この記事を読んでわかること
・多巣性運動ニューロパチー(MMN)は、運動神経に影響を及ぼし、筋力低下や筋肉の萎縮を引き起こすまれな神経疾患であることがわかる。
・MMNの治療には主に免疫グロブリン療法(IVIg)、免疫抑制薬、リツキシマブが用いられるが、それぞれの治療法には効果と副作用があることがわかる。
・IVIg療法の副作用には頭痛、発熱、倦怠感、血圧の変動などがあり、免疫抑制薬やリツキシマブにも特有の副作用があるため、治療中の管理が重要であることがわかる。
多巣性運動ニューロパチー(MMN)は、運動神経に影響を与えるまれな神経疾患です。
この記事では、MMNの一般的な治療法である免疫グロブリン療法(IVIg)、免疫抑制薬、リツキシマブの効果と副作用について詳しく解説しています。
各治療法の副作用とその管理方法についても説明しています。ぜひ参考にしてみてください。
MMNの一般的な治療法
多巣性運動ニューロパチー(MMN)は、運動神経に影響を及ぼし、筋力低下や筋肉の萎縮を引き起こすまれな神経疾患です。
MMNの治療には、主に免疫グロブリン療法(IVIg)、免疫抑制薬、リツキシマブなどが用いられます。
それぞれの治療法について詳しく見ていきましょう。
免疫グロブリン療法(IVIg)の効果と副作用
免疫グロブリン療法(IVIg)の効果
IVIg療法は、多くのMMN患者に対して有効とされています。
IVIgは、健康なドナーから収集した抗体を含む製剤で、静脈内に投与されます。
IVIgは、自己免疫反応を抑えることなどで神経の炎症を軽減し、症状の改善を促します。
免疫グロブリン療法(IVIg)の副作用
IVIg療法には副作用がありますが、通常は軽度で一時的なものです。
一般的な副作用には、頭痛、発熱、倦怠感、悪寒、関節痛、血圧の変動などがあります。
これらの症状は、治療後数時間から数日間持続することがあります。
まれに、深刻な副作用が発生することもあります。
例えば、血栓症、腎機能障害、アナフィラキシーショックなどが報告されています。
これらのリスクを最小限に抑えるために、治療中は医師によって血液検査の結果などがチェックされます。
免疫抑制薬の効果
免疫抑制薬は、自己免疫反応を抑えるために使用される薬剤です。
シクロスポリンやタクロリムス、ミコフェノール酸モフェチルなどがMMNの治療に用いられます。
これらの薬剤は、免疫細胞の活動を抑制し、神経の炎症を軽減する効果があります。
研究によると、免疫抑制薬を使用することで、MMN患者の症状が改善し、IVIg療法の頻度を減らすことができる場合があります。
ただし、免疫抑制薬は長期間の使用が必要な場合が多く、副作用のリスクも考慮する必要があります。
免疫抑制薬の副作用
免疫抑制薬の副作用には、感染症のリスク増加、肝機能障害、腎機能障害、高血圧、糖尿病などがあります。
これらの副作用を監視するために、定期的な血液検査や臨床評価が必要です。
リツキシマブの使用
リツキシマブは、B細胞を標的とするモノクローナル抗体で、MMNの治療に用いられることがあります。
リツキシマブは、B細胞を破壊することで免疫反応を抑制し、神経の炎症を軽減します。
研究によると、リツキシマブはIVIg療法が効果を示さない患者に対しても有効であることが示されています。
リツキシマブを使用することで、症状の安定や改善が見られる患者が多く報告されています。
リツキシマブの副作用
リツキシマブの副作用には、注射部位反応、感染症のリスク増加、発疹、血圧の変動などがあります。
また、まれに重篤な副作用として、アナフィラキシーや心血管障害が発生することがあります。
治療の副作用とその管理方法
治療の副作用が発生した場合、その管理が重要です。
以下に、一般的な副作用とその対処方法について説明します。
頭痛や発熱
IVIg療法中に頭痛や発熱が発生することがあります。
この場合、症状を和らげるために鎮痛剤や解熱剤が使用されることがあります。
また、治療中の水分摂取を増やすことで、症状の軽減が期待できます。
倦怠感
倦怠感はIVIg療法の副作用としてよく見られます。
適切な休息と栄養摂取を心掛けることで、倦怠感の軽減が図れます。
医師と相談しながら、治療スケジュールを調整することも有効です。
血圧の変動
IVIg療法中に血圧の変動が見られることがあります。
定期的な血圧測定を行い、異常が認められた場合には医師に報告することが重要です。
必要に応じて、血圧を安定させるための薬剤が処方されることがあります。
血栓症
血栓症は稀な副作用ですが、深刻な健康問題を引き起こす可能性があります。
血栓症のリスクを減らすためには、定期的な運動と水分摂取が推奨されます。
また、血液をサラサラにする薬剤の使用が検討されることもあります。
腎機能障害
腎機能障害もIVIg療法のまれな副作用の一つです。
治療中に腎機能のモニタリングを行い、異常が見られた場合には医師と相談して適切な対応を行うことが重要です。
まとめ
多巣性運動ニューロパチー(MMN)は、適切な治療を行うことで症状の改善が期待できる疾患です。
特に、免疫グロブリン療法(IVIg)は効果的な治療法として広く用いられていますが、副作用にも注意が必要です。
治療中に副作用が発生した場合には、適切な管理を行い、医師と相談しながら治療を続けることが重要です。
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よくあるご質問
- 多巣性運動ニューロパチーは完治しますか?
- 多巣性運動ニューロパチー(MMN)は完治することが難しい疾患です。
しかし、適切な治療を受けることで症状を管理し、生活の質を向上させることが可能です。
治療には免疫グロブリン療法(IVIg)や免疫抑制薬が一般的に用いられます。 - 多巣性運動ニューロパチーの患者数は?
- 多巣性運動ニューロパチー(MMN)はまれな疾患で、日本ではおおよそ1000人以下と推定されています。
MMNは世界的にも非常にまれな病気であり、正確な患者数は地域によって異なる場合があります。
<参照元>
・Ⅱ.多巣性運動ニューロパチー 日本神経内科学会:https://www.neurology-jp.org/guidelinem/cidp/sinkei_cidp_2013_05.pdf
・慢性炎症性脱髄性多発神経炎/多巣性運動ニューロパチー(指定難病14):https://www.nanbyou.or.jp/entry/4090
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外部サイトの関連記事:多巣性運動ニューロパチー(MMN)のリハビリテーション
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