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頚椎症性筋萎縮症の基本的な知識

           

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この記事を読んでわかること

頚椎症性筋萎縮症とはどのような病気か
脊髄性筋萎縮症とはどのような病気か
頚椎症性筋萎縮症と脊髄性筋萎縮症の治療法


頚椎症性筋萎縮症は、頚椎症性変化が原因で脊髄が圧迫され、上肢の筋萎縮がみられる病態です。
この記事では、頚椎症性筋萎縮症の原因や予防法、再生医療を含めた治療法について述べます。
また、同じように筋萎縮を呈する脊髄性筋萎縮症についても最新の研究も交えて解説します。

頚椎症性筋萎縮症の原因とその予防方法

首の負担と角度
神経の問題が原因で、筋肉が萎縮(いしゅく:筋肉が弱く、小さくなること)してしまう病気があります。
その一つに、頚椎症性筋萎縮症があります。

頚椎症性筋萎縮症の原因

頚椎症性筋萎縮症の原因は、首の部分の背骨である頚椎や、頚椎と頚椎の間のクッションのような役割をしている椎間板などが変形、変性する、つまり頚椎症が起こることで、脊髄や神経根が圧迫されるというものです。
頚椎症による神経障害は、感覚機能と運動機能が同時に損なわれることが多いとされています。
しかし、手や腕の脱力が主な症状となり、明らかな感覚の障害や疼痛(痛み)が無いか、あっても軽微な障害を呈するのみである特殊な病態を、頚椎症性筋萎縮症と呼びます。

頚椎症性筋萎縮症の発症メカニズムとしては、以下のようなものが考えられています。

  • 椎間孔(脊髄が椎体から出ていく通り道)で脊髄の前根(ぜんこん)という部位が圧迫されること
  • 脊髄前角部(ぜんかくぶ)での圧迫とそれに伴う血流不足
  • 上記2つの混合型

頚椎症性筋萎縮症は、脊髄のC5・C6レベルでの神経が障害され、肩関節を上げたり、肘関節を曲げたりする際の筋力低下が主な訴えとなることが多いです。

頚椎症性筋萎縮症の予防方法

頚椎症性筋萎縮症を予防するためには、まずは頚椎症にならないようにすることが大切です。
頸椎の良い姿勢を保ち、特に後屈を避けることが重要です。
上を見上げる姿勢はとらない、首をぐるぐる回す運動は避ける、腹ばいでの読書や不適切な姿勢でテレビ視聴をしないといった点に注意しましょう。
また、就寝時には頸部までしっかり固定できる面積の広い枕を使用することも大切です。
これらのような点に注意し、神経症候の悪化を防ぐことができます。
頚椎カラーも有効とされています。

難病としての認定基準と現状

頚椎症性筋萎縮症と同様に、筋肉の萎縮がみられる病気として、脊髄性筋萎縮症があります。
頚椎症性筋萎縮症の主要な原因は、頚椎の椎間板の変性、骨棘(こっきょく)の形成、靭帯の硬化などの頚椎症性変化が元となり、脊髄圧迫を引き起こすことです。
つまり、頚椎症性筋萎縮症は神経圧迫に起因しており、脊髄そのものに問題が生じることはまれです。
一方で、脊髄性筋萎縮症は遺伝的な病気です。
遺伝子の異常により、脊髄前角細胞(運動ニューロン)が減少し、筋肉の動作に必要な信号の神経伝達機能が損なわれます。
つまり、脊髄そのものに異常があることで筋肉に萎縮がおこるのです。
厚生労働省は指定難病としており、症状の重さによってI型からⅣ型に分類されています。
治療法としては、遺伝子変異が確認された場合には、遺伝子治療薬が投与されることが認められています。
また、呼吸困難になる場合には気管切開や人工呼吸器で呼吸のサポートが必要となります。
いずれにしても、根本的な治療法はまだ開発されていません。
平成24年度の医療受給者証保持者数は712人とされています。

最新の治療技術や進行中の研究

頚椎症性筋萎縮症に対しては保存的な治療をまずは行います。
具体的には、3か月程度の頚部の安静、薬物治療、頚部の牽引(けんいん)を主とする理学療法、装具療法が試みられます。
4か月以上経っても保存的な治療で症状の改善が見られない場合には、脊髄の圧迫を取り除く目的での手術治療が行われます。
術式としては、脊椎前方除圧固定術などがあります。

最新の治療技術や進行中の研究

同じような筋萎縮を呈する病気である脊髄性筋萎縮症については、現時点では根治が難しいとされています。
特に、乳幼児期から発症するタイプでは、その生命予後は厳しいといえます。
脊髄性筋萎縮症は遺伝子の異常によって引き起こされる病気ですが、スピンラザ® (ヌシネルセン)という薬は遺伝子に作用し、筋肉を保つために必要なタンパク質の量を増やす効果があります。
この薬を使ったNURTURE試験というものがあります。
この研究最前線の報告では、SMA(脊髄性筋萎縮症)で5年前の症状発現前にスピンラザによる治療を開始した小児は、全員が生存し、25人中23人が自力歩行し、運動機能は維持あるいは改善していました。
これらの研究対象症例は治療成功例とも言えるでしょう。
今後のさらなる知見が期待されます。

まとめ

頚椎症性筋萎縮症や、似た症状を呈することがある脊髄性筋萎縮症について解説しました。
一度強く障害された神経は回復が難しく、手術を行っても神経そのものを修復することはできません。
そこで、今後は再生医療も治療の選択肢として大きな役割を果たす可能性があります。
ニューロテックメディカル株式会社では、「ニューロテック®」という脳卒中・脊髄損傷・神経障害などに対する幹細胞治療の基盤特許を取得しています。
頚椎症性脊髄症に対しては、再生医療と最先端のリハビリテーションを組み合わせた治療法である「神経再生医療×同時リハビリ™」を実践しています。
頚椎症性筋萎縮症に対する再生医療についてご興味のある方は、ぜひ一度当院までお問い合わせ下さい。

よくあるご質問

頚椎症性筋萎縮症とはどんな病気ですか?
頚椎症性筋萎縮症は、首の骨と骨の間にある椎間板の膨隆(ヘルニア)や骨棘(骨のとげ)が神経を圧迫する病気です。 症状としては腕や肩の力が入りにくいといった症状がみられることが多いです。

脊髄性筋萎縮症の余命は?
人工呼吸器で呼吸をサポートしなければ、死亡年齢は平均6〜9カ月、95%は18カ月までに死亡するといわれています。救命のためには、多くの例で気管内挿管や気管切開と人工呼吸管理が必要となります。

<参照元>
近位型頚椎症性筋萎縮症 14 例に対しての前方手術成績:https://www.jstage.jst.go.jp/article/spinalsurg/28/2/28_151/_pdf
脊髄性筋萎縮症(指定難病3):https://www.nanbyou.or.jp/entry/135

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貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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