脳卒中による側頭葉障害による聴覚と言語理解に与える影響|脳卒中・脊髄損傷|麻痺痺れなど神経再生医療×同時リハビリ™で改善

脳卒中による側頭葉障害による聴覚と言語理解に与える影響

           

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この記事を読んでわかること

側頭葉と聴覚の関係がわかる
側頭葉と言語理解の関係がわかる
失語症や難聴に対するリハビリテーションがわかる


側頭葉は記憶や言語理解、聴覚など、さまざまな機能を司っています。
そのため、脳卒中などによって障害を受けるとさまざまな症状をきたし、中でも言語理解と聴覚を同時に障害されると、他者とのコミュニケーションに重大な影響を及ぼします。
ここでは、脳卒中による側頭葉障害による聴覚と言語理解に与える影響について詳しく解説します。

側頭葉の機能とその障害が聴覚に及ぼす影響について

側頭葉の機能とその障害が聴覚に及ぼす影響について
側頭葉には下記のようなさまざまな機能があります。

  • 短期記憶の保存
  • 長期記憶の加工・保存・呼び出し
  • 言語の理解
  • 音や映像の理解

上記のような重要な機能を複数有しているため、障害を受けた場合に出現する症状もさまざまです。
ここでは、側頭葉が障害された際の聴覚に与える影響について紹介します。
まず、人が音を聞いた時にその音を認識できるのはなぜなのでしょうか??
音は外耳から体内に入り、鼓膜や耳小骨などで形成される中耳を経由して、内耳に伝達されます。
内耳は聴覚の受容器である蝸牛と、平衡感覚の受容器である三半規管と前庭で構成されており、蝸牛に流入した音は周波数の集まりとして聴神経に伝達され、脳幹にある蝸牛神経核に到達します。
その後、脳内における複雑な神経伝導路を経由して最終的に側頭葉にある聴覚皮質に情報がインプットされ、音を知覚するわけです。
そのため、音を知覚する上で最終ゴールとなる側頭葉が何らかの原因で障害されると、正常な聴覚が障害されるわけです。

話を聞く力が低下するメカニズムとその改善方法

上記で解説したように、側頭葉の障害によって聴覚が障害されますが、それとは別に話を聞く力、さらにわかりやすく言えば、言語に対する理解能力も低下します。
これは、側頭葉に存在するWernicke言語中枢が障害されるため(これをWernicke失語と呼ぶ)です。
言語中枢は、言語の表出能力を司るBroca言語中枢と、言語の理解能力を司るWernicke言語中枢の2つ存在し、それぞれ前頭葉後下部の運動皮質のすぐ前方、側頭葉後上部に存在します。
そのため、側頭葉を障害されてWernicke言語中枢を損傷すると言語に対する理解能力が失われるわけです。
ちなみに、右利きの人と左利きの人の2/3は言語中枢が左半球に局在していますが、残りの左利き1/3の人は言語機能の大部分が右半球に局在しているため、ほとんどの場合では左側頭葉の損傷がリスクとなります。
Wernicke失語では、言語の表出は基本的に問題なく、単語を流暢に発話可能ですが、しばしば意味のない発語を含み、単語同士の整合性が取れない会話になることが多いです。
また、言語の理解能力が低下するため、読み間違いや書き間違いなどが散見されるようになります。
それに対し、改善方法として下記の3つが挙げられます。

  • 根本の原因疾患の治療
  • 言語療法
  • コミュニケーション補助器具

基本的には原因疾患の治療が優先されますが、脳や神経の病気の場合、一度障害されるとなかなか再生困難であることも多いです。
そこで、発症直後から言語療法を併用することで予後の改善が見込めます。
また、コンピューター機器やノートなどのコミュニケーション補助器具を用いることで意思の伝達が可能となることもあります。

言語理解と聴覚リハビリテーションとは

側頭葉が障害されれば、言語理解と聴覚両方が損なわれるため、他者とのコミュニケーションに重大な支障をきたします。
そこで、補聴器を用いた聴覚リハビリテーションを行うことが一般的です。
補聴器を用いることでこれまで聞き取りにくくなっていた音が聞こえやすくなり、脳も音を受け入れられるように変化します。
さらに、最近では言語理解向上のために文章追唱法を併用することも多いです。
文章追唱法とは、話し手が文章を読み、その文章を補聴器を装着した聞き手が正しく追唱できるようになるまで繰り返す言語トレーニングの1つです。
これによって、補聴器の使用感に慣れたり、音の刺激に対して脳を慣れさせる効果が向上し、より改善が期待できます。

まとめ

今回の記事では、脳卒中による側頭葉障害による聴覚と言語理解に与える影響について詳しく解説しました。
側頭葉は言語理解や聴覚を司るため、脳卒中などの神経疾患によって障害されることでその機能が障害されます。
一度損傷した脳の機能が完全に元に戻ることは困難であるため、現状ではリハビリテーションによる機能の維持・改善が主な治療です。
しかし、近年では再生治療が新たな治療法として非常に注目されています。
また、ニューロテックメディカルでは、「ニューロテック®」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んです。
「ニューロテック®」では、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
また、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「同時刺激×神経再生医療Ⓡ」によって、障害された言語理解や聴覚の機能再生が期待できます。

よくあるご質問

脳梗塞で言葉が理解できないのはなぜですか?
脳梗塞で言語が理解できなくなる理由は、側頭葉の後上部に存在するWernicke言語中枢が障害されるためです。
この場合、単語などの発語は影響を受けませんが、書字や会話に対する理解能力が低下します。

左側の頭葉が障害されるとどうなるか?
脳は左右で担っている機能が異なるため、左半球が障害されると、左半球が主に担っている言語能力や計算能力、思考力などが障害されます。
ただし、必ずしも言語中枢が左半球にあるわけではなく、人によっては右半球にある人もいます。

<参照元>
・MSDマニュアル:MSDマニュアル
・J STAGE:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jasj/66/9/66_KJ00006579569/_pdf
・J STAGE:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibiinkoka/123/12/123_1409/_pdf

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貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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