この記事を読んでわかること
・視床症候群とは
・脳梗塞や脳卒中後の視床症候群
・視床症候群に対する再生医療
脳梗塞や脳卒中の後遺症には様々なものがありますが、時に痛みが後遺症となることがあります。
後遺症を改善させるのは簡単ではなく、痛みは日常生活や精神面に大きく影響する重要な症状の一つです。
脳の障害として痛みを引き起こす視床症候群という疾患があります。
この記事では視床症候群について解説します。
視床症候群とは
視床は脳の中心部に近い所にあり、視覚や聴覚、触覚など全身の感覚を認識し、大脳へ伝える役割を担っています。
そのため視床の機能が障害されると感覚が鈍くなり、感覚の障害は時にジリジリ感や痛みになることがあります。
このような脳の機能障害が原因となる痛みを中枢性疼痛と呼びます。
中枢性疼痛をきたす疾患は複数ありますが、視床の障害により感覚障害や運動麻痺、疼痛を引き起こすのが視床症候群です。
痛みが症状の前面に出ることが多いため、視床痛と呼ばれることもあります。
脳梗塞や脳卒中後の視床症候群
視床症候群の原因になるのが、脳梗塞や脳出血です。
脳梗塞や脳出血が視床の、特に外側に発生すると感覚障害が出現し、一定期間を経ると強い痛みを起こすことがあります。
痛みは昼夜を問わず何もしなくても感じるような痛みであり「耐え難い痛み」「灼熱感のような痛み」などと表現されます。
視床症候群が発生するメカニズムは不明な点も多いのですが、脳梗塞や脳出血により神経が障害を受けたことで、神経が異常に興奮したり少ない刺激で簡単に興奮したりするという変化が起きると考えられています。
女性、高齢での脳卒中発症、飲酒、高脂血症の薬(スタチン)を飲んでいる人、末梢神経障害、うつの既往があると発生しやすいとされています。
視床症候群の治療
視床症候群による痛みは程度が強く、患者さんへの影響が強い症状です。
痛みがある方は認知障害や運動機能障害、倦怠感やうつ、自殺企図といった症状を有することが多いとされます。
そのため積極的な治療の対象となりますが、視床症候群には痛み止めが効きづらいという特徴があります。
怪我などの後に飲む通常の痛み止めはもちろん、オピオイド(麻薬性鎮静薬)も効きづらいとされています。
使用されるのは中枢性疼痛に対して効果が期待されるアミトリプチリン、デュロキセチン、ラモトリギン、ガバペンチン、プレガバリンなどの薬です。
薬以外では、脳へ磁気刺激を与える方法があります。
経頭蓋磁気刺激(rTMS)治療と呼ばれ、頭皮に設置したコイルから一定間隔で磁気刺激を与えます。
脳の活動性を変化させることで、疼痛の改善を図ります。
視床症候群に対する再生医療
脳梗塞や脳卒中による後遺症は改善が難しく、長く付き合っていかなければならない症状になります。
神経の障害は一度確定してしまうと、大きな改善は望み難いからです。
視床症候群による痛みはつらい症状であり、新たな治療法が望まれます。
その候補になるかもしれないのが、再生医療です。
再生医療では神経の元になる細胞を使用して、神経の機能再生を図ります。
ニューロテックメディカル株式会社では、「ニューロテック」として脳卒中・脊髄損傷・神経障害などに対する幹細胞治療の基盤特許を取得しており、再生医療の効果を高める取り組みを行っています。
視床症候群に対しては、再生医療とTMS、最先端のリハビリテーションを組み合わせることで最大限の機能回復を達成できると考えています。
視床症候群の症状にお悩みの患者さんやご家族の方は、ぜひご相談ください。
まとめ
視床症候群について解説しました。
痛みは他者が理解することができず、それが本人のつらさにつながりやすい症状です。
症状を和らげる方法が考案されており、再生医療とTMSがその役割を果たす可能性があります。
治療実績の積み重ねが期待されています。
よくあるご質問
視床症候群の症状は?
視床症候群は、運動麻痺、感覚障害、疼痛などの症状を引き起こします。特に疼痛はじっとしていても四六時中耐え難い痛みがある、ジリジリ焼けるような、刺されるような痛みがあるなどつらい症状になるケースがあります。
視床が障害されるとどうなる?
脳卒中や脳梗塞などにより視床の神経が障害されると、手足の麻痺など運動麻痺と感覚障害が発生します。さらに周囲の神経が異常に興奮したり、少ない刺激で興奮しやすくなったりするため強い疼痛を招きます。
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<参照元>
・「ペインクリニック治療指針改訂第6版」
https://www.jspc.gr.jp/Contents/public/pdf/shishin/6-11.pdf
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