視神経脊髄炎(NMOSD)という指定難病について|脳卒中・脊髄損傷|麻痺痺れなど神経再生医療×同時リハビリ™で改善

視神経脊髄炎(NMOSD)という指定難病について

           

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視神経脊髄炎は、自己免疫の過剰反応によりグリア細胞や神経細胞が障害を受け、視力低下やしびれや痛み、感覚低下、脱力感など様々な症状を惹き起こす中枢神経系の自己免疫疾患です。
この記事では、視神経脊髄炎の原因や特徴、治療方法について説明しています。

視神経脊髄炎とは

視神経脊髄炎という指定難病について
視神経脊髄炎は、脳・脊髄・視神経に炎症などが起き障害を受ける部位によって様々な症状を発症する中枢神経系の自己免疫疾患です。
本疾患の原因とされる抗アクアポリン4抗体陽性の場合、これまでの視神経脊髄炎の診断基準を満たさないケースも含めて視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)とされています。
日本国内で約6,500人の患者さんがいて、発症率は男女比1:9、発症年齢は30代後半~40代前半が多いと報告されています。

視神経脊髄炎の原因

脳や脊髄などの中枢神経系は、神経細胞と血管、グリア細胞で構成されています。
グリア細胞は神経細胞の10倍以上も存在しており(約1兆個)、神経活動における電気的な信号の情報伝達をより効果的により素早い速度で行うために神経線維を覆っているミエリン鞘を形成する「オリゴデンドロサイト」、神経細胞に栄養を与えたり過剰なイオンや神経伝達物質を速やかに除去したり神経細胞の生存と働きを助けている「アストロサイト」などがあります。
視神経脊髄炎では、抗アクアポリン4抗体がアストロサイトなどを破壊することにより炎症反応やミエリン鞘が破壊され脱髄が起き、情報伝達経路に障害が生じ特徴的な病変を惹き起こします。

視神経脊髄炎の主な症状

炎症反応や脱髄が起こる部位によって様々な症状が起こります。

視神経の異常で起こる症状

見えにくくなる、目がかすむといった症状が、数時間~数日間で生活に支障が出るほど進んでしまいます
急な視力の低下、視野の欠落などがみられ、視野の欠落は炎症が起こっている部位によって症状が異なります。
色の区別がつかない、まぶしい、目の奥が痛いなどの症状が現れることもあります。

脳・脊髄の異常で起こる症状

脊髄・視床下部・延髄・大脳など脳の炎症部位によって異なる症状が現れます。
止まらないしゃっくりや吐き気、眠気、麻痺や脱力(運動機能障害)、痺れや痛み(感覚障害)などが現れます。
また、歩いたり動いたり活動する時間とともに体が動きにくくなる運動疲労もみられる一方で、活動の有無にかかわらず朝起きたばかりなのに疲れている、全く動けないなど、生活に支障をきたすほどの強い倦怠感が生じることもあります。
体を動かすと鋭い痛みが生じ、手足や腹筋がつっぱる「有痛性強直性痙攣」の症状もよくみられます。
さらに、尿や便が出にくい、回数が増える、排尿後もすっきりしない、失禁してしまうなどの排泄障害が起こることもあります。
上記の様な様々な症状があらわれますが、寿命にはそれほど影響しないといわれています。

視神経脊髄炎の治療法

視神経脊髄炎は、もともと多発性硬化症の一種と考えられており、症状悪化時にステロイドパルス療法を行うことは従来型の多発性硬化症と共通していますが、効果がみられない場合は積極的に血漿交換といわれる血液中の抗体を取り除く治療法が行われます。
多発性硬化症とは再発予防の治療方針が全く異なるため、視神経脊髄炎の治療方針決定には、多発性硬化症と視神経脊髄炎を区別することが最も重要です。

視神経脊髄炎の寛解期と再発

視神経脊髄炎は、急性期の治療が終わると症状が落ち着いてくる寛解期(ある程度症状が改善し悪化せずに落ち着いている状態)がやってきます。
寛解期に病気が進行することは稀ですが、無治療の場合は1年に1~1.5回の頻度で再発するといわれています。
再発が起こると、初発時よりも後遺症が残りやすいことが報告されているため、適切な治療で再発を防ぎ、寛解期を継続させることが大切です。

当院で行っている再生医療リハビリについて

当院では再生医療と再生医療の効果を増幅させる同時刺激を組み合わせた複合治療法「ニューロテックⓇ」を行っています。
骨髄由来の間葉系幹細胞を培養し点滴することで、骨髄由来細胞が神経細胞に分化し損傷部位にとどまり、さらにサイトカインを産生することにより、神経損傷に対する治療効果が認められています
抗アクアポリン4抗体により損傷を受けた神経細胞を再生医療により回復させながらリハビリを行うことで、視神経脊髄炎の進行を抑制したり再発を予防できたりすることが期待できます。

まとめ

この記事では、視神経脊髄炎の原因や症状、治療法についてご説明しました。
現状では、視神経脊髄炎を完治することは困難ですが、将来的に再生医療を組み合わせることにより症状の進行抑制に繋がり、患者さんの希望となれることを切に願っています。

Q&A

視神経脊髄炎の初期症状は?
炎症部位によって異なりますが、視神経に障害が生じた場合には視力低下などが、脊髄に障害が生じた場合はしびれや痛み、感覚低下、脱力感が初期症状として現れます。

視神経脊髄炎の再発率は?
症状が落ち着いたのち、無治療の場合は1年に1~1.5回の割合で再発するといわれています。
再発を繰り返すと、後遺症が増え重症度が進んでしまうケースもありますので注意が必要です。
<参照元>
難病情報センター:https://www.nanbyou.or.jp/entry/3808


貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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