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脳梗塞後の運動や活動に関する禁止事項

           

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この記事を読んでわかること

激しい運動による脳梗塞への影響がわかる
高地や飛行機で脳梗塞リスクが増加する理由がわかる
若年で発症する脳梗塞のメカニズムがわかる


脳梗塞の発症予防や再発防止には適度な運動や食生活の見直しが効果的です。
しかし、激しい運動は身体に負担がかかり、脳梗塞の発症リスクを増加させる可能性があります。
また、高地における長期滞在や飛行機でもリスクが上がるため、注意が必要です。
そこで、この記事では脳梗塞後の運動や活動に関する禁止事項について詳しく解説します。

過度な運動とその危険性

軽い運動をする
脳梗塞の発症予防には適度な運動やバランスの良い食事が重要ですが、過度な運動はおすすめできません。
本来、脳梗塞に対する運動療法で期待できる効果は主に下記の2つです。

  • 動脈硬化の抑制
  • 廃用症候群の抑制

脳梗塞の原因となる動脈硬化は、運動療法によってその進行が予防できます。
また、脳梗塞の後遺症である麻痺などによって体動が困難となることで、筋力が萎縮してしまう廃用症候群も、運動療法によって予防が期待されます。
しかし、過度な運動は心肺機能に負担をかけるため、脳梗塞後ではかえって悪影響となるリスクもあり、注意が必要です。
具体的には、下記のようなリスクが挙げられます。

  • 一時的な血圧の上昇
  • 脱水に伴う血液濃縮
  • 不整脈の誘発

脳梗塞の原因は長期的な高血圧などに伴う動脈硬化や、心房細動などの不整脈が挙げられます。
過度な運動による急激な血圧の上昇は動脈に負担をかけ、脳出血をはじめとする脳血管障害の発症リスクを増加させるため注意が必要です。
また、激しい運動による発汗で体内の水分量が減少すると、血液が濃縮されて血栓が形成されやすくなってしまいます
さらに、過度な運動は不整脈の原因であり、それによって心臓内の血液の流れが悪くなると、やはり血栓が形成されやすくなるため、特に脳梗塞の発症には注意が必要です。
過度な運動は控え、身体に大きな負担を掛けない適度な有酸素運動を心がけましょう。

高地や飛行機での移動の注意点

脳梗塞の方は、高地や飛行機での移動に際しては注意が必要です。
高地や飛行機での移動ではヘマトクリット値が上昇し、脳梗塞の原因となる血栓が形成されやすくなるためです。
ヘマトクリット値とは血液中に赤血球が占める割合であり、脱水状態や赤血球数の増加によって上昇します。
飛行機内は非常に乾燥しており、また自由に水分を持ち込めないケースもあるため、脱水状態に陥りやすいです。
また、山岳などの高地に長期滞在すると、低酸素状態でも全身に酸素を効率よく運搬するために、酸素を全身に運搬する役割を持つ赤血球が代償性に増加します。
これらの理由から、高地や飛行機での移動ではヘマトクリット値が上昇しやすく、脳梗塞発症のリスクが高まってしまうわけです。
対策としては、十分な水分摂取と禁煙が良いでしょう。
水分摂取すればその分ヘマトクリット値は上昇しにくくなります。
また、喫煙者の場合、赤血球が一酸化炭素と結合してしまい、効率よく酸素を運搬できなくなるため、体内で多量の赤血球が産生されます。
そのため、非喫煙者と比較してヘマトクリット値が日常的に高くなるため、高地での喫煙などはより控えるべきでしょう。

重い物の持ち上げや過度なストレッチのリスク

重い物の持ち上げや過度なストレッチも、脳梗塞のリスクを増加させるため注意が必要です。
これらの運動によって右心房の圧が急上昇し、本来の血液の流れとは異なる流れが発生することで脳梗塞が生じるためです。
通常、血液は静脈→右心房→右心室→肺動脈と流れ、肺で酸素をたくさん吸収したのち、肺静脈→左心房→左心室→大動脈→全身という順に巡ります。
血液の流れが遅い静脈には血栓が形成されやすく、なんらかのきっかけで血栓が飛んでしまうと、右心房→右心室→肺動脈と通過して、最終的に肺動脈でトラップされるため、脳へ到達することはありません。
しかし、成人の約20%の方は右心房と左心房を繋ぐ孔(卵円孔)が開存しており、運動などによって右心房の圧が急上昇すると、右心房の血液が左心房に流入します。
その結果、運悪く血栓が飛んでいた場合、右心房→左心房→左心室→大動脈という経路で最終的に血栓は脳に到達します。
これを奇異性脳塞栓症と呼び、卵円孔が開存している方では激しい運動には注意が必要です。

まとめ

今回の記事では、脳梗塞後の運動や活動に関する禁止事項について詳しく解説しました。
適度な運動は脳梗塞の予防につながりますが、過度な運動の場合はリスクを伴います。
血圧の変動や脱水に伴い脳梗塞を引き起こしやすくなるため、身体への負担を考慮した運動に留めるべきです。
また、高地での低酸素状態や飛行機内での脱水に伴いヘマトクリット値が増加するため、脳梗塞を不安な方は注意すべきでしょう。
一度脳梗塞が発症すれば、麻痺やしびれなどの後遺症が残り、根治できない可能性が高いです。
一方で、脳梗塞による不可逆的な神経症状に対し、最近では「ニューロテック®」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んです。
ニューロテックメディカルでは、脳脊髄損傷部の治る力を高める治療『リニューロ®』を提供しており、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「再生医療×同時リハビリ™」によって、後遺症からの回復・再生を目指しています。

Q&A

脳梗塞に筋トレは有効ですか?
脳梗塞には筋トレなどの運動が有効です。
運動による動脈硬化の予防は脳梗塞の発症リスクを低下させます。
また、脳梗塞によって麻痺が生じた場合、筋力維持のためにも筋トレは有効な手段です。

気圧の変化は脳梗塞に影響しますか?
気圧の変化と脳梗塞の関係はこれまでの研究結果で報告に差があります。
しかし、気圧の変化は脳血管の拡張や収縮を引き起こすため、なんらかの影響を与える可能性は十分あり得ます。

あわせて読みたい記事:脳梗塞のリスクを低減する生活習慣


貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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