脳の「見えない敵」被殻出血視床出血と上下肢麻痺とは? |脳卒中・脊髄損傷|麻痺痺れなど神経再生医療×同時リハビリ™で改善

脳の「見えない敵」被殻出血視床出血と上下肢麻痺とは?

           

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この記事を読んでわかること

被殻出血や視床出血で麻痺が出るメカニズムがわかる
被殻出血や視床出血でしびれが出るメカニズムがわかる
麻痺に対するリハビリテーションがわかる


脳出血の中でも頻度の高い被殻・視床出血では、その出血の量や程度次第では上下肢に麻痺を生じます。
一度、麻痺が残ってしまうと後遺症として残ってしまうため、発症前は予防を、発症後はリハビリを行うことが重要です。
この記事では、被殻出血視床出血による上下肢麻痺やそれに対するリハビリテーションについて詳しく解説します。

脳出血と麻痺の意外な関係と2つの症状の真実

脳出血と麻痺の意外な関係と2つの症状の真実
脳出血のなかでも特に発症頻度が多いのは被殻出血視床出血です。
脳出血全体の約35〜45%が被殻で、約25〜33%が視床で生じることが知られており、上位1、2位を占めます。
また、厄介なことに被殻や視床は非常に重要な役割を担う部位であり、これらの出血によってさまざまな神経症状が出現するため注意が必要です。
特に被殻出血と視床出血の代表的な症状として、麻痺が挙げられます。
では、なぜ麻痺が生じるのでしょうか??
通常、脳から出た運動の指令は、

大脳皮質→内包後脚→中脳の大脳脚→延髄の錐体→錐体交差→頸髄・胸髄・腰髄→末梢神経

と伝達されます。
この伝達経路は「錐体路」と呼ばれ、最終的には末梢神経が筋肉を刺激することで随意的な運動が得られるわけです。
一方で、錐体路のいずれかが障害を受けると運動の指令が筋肉までうまく伝達されず、麻痺が生じます。
また錐体交差で左右が反転するため、錐体交差よりも上位での障害の場合、左右反対側の上肢・下肢に麻痺が生じます。
錐体路のうち、内包は被殻のすぐ内側に、視床のすぐ前方に位置しており、被殻や視床で出血が起こると近隣に位置する内包が圧排され、錐体路の伝導が障害されることで麻痺が出現するわけです。
この場合、被殻や視床はどちらも錐体交差よりも上位に位置してるため、左被殻・視床出血の場合は右半身麻痺が、右被殻・視床出血の場合は左半身麻痺が生じます。
また、脳出血によるしびれなどの感覚障害も同じようなメカニズムです。
皮膚から伝達される痛みや温度などの感覚は、

末梢神経→脊髄→視床→大脳皮質

へと伝導されるため、視床出血はもちろん、近隣の被殻出血でも視床が圧排されればしびれが生じます。

麻痺を克服するために!今すぐできる5つの予防策

脳出血を発症した場合、程度や部位に応じて手術療法も選択されますが、視床出血などは脳深部のため、手術療法が困難な場合もあります。
一度脳出血によって麻痺が生じて後遺症として残った場合、現状、リハビリテーションによる機能の維持や改善しか手立てはありません。
そのため、脳出血による麻痺は事前に予防することが何よりも重要です。
ここでは、今すぐできる5つの予防策を紹介します。

  • 減塩を心がける
  • 過剰な油分・糖質は避け、野菜を摂取する
  • 定期的に運動を行う
  • 喫煙は控える
  • 肥満であればダイエットする

脳出血の発症リスクを増加させる要因として、高血圧・糖尿病・高脂血症などの生活習慣病や喫煙に伴う動脈硬化が挙げられます。
動脈硬化とは、上記のような疾患によって血管内皮が損傷し、そこに血液中のLDLコレステロールが入り込むことで動脈が硬く脆く変性した状態です。
ふとした血圧の変動に血管が耐えることができず破綻すると、脳出血をきたします。
また肥満によって内臓脂肪が蓄積すると、内臓脂肪によってインスリン抵抗性が増加し、糖尿病などの生活習慣病の発症リスクを増加させるため、肥満の方は定期的な運動習慣と規則正しい食生活によるダイエットを心がけましょう。

麻痺と共存するためのリハビリテーションは希望の光となる?

麻痺と共存するためのリハビリテーションは希望の光となる?
先述したように、脳出血によって麻痺が残ってしまった場合、共存していくにはリハビリテーションが必須です。
麻痺に陥った部位を使わなくなると筋力低下・関節拘縮などを招き、さらに機能が低下してしまうためです。
ここでは実際によく行われるリハビリテーションをいくつか紹介します。

  • CI療法
  • 課題指向型トレーニング
  • 電気刺激療法

CI療法とはConstraint-Induced Movement Therapyの略で、非麻痺側の手をミトンやカバーで使えないようにし、麻痺側のみで強制的に作業を行うリハビリ法です。
また、課題指向型トレーニングでは実生活での麻痺手の使用を目標に、実生活に沿った「歯磨きする」「文字を書く」「箸を使う」などの行動を定めて訓練する方法です。
最後に、電気刺激療法では麻痺によって使用頻度の落ちた筋肉や神経を電気刺激し、定期的に刺激することで運動パフォーマンスの向上や関節の拘縮予防を目指します。

まとめ

今回の記事では、被殻出血や視床出血の病態やリハビリテーションの効果について詳しく解説しました。
脳出血の中でも、内包付近での出血である被殻出血や視床出血では麻痺が出現しやすく、一度出血を起こすと後遺症として麻痺が残存しやすいです。
一度障害を受けた脳細胞は基本的に再生しないため、後遺症として残った麻痺に対しては定期的なリハビリテーションが唯一の対応策です。
一方で、最近では脳細胞の再生を目指す再生医療の発達も注目されています。
ニューロテックメディカルでは、「ニューロテック®」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んです。
「ニューロテック®」では、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
また、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「同時刺激×神経再生医療Ⓡ」によって、これまで根治することができなかった麻痺の改善が期待できます。

よくあるご質問

被殻出血ではどの部分が麻痺しますか?
被殻出血では、左右反対側の上下肢で麻痺が生じます。
これは近隣に位置する内包と呼ばれる部位が圧迫され、内包の機能である運動機能が障害されることで麻痺が生じるわけです。

視床出血による障害は?
視床出血では麻痺などの運動障害・しびれなどの感覚障害とともに、縮瞳や偏視などの眼症状も出現します。
また出血の程度が広範に及ぶと意識障害や、脳室穿破・水頭症などに発展するリスクもあるため、注意が必要です。

<参照元>
・日本神経治療学会:https://www.jsnt.gr.jp/guideline/img/nou2009_03.pdf
・日本脳卒中学会:https://www.jsts.gr.jp/img/guideline2021_kaitei2023.pdf

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貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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