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多発性硬化症と睡眠障害の関連性

           

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この記事を読んでわかること

多発性硬化症が睡眠に与える影響がわかる
多発性硬化症によって生じる睡眠障害の種類がわかる
多発性硬化症に伴う睡眠障害が心身に与える影響がわかる


中枢神経における脱髄性疾患の1つである多発性硬化症では、障害される部位に応じてさまざまな神経症状をきたし、睡眠に対しても悪影響を及ぼすことが報告されています。
長期的な睡眠障害では心身にストレスがかかり、他の疾患を併発する恐れもあるため、注意が必要です。
この記事では、多発性硬化症と睡眠障害の関連性について解説します。

多発性硬化症が睡眠に与える影響

多発性硬化症が睡眠に与える影響
多発性硬化症とは、脳や脊髄などの中枢神経に生じる脱髄性疾患です。
「脱髄」とは、神経細胞を保護するため周囲から鞘のように神経細胞を覆う髄鞘が、自身の体内で産生された抗体によって異物と誤認され、破壊されてしまうことを指します。
多発性硬化症の最大の特徴は下記の2点です。

  • 時間的多発性:再発と寛解を繰り返し、時間間隔を開けて症状が再燃する
  • 空間的多発性:中枢神経系において、単一ではなく複数の部位が障害を受ける

空間的多発性によってさまざまな部位が障害されるため、出現する症状もさまざまです。
特に、睡眠に関わる中枢神経への障害や、自己抗体が中枢神経を攻撃する際に産生される炎症性サイトカインなどが複雑に関与することで、多発性硬化症発症者の約60%で何らかの睡眠障害を出現することが報告されています。
なぜ睡眠障害をきたすのか、その病因はいまだに明らかになってはいませんが、直接的な中枢神経系の障害以外にも、自律神経障害に伴う夜間頻尿や、感覚神経障害に伴う疼痛などが睡眠に悪影響を与えている可能性が示唆されています。

多発性硬化症に伴う具体的な睡眠障害の種類

多発性硬化症に伴う具体的な睡眠障害の種類
多発性硬化症に伴う具体的な睡眠障害の種類は、主に下記の通りです。

  • 不眠症
  • 睡眠随伴症
  • 睡眠関連運動異常症(下肢静止不能症候群)
  • 睡眠時無呼吸症候群
  • サーカディアンリズム障害

不眠症とは、夜間に眠れなくなる入眠困難、眠れても途中で起きてしまう中途覚醒、早朝に起きてしまい二度寝ができない早朝覚醒などの症状をきたす病気です。
睡眠随伴症とは、睡眠中に生じる寝言、歯軋り、夜尿、悪夢など、睡眠の弊害になるような事象を指します。
睡眠関連運動異常症とは、睡眠前後や睡眠中に生じる比較的律動的な体の動きであり、これによって睡眠自体が障害されます。
特に、多発性硬化症では下肢静止不能症候群(別名、レストレスレッグス症候群・むずむず脚症候群)を併発しやすいです。
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に呼吸が浅くなる、もしくは一時的に完全に停止し、睡眠中に酸欠状態になる病気です。
多発性硬化症では、麻痺による舌根沈下や、呼吸中枢そのものが障害されることで、睡眠時無呼吸症候群を発症する可能性があります。
最後に、サーカディアンリズム障害とは、いわゆる体内時計が現実世界の時間と大幅にずれ込んでしまう病気です。
時間軸がズレることで普段起きるべき時間に起きられず、寝るべき時間に眠れなくなります。

睡眠障害の症状とその影響

上記のような原因によって睡眠が障害されると、どのような影響が出るのでしょうか?
睡眠障害によって睡眠の質や時間が低下すれば、疲労の蓄積、身体的負荷の増加、認知機能の低下、進行すればうつ症状をきたす可能性もあります。
また、睡眠時無呼吸症候群のような疾患によって長期的に身体や脳が低酸素状態に陥ると、そのストレスによって交感神経が持続的に活性化してしまい、将来的に高血圧や糖尿病、心房細動や心筋梗塞などの心疾患、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害の罹患率が増加することが知られています。
また、多発性硬化症によって睡眠障害が生じると、不眠によるストレスによって多発性硬化症自体の症状を悪化させる可能性も示唆されており、注意が必要です。

まとめ

今回の記事では、多発性硬化症と睡眠障害の関連性について詳しく解説しました。
多発性硬化症は中枢神経系を広範囲に障害するため、睡眠に関わる神経が障害されることで睡眠障害をきたすこともあります。
多発性硬化症の治療が遅れて、長期的に睡眠障害が残ってしまった場合、心身にストレスを与え、疲労の蓄積やうつ症状など日常生活に大きな支障をきたす可能性があるため、注意が必要です。
現状、睡眠障害に対しては症状を緩和する対症療法が選択されますが、近年ではこれらの神経疾患に対する再生医療が非常に注目されており、ニューロテックメディカルでは、「ニューロテック®」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んです。
「ニューロテック®」では、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
また、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「同時刺激×神経再生医療Ⓡ」によって、多発性硬化症そのものや、それに伴う睡眠障害の改善が期待できます。

よくあるご質問

多発性硬化症は眠れない原因になりますか?
多発性硬化症は眠れない原因になります。
その詳しい作用機序は解明されていませんが、中枢神経系に生じたサイトカインや睡眠中枢への直接的な影響によって、睡眠障害をきたす可能性があります。

多発性硬化症の原因はストレスですか?
多発性硬化症を最初に発症する原因としてはストレスは考えにくいですが、すでに発症している多発性硬化症が悪化する要因としては、ストレスが考えられます。
そのため、発症した後の心身のストレスには注意が必要です。

<参照元>
J STAGE:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jser/81/4/81_173/_pdf/-char/ja
Pub Med:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30701337/
厚生労働省:
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-001.html

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貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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