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シェーグレン症候群について

           

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シェーグレン症候群とは、自身の免疫細胞が誤って唾液腺や涙腺を攻撃してしまう自己免疫性疾患です。
また、唾液腺や涙腺以外に肺や腎臓、血管、神経などの臓器障害をきたすこともあり、全身に様々な症状をきたします。
さらに、膠原病に併発することも多く非常に厄介な病気です。
この記事では、シェーグレン症候群について解説していきます。

シェーグレン症候群とは

シェーグレン症候群、唾液腺と涙腺
シェーグレン症候群とは、自己免疫が関与して自身の免疫細胞が唾液腺や涙腺を攻撃してしまう自己免疫性疾患です。
本来であれば体内に侵入した細菌やウイルスなどの異物を攻撃する免疫細胞ですが、なんらかの原因で自身の正常な細胞を異物と誤認し、攻撃してしまう病気を自己免疫性疾患と言います。
1933年、スウェーデンの眼科医ヘンリック・シェーグレンの発表した論文によってこの名前が付けられました。
日本でも、1977年の厚生労働省研究班の研究から広く認知されるようになり、現在ではその治療の難しさから難病に指定されています。
2011年の厚生労働省研究班の報告によれば、国内の医療機関受診患者数は年間で68,000人であり、主に50代の女性が多いと言われていますが、子供から老人まで幅広い年齢で発症します。
また、関節リウマチ、SLE、多発性筋炎、皮膚筋炎などの膠原病に併発することも知られています。

シェーグレン症候群の原因

シェーグレン症候群の原因は、自己免疫の異常です。
しかし、なぜ自己免疫異常が起きてしまうかまで解明されておらず、主に下記のような要因が複雑に関与して発症していると考えられています。

  • 遺伝的要因
  • ウイルスなどの環境要因
  • 免疫異常
  • 女性ホルモンの要因

シェーグレン症候群の症状

ドライアイ
なんらかの膠原病に併発するシェーグレン症候群の場合、その症状は全身に広がり多岐に渡りますが、シェーグレン症候群単独の症状としては主に3つに分類されます。

  • ドライアイ・ドライマウス
  • 全身の臓器障害
  • 血液疾患の合併

ドライアイ・ドライマウス

シェーグレン症候群の症状として、涙腺や唾液腺が障害されることに伴うドライアイドライマウスが挙げられます。
他にも、鼻腔や膣の乾燥も報告されており、命に関わるような症状ではないものの、目の痒み・口腔内の衛生環境悪化・鼻血など、日常生活に支障をきたす症状が出現します。
発症患者の約45%は乾燥症状のみをきたすと報告されています。

全身の臓器障害

シェーグレン症候群の症状として、免疫細胞の炎症反応に伴う全身の臓器障害などが挙げられます。
炎症に伴い全身倦怠感・関節痛・皮疹などが生じ、間質性肺炎・神経障害・腎障害・筋症状など多臓器に障害が及ぶこともあります。
発症患者の約50%はなんらかの臓器障害を併発すると報告されており、特に肺や腎臓は生命予後に関わる可能性もあり、積極的な治療が必要となります。

血液疾患の合併

シェーグレン症候群の症状として、悪性リンパ腫や原発性マクログロブリン血症などの併発が挙げられます。
発症患者の約5%がこれらの血液疾患を併発すると報告されています。

シェーグレン症候群の治療

結論から言えば、自己免疫の異常を根本から止める方法がないため、シェーグレン症候群を根治できる治療法はありません。
そのため、現状行われている治療はそれぞれの症状を緩和するような対症療法です。

乾燥に対する治療

目や口腔内の乾燥は著しく日常生活の質を低下させます。
そのため、点眼薬で目の乾燥を予防し、虫歯対策のために口腔内を清潔に保つ必要があります。
市販の点眼薬には防腐剤が含まれているため、常習的な防腐剤の使用は角膜障害を引き起こす可能性があるため注意が必要です。
また、過度な冷暖房の使用、扇風機の使用、副流煙などは乾燥を招くため、可能な限り避けるようにしましょう。

臓器障害に対する治療

臓器障害の主な原因は自己免疫であるため、免疫能力を下げるためにステロイドや免疫抑制剤が用いられます。
また、関節炎などの症状に対しては鎮痛剤も用いられます。

血液疾患に対する治療

悪性リンパ腫などを併発した場合は、免疫細胞のガン化が生じているため、分子標的薬や化学療法を用いて治療します。
特に近年は分子標的薬の開発によって予後が改善されています。

まとめ

今回の記事ではシェーグレン症候群について解説しました。
シェーグレン症候群は難病指定されている自己免疫性疾患であり、多くの患者では涙腺や唾液腺が障害され、約50%の患者では臓器障害を併発します。
涙腺や唾液腺の症状は命には関わらないものの、その症状の程度によっては日常生活に大きな支障をきたし、生活の質(QOL)を著しく制限する症状となり得ます。
一方で、臓器障害や悪性リンパ腫は生命予後にも関わるため、早期治療が必要となります。
現状、シェーグレン症候群を根治する術はなく、出現した症状に対する対症療法が主です。
また、神経細胞は他の細胞と異なり一度損傷すると基本的に再生しないため、シェーグレン症候群に伴う神経障害は非常に厄介な病気です。
しかし、近年では再生医療が発達しており、損傷した神経細胞を再生できる可能性もあり、現在その知見が待たれるところです。

Q&A

シェーグレン症候群の皮膚症状は?
シェーグレン症候群の代表的な皮膚症状として、環状紅斑や凍瘡様紅斑が挙げられます。
環状紅斑は堤防状に辺縁が隆起した紅斑であり、凍瘡様紅斑はしもやけの様な紅斑を指します。他にも、指先の色が変色するレイノー現象が代表的です。

シェーグレン症候群の禁忌は?
シェーグレン症候群では、涙腺や唾液腺が障害されるため、目や鼻腔、口腔内で乾燥が生じることが多いです。
そのため、鼻閉改善薬や抗うつ剤、抗ヒスタミン薬などの唾液分泌量を減少させる薬は使用を控えるべきです。

<参照元>
・難病情報センター:https://www.nanbyou.or.jp/entry/3773
・MSDマニュアル:https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/09-脳、脊髄、末梢神経の病気/末梢神経疾患/シャルコー-マリー-トゥース病

あわせて読みたい記事:シェーグレン症候群の症状と治療


貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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