側頭葉障害による後遺症で話を聞くことの難しさについて|脳卒中・脊髄損傷|麻痺痺れなど神経再生医療×同時リハビリ™で改善

側頭葉障害による後遺症で話を聞くことの難しさについて

           

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この記事を読んでわかること

側頭葉障害による難聴との付き合い方がわかる
側頭葉障害による言語理解への影響がわかる
側頭葉障害による後遺症の方の家族にできることがわかる


側頭葉は聴覚と言語理解の両方を司るため、障害を受けると難聴と言語理解困難の2つの機序で他者とのコミュニケーションに重大な支障をきたします。
そのため、側頭葉障害に対する後遺症に対しては本人のリハビリと、家族によるサポートが必要不可欠です。
この記事では、側頭葉障害による後遺症で話を聞くことの難しさについて解説します。

聴覚問題で日常生活が変わった時にやっておくこと

聴覚問題で日常生活が変わった時にやっておくこと
聴覚障害とは、音を認知するための外耳・中耳・内耳・蝸牛神経・脳(側頭葉)に何らかの障害をきたし、聴覚に障害をきたした状態を指します。
厚生労働省の調べによると、令和4年の聴覚・言語障害の人数は37.4万人であり、視覚障害者と同様に高齢者比率が高いという結果でした。
次に、先天的に難聴な方と、側頭葉の障害による後遺症で難聴になった人では状況が異なります。
先天的な難聴の場合、そもそも言語を覚える機会がないため、主な会話方法は手話になります。
しかし、後遺症による難聴(中途失聴者)の場合、失聴するまでに使用していた日本語などを母語とする人も多く、普通の声で話す人もいるため、一見コミュニケーションに問題がないと思われるケースもあり、注意が必要です。
中途失聴者であっても、聴覚障害に陥ると十分に人の声が聞こえない、もしくは正常に理解することができなくなるため、他者とのコミュニケーションに重大な問題を抱え、人と人との間に壁ができてしまうことが問題です。
他にも、下記のように日常生活のありとあらゆる場面に影響をきたします。

  • 家族の団欒にうまく参加できない
  • 洗濯が終わった音を認知できない
  • 後ろからのバイクや自動車の接近に気付けない
  • 役所や病院で自分の番号のアナウンスに気付けない

このように、さまざまな場面で困難が生じるため、日常生活から工夫して生活していく必要があります。
例えば、他者とのコミュニケーションは主に筆談や手話・口語(自分で声を出して相手に言葉を伝える方法)、最近では文章作成アプリなどを用いるケースも少なくありません。
また、最近のテレビやスマホ動画では字幕を設定可能であり、日常生活においてなるべく情報を文字でインプットできるように環境整備しておくことも重要です。
他にも、来客や家事の終了の合図を視覚に訴えるようなサイレンの設置なども有効な手段です。
身体障害者手帳の申請によって、これらの日常生活用具の給付や貸し付け、補助や各種給付金の受給も得られるため、ぜひ利用してみましょう。

言語理解の問題に対する対処とリハビリ方法

側頭葉障害の場合、聴力だけでなく、言語理解能力にも支障をきたします。
これは、側頭葉には言語中枢の1つであるWernicke言語中枢が存在しているためです。
Wernicke言語中枢では、言語に対する理解能力を司っており、側頭葉後上部に存在しているため、側頭葉の障害によって言語に対する理解能力が失われます。
右利きの人と左利きの人の2/3は言語中枢が左半球に局在していますが、残りの左利き1/3の人は言語機能の大部分が右半球に局在しているため、ほとんどの場合では左側頭葉の損傷がリスクとなります。
もう1つの言語中枢であるBraca言語中枢が保たれていれば、言語の表出は基本的に問題ないですが、言語理解が困難となることで読み間違いや書き間違い・整合性が取れない会話などが生じます。
これらの言語障害に対し、基本的に行われる治療は言語療法などのリハビリテーションです。
具体的な方法としては、絵の書かれた紙と単語の書かれたカードを照合する方法であり、これによって「読む」能力が訓練されます。
次に、「話す」能力の訓練としては、イラストの書かれた画像を押すとその名称が音として鳴る訓練機を用いて、何度も絵に描かれたモノの名称を復唱する訓練がおすすめです。
何度も何度も音を聞いては復唱し、正しく呼称できるように訓練します。
また、慣れてきたらその単語を紙に書き出すことで「書く」能力も同時に訓練できます。

言葉がうまく理解できない時のサポートとして家族ができること

言葉がうまく理解できない時のサポートとして家族ができること
本人のリハビリによる努力や日常生活に適応するための工夫も大事ですが、それだけでは障害を持つ方にとって生活は困難であり、家族のサポートが必要不可欠です。
サポートする上で、家族は下記のようなポイントを抑える必要があります。

  • 言語障害のことをしっかり理解する
  • 相手が理解しやすい表現でコミュニケーションをとる
  • 相手の言葉を理解できない時は、理解できたふりをしない

まず、家族が言語障害のことをよくわかっていない状態で一緒に生活すると、正しい判断や選択が困難となるため、家族はできる限り、言語障害のことを理解するように努めましょう。
その上で、言語以外のコミュニケーション(視線やジェスチャーなど)を大切に行うことで、時間経過とともに双方のコミュニケーションも育てられていきます。
また、理解できていないのにわかったふりをすると、患者にはそれが自覚できてしまい、尊厳を深く傷つけてしまうため、絶対に理解できたふりは控えましょう。

まとめ

今回の記事では、 側頭葉障害による後遺症で話を聞くことの難しさについて詳しく解説しました。
側頭葉は脳の中でも聴覚を司る部位であり、障害されると正常な聴覚が損なわれます。
さらに、言語の理解を司るWernicke言語中枢も障害されるため、仮に情報が脳にインプットされても、正常に理解することができない可能性があります。
この2つの機序から、側頭葉損傷では話を聞くというコミュニケーションに重大な支障をきたす可能性があるため、注意が必要です。
現状では、リハビリテーションによる機能の改善・維持が唯一の治療法ですが、近年では再生治療が新たな治療法として非常に注目されています。
また、ニューロテックメディカルでは、「ニューロテック®」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んです。
「ニューロテック®」では、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
また、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「同時刺激×神経再生医療Ⓡ」によって、側頭葉障害に伴う後遺症の改善が期待できます。

よくあるご質問

側頭葉が障害されるとどうなる?
側頭葉は記憶の保存・音の知覚・言語の理解能力などさまざまな機能を有しているため、障害されることで記憶障害・難聴・感覚性失語などの後遺症が残る可能性があります。
特に、難聴と失語症は他者とのコミュニケーションに重大な支障をきたします。

脳の側頭葉の役割は?
脳の側頭葉の役割は、音の知覚・資格や言語から得た記憶の処理や保存・言語の理解などです。
ほとんどの人の場合、言語を理解するためのWernicke言語中枢は左側頭葉に存在します。

<参照元>
・厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/content/12201000/001259398.pdf
・J Stage:https://www.jstage.jst.go.jp/article/apr/21/3/21_3_177/_pdf
・J Stage:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjcomdis1983/16/2/16_2_88/_pdf

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貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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