますが、概ね10回目の刺激から症状が改善する方が多く、合計で30回ほど刺激する必要があります。
10-15回ほどの刺激で症状が緩和したからといって刺激を中断してしまうと、2-3ヶ月で症状が再燃してしまうため、最低でも30回の刺激が必要となります。
30回の刺激を行なったとしても、再発率は30%程度はあると言われています。
TMS治療のメリットとしては、既存の内服療法と異なり治療期間が短く、副作用が少ないため、仕事にも支障を来しにくい点です。
総じて、治療方法に乏しい難治性うつ病に対しての新しい治療法として、日本で保険適応に承認されたことは、うつ病に悩む多くの患者にとって喜ばしいことだと思います。
とは言え、まだまだ日本での使用は整備が整っていないため、ハードルが高い治療法と言えます。
具体的にデメリットも含めて解説します。

TMS治療のデメリットとは?

うつ病に対する新しい治療法、TMS治療にはメリットだけではなくデメリットもあります。

限定的な対象患者

まだまだ日本では日が浅いTMS治療。
保険診療に承認されたとは言え、全国に100万人以上いる不安障害の患者を全員保険適応にしてしまうと医療費負担が増してしまうため、2022年現在の適応基準は非常に限定的です。
具体的には下記のような基準が挙げられます。

  • 過去に1剤以上の抗うつ剤の薬物治療を受けており、十分な効果が認められなかったこと
  • 2か月程度の入院が可能であること
  • 使用機器やプロトコール(6週間以内に30回以上の刺激)は決められたもので行うこと

中でも、2ヶ月の入院は対象患者を限定しているハードルになっています。
保険診療では入院での治療しか認めておらず、外来での通院治療となると自由診療でしか提供されていません。
そのため、現在は基本的に自由診療での提供が一般的になっています。
しかし自由診療の場合、施術による医療費は各クリニックの言い値で決まってしまうため、1回の治療費にバラツキがあります
さらに、計30回の施術が必要となると、合計金額には大きな差が出てくるため注意が必要です。

施設が限定的

TMS治療は保険適応になってから間もないため、まだまだ適切なTMS治療を行える医療者が少ないです。
また、治療可能な施設も大都市の病院のみで、どこでも行なっているような治療ではありません。
つまり、保険診療で受けようにも患者数に対して窓口が少なすぎるという構造上の問題を抱えています。
現在、当院ではTMS治療を行なっておりますので、是非ご検討ください。

まとめ

今回はTMS治療のメリットとデメリットについて解説しました。
治療方法の選択肢に乏しい難治性うつ病に対して、効果的な治療法が出てきた点は喜ばしいですが、その反面まだまだ実用化が進んでいないように思います。
今後、より多くの患者が受けやすい治療へ昇華されることが期待されます。
また、近年では再生医療の発達も目覚ましいです。
今まで損傷した神経細胞は治らないと考えられてきましたが、再生医療では損傷した神経細胞の再生が期待できます。
難治性うつ病の治療法としても検討されており、今後の知見が待たれるところです。

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貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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