この記事を読んでわかること
・麻痺の種類とリハビリテーションの基本的な流れ
・運動機能回復を促進する理学療法の実践例
・感覚機能の回復を目指すトレーニングと生活の工夫
基本アプローチとして、早期からのリハビリテーションが重要です。
急性期は、関節拘縮を予防するための軽度なリハビリを行います。
全身状態が安定した回復期においては、立位や歩行などを安定させる機能回復訓練を中心に始め、徐々に強度を上げていきます。
同時に、左半身の感覚に注意しながら、麻痺側の積極的な使用も指導します。
麻痺の種類とリハビリテーションの基本的な流れ
この記事では麻痺の種類とリハビリテーションの基本的な流れについて解説します。
被殻出血による麻痺は、一般的に病側の反対側の片麻痺が起こることが多いです。
腕や足が動きにくくなったり、感覚が鈍くなったり、痺れたりする症状が起こります。
その他、目が閉じにくくなったり、口角が下がったりする顔面麻痺が起こり、顔の表情が左右非対称になることもあります。
これらの症状を改善するためにリハビリテーションは効果的です。
患者さんの麻痺の程度や状態に合わせて個別に計画されますが、基本的な流れは、急性期、回復期、維持期の3段階に分かれます。
急性期では、全身状態を鑑みながら、廃用症候群予防のための運動療法や体位交換などが行われます。
回復期では、麻痺した部位の運動機能回復、筋力強化、感覚障害を改善するために、より積極的なリハビリテーションが開始されます。
内容として、立位や歩行などの基本動作の訓練が行われます。
維持期では、日常生活が安全に送れるよう高度な機能訓練を行います。
運動機能回復を促進する理学療法の実践例
この記事では、運動機能回復を促進する理学療法の実践例について解説します。
理学療法では、患者さんの状態に応じた早期からの介入と段階的なアプローチを行います。
急性期では、現病の状態が安定している前提で、まず関節可動域の維持と廃用症候群の予防に焦点を当てます。
具体的には、ベッド上で麻痺した側の関節の拘縮を防ぐための運動や、寝返りや体位変換の練習などを行います。
回復期に入ると、より積極的な理学療法を開始します。
運動麻痺に対しては、麻痺側の筋力強化トレーニングを行います。
同じ動作を繰り返し行うことで、神経回路の再構築を促す、反復運動が代表的なものです。
その他、体重を支え、姿勢を保持する能力を高めるためのバランス訓練や補助器具を用いた歩行訓練も行います。
加えて、日常生活動作の改善を目標とした訓練も重要です。
食事、排泄、着替えなどの生活基本動作を、麻痺側も積極的に使用しながら練習します。
こういった理学療法は、理学療法士によって、患者さんの回復状況に応じてプログラムが組まれ、継続的な評価により、目標設定を変えながら実践されます。
感覚機能の回復を目指すトレーニングと生活の工夫
この記事では感覚機能の回復を目指すトレーニングと生活の工夫について解説します。
後遺症として、痺れや痛みなどの感覚障害が生じる場合があります。
まずは、麻痺側の四肢にさまざまな素材や温度の刺激を用いて、触覚、温度覚、痛覚などの感覚を刺激する感覚刺激訓練を行います。
同時に、視覚情報を活用して、触れている物を観察しながら感覚を意識する訓練が行われることもあり、脳内での感覚情報の処理向上を目指します。
鏡療法も効果的な方法の一つです。
鏡を使って、麻痺側の腕や手を鏡に映し、健側の動きを麻痺側が動いているように錯覚させ、脳が麻痺側の動きを学習しやすくする手法であり、感覚機能の回復を促します。
また、日常生活の工夫として、意識的に麻痺側を使用することが重要です。
例えば、食事の際に麻痺側の手で食器を持つ訓練や、着替えの際に麻痺側から服を着るなどの行為により意識的に感覚入力を増やし改善をめざします。
一般的にこれらのトレーニングによる感覚機能の回復は、時間がかかる場合も多く、根気よく取り組むことが重要です。
まとめ
今回の記事では、右脳被殻出血後の麻痺を改善するための基本アプローチについて解説しました。
左右に関わらず被殻出血は脳出血の中で最も多い部位です。
片麻痺が代表的な症状で、後遺症として残ることもたびたびあります。
この状態は、病変部位の神経組織が壊死している状態です。
神経組織を再生すると症状は軽減しますが、なかなか難しいのが現状です。
そのため、新たな治療法として、再生医療に期待が持てます。
『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』を、ニューロテック®と定義しました。
ニューロテック、脳梗塞脊髄損傷クリニックなどでは、脳卒中・脊髄損傷を専門として、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しております。
リニューロ®とは、脳卒中や脊髄損傷、神経障害の患者さんに対する『狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療』と定義しております。
具体的には、同時刺激×神経再生医療Ⓡに加えて、治療効果を高めるために骨髄由来間葉系幹細胞、神経再生リハビリ®を併用し、神経障害の更なる軽減を目指しています。
これらの治療法は、右被殻出血の麻痺による後遺症で苦しむ患者さんに対して期待が持てる治療となるでしょう。
よくあるご質問
- 被殻出血では麻痺は起こりますか?
- 被殻は、身体の運動をコントロールする部位です。
そのため、この部位が出血によって損傷すると、病側の反対側の片麻痺が起こることが一般的です。
麻痺の重症度は、出血の大きさによって異なります。 - 脳の被殻出血の後遺症は?
- 出血の大きさ、損傷した部位、治療の経過などによって異なるため一概に回答はできません。
でも、一般的に、出血した病側の反対側の片麻痺が後遺症となります。
その他、感覚障害、高次脳機能障害、言語障害などの症状が残ることもあります。
<参照元>
・脳出血になってしまったら|回復リハビリテーションnet:
https://kaifukuki.doctorsfile.jp/sick/02
・脳内出血|MSDマニュアル:
https://www.msdmanuals.com/
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