脳梗塞患者が避けるべき納豆の理由とは? | 脳卒中・脊髄損傷|麻痺痺れなど神経再生医療×同時リハビリ™で改善

脳梗塞患者が避けるべき納豆の理由とは?

           

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この記事を読んでわかること

脳梗塞の人が食べてはいけないもの
脳梗塞で納豆がダメな理由
そのほかに注意すべき食べ物


納豆は低脂質で高タンパク、さらに豊富なビタミンを含む素晴らしい食材ですが、実はある条件下では脳梗塞のリスクを上昇させてしまうことが知られています。
心臓が原因で起きる脳梗塞の予防や治療に用いられるワーファリンという抗凝固薬の作用を打ち消してしまうのです。
そこで本書では納豆と脳梗塞の関係性について解説します。

脳梗塞と食生活の関係

納豆
脳梗塞とは脳の血管が詰まる病気です。
原因によって心原性脳塞栓症、アテローム性血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞、そのほかの脳梗塞に大別されます。
心原性脳塞栓症心臓の拍動リズムが不整になることで心臓の中に血の塊(血栓)ができて、脳に飛んでしまう病態です。
アテローム性血栓性脳梗塞動脈硬化や血管内に蓄積した脂肪の塊(アテローム)により脳の太い血管が閉塞してしまう病態です。
ラクナ梗塞動脈硬化によって徐々に血管が細くなっていくことで脳の細い血管が閉塞する病態です。
ラクナ梗塞やアテローム性血栓性脳梗塞などの非心原性脳梗塞では動脈硬化が主な原因になります。
特に高血圧や高脂血症、糖尿病などの生活習慣病は動脈硬化を進行させてしまうため、脳梗塞が心配な方は生活習慣に気を付ける必要性があります。
具体的には塩分の高い食べ物、脂質の高い食べ物は控える必要性があります。
逆にカリウムを豊富に含む緑黄色野菜は血液中の塩分を体外に排出する作用があるため、積極的に摂取すべきです。
高塩分で高脂質で野菜の少ないラーメンや牛丼がいかに有害か分かりますね。
このように脳梗塞が心配な方には、食べない方がいいものと積極的に食べた方がいいものがあります。
では、心原性脳塞栓症ではどうでしょうか?
脳梗塞の中でも心原性脳塞栓症の方は、心臓の拍動リズムに問題があったり、心臓内に人工物(ペースメーカーや手術による機械弁など)が入っていることで、血液の流れが悪くなり心臓内に血栓ができてしまいます。
ラクナ梗塞やアテローム性血栓性脳梗塞の原因が動脈硬化であったことに対して、心原性脳塞栓症の血栓形成の原因はあくまで「血液の流れが悪い」からです。
池やプールでは水の流れが遅いところにゴミが溜まりますが、心臓内でも同様に流れが悪いところに血栓が出来てしまうのです。
そもそも血栓形成の過程では、まず最初に血小板が集まることで血小板血栓を作ります。
この血小板血栓はまだ弱くて脆い状態ですが、その後周囲をフィブリンという凝固因子が覆って強くすることでいわゆる血栓ができます。
このフィブリンが形成される過程では12種類の凝固因子と呼ばれるものがそれぞれ複雑に反応し合って最終的にフィブリンを形成し、血小板血栓を覆い固めて血栓を形成します。
さて、ある条件下の心原性脳塞栓症の方にも他の脳梗塞同様食べない方が良いものが存在します。
その代表格はなんと「納豆」なのです。
納豆は低脂質、高タンパクであり「納豆=健康に良い」という固定概念がある日本人では信じられないかもしれませんが、実際にある条件下の患者さんでは納豆は控えるべき食べ物なのです。

納豆の健康効果と脳梗塞リスクを増す理由

前述したように血栓形成には血小板の凝集と、フィブリンの合成が必要不可欠です。
そこで血栓形成を抑制するためには血小板の凝集を抑制する抗血小板薬か、凝固因子を抑制する抗凝固薬を用います。
中でも心原性脳塞栓症の予防や治療には凝固因子を抑制する抗凝固薬を用います。
一般的に使用される抗凝固薬にはいくつかの種類がありますが、その中の1つであるワーファリンという抗凝固薬は納豆と非常に相性が悪いです。
12種類の凝固因子のうち、4つの凝固因子(第Ⅱ,Ⅶ,Ⅸ,Ⅹ因子)はビタミンK(ケー)というビタミンが関与して肝臓で合成されています。
ワーファリンという抗凝固薬はこのビタミンKの作用を阻害することで、4つの凝固因子の合成を阻害し最終的にフィブリンが形成されないようにすることで血栓形成を抑制しているのです。
では、なぜ納豆とワーファリンの相性が悪いのでしょうか。
納豆1パック(40g)にはビタミンKが240μgと非常に多く含まれていて、これがワーファリンの薬効を打ち消してしまうため血栓が形成されやすくなってしまうからです。
よって、脳梗塞の予防や治療目的でワーファリンを内服されている方には納豆を避けるように食事指導します。
あくまで心原性脳塞栓症の予防や治療目的でワーファリンを内服している方との相性が悪いだけで、納豆そのものは非常に健康に良い食材であることを忘れてはいけません。

脳梗塞に良い食事とは?

脳梗塞患者に推奨される食事として、野菜、果物、オメガ3脂肪酸を豊富に含む魚(サーモン、サバなど)が挙げられます。
これらの食品は、動脈硬化を防ぎ、血圧を正常に保つ効果があります。
塩分の摂取量を減らし、食物繊維を豊富に含む全粒穀物やナッツ類の摂取も有効です。
また、適度な水分補給を行い、体内の血液循環を良好に保つことが重要です。

脳梗塞を予防するための食事アドバイス

医療従事者であれば誰しもが、ビタミンKが多い=納豆というイメージを持っていると思いますがそのほかにもビタミンKを多量に含有している食べ物があります。
例えば、緑黄色野菜を濃縮した青汁やクロレラなどは非常にビタミンK含有量が高いため、ワーファリン内服下では注意が必要です。
ほかにも海苔などの海藻類にもビタミンKが豊富に含まれていて注意が必要です。
これらの食材を一切摂取してはいけない訳ではなく、実際にはワーファリンの効果を血液検査で確認しながら食生活やワーファリンの量を調節していきます。
逆に急に食生活を変えてワーファリンの効果が強くなりすぎると出血のリスクが高まるため、必ず医療機関と相談しながら適切な食生活を送るべきです。

血栓を防ぐための食品

納豆はビタミンKが豊富で、抗凝固剤と干渉することがあります。
逆に、血液をサラサラに保つ食べ物として、青魚、オリーブオイル、緑黄色野菜が推奨されます。

脳梗塞と食生活の関係についてのまとめ

また近年では再生医療も注目されています。
今まで脳梗塞によって脳細胞が傷つくと2度と回復することはないと言われてきました。
しかし、再生医学の進歩で改善する可能性があります。
具体的には骨髄の中にある幹細胞を取り出し、培養したものを点滴投与する方法です。
幹細胞には損傷した細胞を再構築する能力があるからです。
現在、多くの治療結果が積み重なってきており、その成果が今後更に明らかになっていくと思います。

よくあるご質問

脳梗塞に納豆はダメですか?
脳梗塞の予防や治療のために「ワーファリン」を内服している場合、納豆は効果を打ち消してしまうため禁止されます。
納豆自体は脳卒中の死亡率を低下させる効果があるため、ワーファリンを内服していない場合はむしろ食べたほうが良い、ということになります。

脳梗塞の最新治療法は?
脳梗塞のタイプにより、抗血小板薬や抗凝固薬、脳保護薬が用いられます。発症から早期であれば血栓溶解療法(概ね4.5時間以内)や血栓回収療法(24時間以内)が行われることがあります。
近年では再生医療が注目されており、当院でもニューロテック(神経再生医療×同時リハビリ™️)という『脳の治る力を高める治療』を実施しています。

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貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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