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脳梗塞と吐き気の関係とは

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胃腸炎や薬剤などの影響を受けて生じる吐き気や嘔吐ですが、脳梗塞が原因となって生じることもあります。
特に嘔吐の原因となる物質に反応する脳内受容体であるChemoreceptor trigger zoneが存在する延髄の最高野、小脳などに梗塞が起こると、吐き気や嘔吐がみられることがあります。
最近は胃腸相関も注目されており、激しい嘔吐に関係すると考えられています。

吐き気や嘔吐について

脳梗塞と吐き気のメカニズム
吐き気や嘔吐は、わたしたちにとって不快な症状のひとつです。
まずは、そのメカニズムについて、簡単にご説明します。

吐き気や嘔吐が起こるメカニズムについて

吐き気や嘔吐は、中枢神経系や末梢神経系を介した、さまざまな刺激によって引き起こされる症状です。
一般的には、薬剤や毒素、また細菌やウイルスが、血液、皮膚および呼吸器系、また消化管などからわたしたちの体内に侵入した際の、防御反応と考えられています。
私たちの脳内には、嘔吐中枢と呼ばれるところがあります。この嘔吐中枢が刺激されることで、吐き気や嘔吐が起こります。
嘔吐中枢を刺激するものには、胃や腸管の動きが止まってしまうことや閉塞して膨張すること、および胃腸粘膜が刺激されることなどが含まれます。
そのほかにも、有害と思われる毒素や薬品などの化学的刺激によっても、腸壁にある化学受容器が活性化され、嘔吐中枢に情報を伝達します。
また不快な視覚や嗅覚の情報、頭部の激しい痛みや頭蓋内の圧が高くなることなども、嘔吐中枢を刺激して吐き気や嘔吐につながります。

吐き気や嘔吐の原因

吐き気や嘔吐の原因として、代表的なものをご紹介します。

胃腸に原因がある場合

まずは胃腸に生じる炎症です。
例えば冬場になると、毎年ウイルス性胃腸炎が流行します。
そのほかにも食中毒、虫垂炎や胃炎なども、吐き気や嘔吐を起こします。

薬の副作用

薬の副作用として、吐き気や嘔吐を認めることがあります。
代表的な原因薬剤は抗がん薬ですが、アスピリンや鉄剤などは、多くの方が普通に内服している薬ですが、過量に内服してしまうと激しい吐き気や嘔吐を生じます。

脳内に原因がある場合

脳卒中や脳腫瘍、また髄膜炎や頭部への外傷も、吐き気や嘔吐の原因です。
ただ脳内に原因がある場合は、頭痛や手足の麻痺を伴うなど、そのほかの症状も合わせて認めることが一般的です。

めまいが原因となる場合

メニエール病や前庭神経炎と呼ばれる病気があります。
これらは、いずれもめまいを起こしますが、めまいが強くなると吐き気も強くなります。

心因的な原因

ストレスや過労、過度の緊張を強いられるようなことがあると、心因的な原因で吐き気を催すことがあります。
自律神経の乱れが影響していると考えられています。

脳梗塞と吐き気や嘔吐の関係

次に、脳梗塞と吐き気や嘔吐の関係についてご説明します。

吐き気や嘔吐を起こす脳梗塞

先ほどもご紹介したように、吐き気や嘔吐の原因はさまざまです。
しかしそのうち、脳梗塞が原因となって生じる吐き気や嘔吐があります
まず嘔吐の原因となる物質に反応する脳内の受容体であるChemoreceptor trigger zone (CTZ)が影響を受けると嘔吐を引き起こします。
このCTZは、延髄の最高野と呼ばれるところに存在しています。
この領域に脳梗塞が生じた結果、難治性の吐き気と嘔吐、またしゃっくりが生じたという報告があります。

(出典:Cohen DT, et al. Ischemic stroke induced area postrema syndrome with intractable nausea, vomiting, and hiccups. Cureus. 2020 Jun;12(6): e8630)

また、平衡感覚に関係する小脳や内耳の前庭が脳梗塞によって影響を受けると、めまいなどの症状に加えて、吐き気や嘔吐が認められることもあります。
ポルトガルにあるサンタマリア病院を受信した187名の脳梗塞の方を調査したところ、22%が発症後12時間以内に吐き気または嘔吐を訴えていました。
この吐き気や嘔吐は,頸動脈領域の脳梗塞(10%)よりも、小脳に血液を供給する椎骨脳底領域の脳梗塞(45%)でより頻繁にみられました。
より詳しく解析したところ、脳梗塞後に吐き気や嘔吐が発症するのは、椎骨脳底動脈領域の脳梗塞、発症後の頭痛やめまいが、有意に独立した予測因子となっていました。

(出典: Canhao P, et al. Nausea and vomiting in acute ischemic stroke. Cerebrovasc Dis. 1997;7:220-5)

さらに最近注目を集めているのが、脳腸相関です。これはまだ完全に原因が解明されていませんが、腸や腹部の異常と脳内の異常が密接に関係していることがわかっています。
つまり脳梗塞の影響を受けて脳腸相関が破綻し、その結果吐き気や嘔吐が発生している可能性があります。
これは、周期性嘔吐症候群と呼ばれる、繰り返し激しい嘔吐を引き起こす病態に関係していると考えられています。

脳梗塞後の吐き気や嘔吐の治療方法

脳梗塞後の吐き気や嘔吐に使用できる薬剤について、簡単にご説明します。

抗うつ薬

激しい嘔吐を繰り返す周期性嘔吐症候群では、三環系抗うつ薬の効果があると考えられています。
なお嘔吐に使用ができる通常の制吐剤では、十分な制吐効果は得られていません。

前庭リハビリテーション

平衡感覚に問題がある場合、前庭部に問題がある可能性がありますが、この場合は前庭のリハビリテーションが有効な場合があります。
前庭リハビリテーションは、平衡感覚を調節するために、脳と身体を再教育するように設計されています。
この療法は、脳梗塞後の吐き気や嘔吐の感覚を軽減するのに役立っています。
なお脳梗塞後の吐き気や嘔吐に、再生医療がどのように効果的に作用するか、まだ十分な研究はなされていません。
ただ、再生医療は基本的に脳梗塞を起こして生じた脳細胞の障害を回復させますので、吐き気や嘔吐も改善するであろうと考えられます。

まとめ

脳梗塞と吐き気、嘔吐について整理をしました。
その原因が多様で複雑な吐き気と嘔吐ですが、脳梗塞が原因となっている場合も存在しました。
麻痺などの目立つ症状に注目してしまうため、吐き気や嘔吐が脳梗塞の症状とは気づかれにくいかもしれません。
今後は神経症状に吐き気や嘔吐を伴う場合は、脳梗塞を意識した対応をすることをお勧めします。

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貴宝院 永稔【この記事の監修】
福永記念診療所 再生医療部長 再生医療担当医師

ニューロテックメディカル代表 Dr.貴宝院 永稔

大阪医科薬科大学卒業
私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。

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