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男性に球脊髄性筋萎縮症が多いのか

           

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この記事を読んでわかること

球脊髄性筋萎縮症の病態がわかる
球脊髄性筋萎縮症が男性でしか発症しないメカニズムがわかる
球脊髄性筋萎縮症の世界的な統計を知れる


球脊髄性筋萎縮症と呼ばれる遺伝性神経筋疾患は、その名の通り変異遺伝子によって神経細胞や筋細胞が障害を受ける病気です。
この病気の最大の特徴は、男性にのみ症状が出現する点で、女性は変異遺伝子を持っていても症状が出現することは稀です。
そこでこの記事では、男性に球脊髄性筋萎縮症が多い理由などについて詳しく解説します。

性別と球脊髄性筋萎縮症の関係

テストステロン
球脊髄性筋萎縮症は、下位運動ニューロン(脊髄から分岐した末梢神経)や骨格筋の細胞が障害されることで、緩徐に進行する四肢の筋力低下や筋萎縮、急麻痺を主症状とする遺伝性神経筋疾患です。
日本国内では2000〜3000人ほどの発症者がいると推定されており、非常に稀な難病です。
現代における遺伝子解析技術の向上により、通常はアンドロゲン受容体の遺伝子配列である「CAG」が通常は9-36回繰り返すところ、球脊髄性筋萎縮症では38回以上繰り返すことが判明しています。
アンドロゲンとは男性ホルモンのことであり、この病気の大きな特徴として、女性では発症せず男性だけに症状が出現する点が挙げられます。
逆に、女性の場合は変異遺伝子を持っていてもアンドロゲン受容体の影響が少ないため、通常はほぼ無症状、あるいは発症してもごく軽度の運動機能の低下を認めるのみです。
人の性決定システムはシンプルで、男性の持つX染色体もしくはY染色体と女性の持つX染色体が合流し、XX遺伝子となれば子供は女性に、XY遺伝子となれば子供は男性になります。
アンドロゲン受容体の遺伝子情報はX染色体に含まれるため、仮に発症者(男性)の子供が男性の場合は父親のY染色体を受け継いでいるため、変異遺伝子は受け継がれず発症しません。
しかし、子供が女性の場合は父親のX染色体を受け継いでいるため、必ず変異遺伝子の保因者となります。

男性特有のリスク要因と治療

球脊髄性筋萎縮症では、男性特有のリスクとして男性ホルモン「テストステロン」が症状に影響することが知られています。
勝野らの研究によれば、マウスを去勢してテストステロンの分泌を抑制したところ、球脊髄性筋萎縮症の症状が劇的に改善し、逆にテストステロンを投与したマウスでは症状が顕著に悪化したそうです。
以上のことからも、変異遺伝子をもつアンドロゲン受容体そのものが悪いわけではなく、変異遺伝子をもつアンドロゲン受容体にテストステロンが結合したことで症状が出現していると考えられています。
そのため、テストステロンの分泌量を抑制すれば症状が改善するのではないかと仮説が立てられ、研究の結果、2017年にはテストステロン分泌抑制作用を持つホルモン製剤「リュープリン」が治療薬として薬事承認されました。
現在では、運動神経障害に対してリュープリンや、リハビリテーションをはじめとする理学療法の併用が一般的な治療法です。

世界各国の発症率を見る

球脊髄性筋萎縮症の病態からして、男性発症者がほとんどであり、日本国内の発症者は2000〜3000人ほど、人口10万人あたり1〜2人ほどと推定されています。
一方で、発症率には地域差があることも知られています。
特に、先住民族の血を引く西部カナダ人においては、創始者効果によって有病率が人口10万人あたり4.7人ほどと推定されており、明らかに日本よりも発症率が高いです。
これはある意味当然であり、原因遺伝子を受け継ぐ人が一定地域に多くなることが起因していると考えられます。

まとめ

誤嚥性肺炎
今回の記事では、球脊髄性筋萎縮症と性別の関係性について詳しく解説しました。
球脊髄性筋萎縮症に関する最新の知見では、アンドロゲン受容体と男性ホルモンであるテストステロンが結合することで神経細胞や筋細胞が障害されてしまうと考えられています。
球脊髄性筋萎縮症では手足の筋力の低下をはじめとし、飲み込みや構音を司る筋肉が麻痺することで、日常生活に大きな支障をきたします。
最終的には誤嚥のリスクが高まり、誤嚥性肺炎によって死亡するケースが多いです。
筋細胞は障害されても再生できますが、下位運動ニューロンをはじめとする神経細胞は一度強く障害されると基本的には再生することができないため、これまで根治する術のない疾患でした。
しかし、最近では再生医療の発達が目覚ましく、不可逆的な神経症状に対し「ニューロテック®」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んです。
ニューロテックメディカルでは、脳脊髄損傷部の治る力を高める治療『リニューロ®』を提供しており、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「再生医療×同時リハビリ™」によって、神経症状からの回復・再生を目指しています。

Q&A

球脊髄性筋萎縮症は完治しますか?
球脊髄性筋萎縮症は完治する病気ではありません。
症状の進行を遅らせるために主にリハビリが実施されていますが、根治療法は確立されていないのが現状です。
また、最近ではリュープロレリン酢酸塩と呼ばれる男性ホルモンの分泌抑制作用を持つ薬が世界で初めて承認を受けました。

脊髄性筋萎縮症とALSの違いは何ですか?
脊髄性筋萎縮症とALSの違いは、障害される神経の部位と、発症する性別です。
脊髄性筋萎縮症では、下位運動ニューロンもしくは筋細胞が障害されますが、ALSでは上位運動ニューロンも障害されます。
また、ALSは男女問わず発症しますが、脊髄性筋萎縮症では男性のみ発症します。

あわせて読みたい記事:代表的な神経変性疾患の一覧


貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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