頚椎症性神経根症は自然治癒できるのか? | 脳卒中・脊髄損傷|麻痺痺れなど神経再生医療×同時リハビリ™で改善

頚椎症性神経根症は自然治癒できるのか?

           

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この記事を読んでわかること

頚椎症性神経根症とは
自然治癒の可能性とその時間
症状を管理するための治療


頚椎症性神経根症とは、頸椎の椎間板や骨棘により神経根が圧迫され痛みやしびれを生じる疾患です。
多くは加齢によるものなので予防だけでなく、適切な治療も重要になります。
頚椎症性神経根症は生活に影響を与える疾患ですが、その多くは自然に改善します。
この記事では頚椎症性神経根症の治療や経過について解説します。

頚椎症性神経根症とは

頸椎の各部
頸椎は脊椎の中でも頭側にあり、7つの骨により構成されます。
頸椎の中を脊髄が通り、それぞれの高さで椎間孔と呼ばれる穴から神経根を出しています。
神経根とは文字通り、全身に分布する神経の「根本」です。
加齢により椎間板(椎体と椎体の間に存在するクッションの役割)が変性して飛び出したり、骨棘(骨の一部が尖って飛び出してしまうもの)が生じたりすると神経根を圧迫します。
頚椎症性神経根症は、頸椎での神経根の圧迫により手の痛み、痺れを生じる疾患です。
人によっては筋力低下を訴える場合もあります。
脊髄を圧迫しているわけではないので下肢に症状は出現しません。
また、神経根は左右に一本ずつ走行しているので、左右対称というよりは左右差のある症状や左右どちらか一方の症状が多いです。
正確な有病率は判明していませんが、1000人あたり3.5人と報告する文献もあります。
症状がなくとも、10%程度の人は椎間板の変性や骨棘の形成で神経根が圧迫されつつある場合もあり、頚椎症性神経根症の素因を持つ人はもっと多いといえます。

自然治癒の可能性を高めるための生活習慣改善

禁煙やる!
頚椎症性神経根症の予後は悪くありません。
特別な治療を行わずとも、85%以上が8-12週で症状が軽快すると報告されています。
治る可能性を少しでも上げて、かつ期間を短くしたい場合には以下のような手段をとるとよいでしょう。

生活習慣

首を後ろにそらす、首を左右にすることで神経根の圧迫は強まります。
痛くない範囲での運動は大丈夫ですが、特に急性期には痛みを誘発する姿勢をとらないことが重要です。

禁煙

喫煙は頚椎症性神経根症のリスクの一つです。
また、禁煙することで症状が改善することが知られています。
喫煙は他の多くの疾患のリスクですので、禁煙もしくは喫煙量を減らすなどを考えてみるのもよいでしょう。
なお、飲酒と頚椎症性神経根症の関係性については一定の見解は出ていません。
少量であれば発症を抑制するという報告もあります。

体勢・姿勢の管理

頚椎症性神経根症の自然治癒を促進するためには、正しい姿勢を維持することが非常に重要です。
日常生活の中で姿勢を意識し、椅子や枕などを使用して適切なサポートを行うことが推奨されます。
また、ストレッチや軽度の運動を定期的に行うことで、筋力を維持し、頚椎への負担を軽減できます。
特に、首や肩を柔軟にするストレッチは、痛みの緩和にも役立ちます。

症状を管理するための治療

薬物療法

薬物療法

多くの場合、上記のような生活習慣の改善に加え、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)による薬物療法が行われます。
特に初期の症状は神経根による圧迫で炎症が起きているので、NSAIDsがよく聞くといわれています。
しびれの症状が強い場合は、プレガバリンやミロガバリン、メチコバール、ノイロトロピンなどの神経障害性疼痛に聞くとされる薬物を用いることがあります。
また、神経を局所麻酔でブロックする神経ブロック注射もあります。
内科では行っていないところが多く、整形外科や麻酔科、ペインクリニックなどを探すとよいでしょう。

非薬物療法

非薬物療法には装具療法や手術療法があります。
装具療法で用いられるのは頸椎カラーです。
症状を改善させるだけでなく、関節を保護することで更なる椎間板の変性や骨棘の形成を予防することが期待されます。
つけている間は首の動きが制限されるのがデメリットです。
保存療法(運動療法、装具療法、薬物療法)で改善せず、なお生活の質に大きく影響する場合には手術療法が検討されます。
アプローチの方法はいくつかありますが、いずれも神経の通り道を広げて神経根の圧迫を取り除くように行われます。
近年では体への負担が少ない、内視鏡を用いた手術も行われています。

頚椎症性神経根症と自然治癒についてのまとめ

頚椎症性神経根症は有病率が高く、生活に影響を与える疾患ですが、その多くは自然に改善します。
少しでも症状に悩む期間を短くするには、生活習慣の改善や運動療法、禁煙などを行うとよく、強い症状が改善しない場合や著しくQOL(Quality if life:生活の質)を損ねる場合には手術療法を行います。
一旦障害を受けてしまった神経細胞はなかなか修復されることがありません。
これまでは対症療法を行いながらじっと耐えるしかありませんでしたが、最近では再生医療が期待されています。
当院ではまだ頚椎症性神経根症に対する再生医療は行っておりませんが、脊髄損傷や脳卒中の後遺症を持つ方に対しニューロテック®という再生医療を行っています。
神経再生医療×同時リハビリ™でより高い効果を目指しています。
後遺症にお悩みの方はぜひお問い合わせください。

よくあるご質問

頚椎症性神経根症はどれくらいで治る?
保存的加療(安静、消炎鎮痛剤の投薬など)でほとんどが自然に改善すると言われています。期間としては2-3ヶ月が目安です。それ以上経っても改善しない、ひどく生活の質が阻害されるなどがあれば手術療法なども検討されます。

頚椎症性神経根症と頚椎ヘルニアの違いは何ですか?
頚椎ヘルニアとは頚椎の椎間板が飛び出した状態で、症状というよりは形態による病名です。ヘルニアにより神経根が圧迫されて症状が生じた場合には頚椎症性神経根症と診断されます。

<参照元>
Individual factors associated with neck disability in patients with cervical radiculopathy scheduled for surgery: a study on physical impairments, psychosocial factors, and life style habits
https://link.springer.com/article/10.1007/s00586-013-3066-0
Management of Cervical Spondylotic Radiculopathy: A Systematic review
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9609507/

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貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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