この記事を読んでわかること
・坐骨神経痛の概要
・坐骨神経痛の原因
坐骨神経は人体にある末梢神経の中で最も長い神経です。
長い神経のどこかで圧迫や狭窄などが起こると痛みを生じるのが、坐骨神経痛です。
坐骨神経痛の全てが原因を特定できているわけではありませんが、原因の疾患が見つかることも多くあります。
この記事では坐骨神経痛の原因について解説します。
坐骨神経痛とは
坐骨神経痛とは、文字通り坐骨神経による痛みのことです。
坐骨神経は腰椎・仙椎から出る、非常に太い末梢神経であり、主に臀部~下腿を走行します。
何らかの原因により、坐骨神経が障害を受けると疼痛を感じます。
坐骨神経痛に特徴的な症状は臀部~太もも後面~ふくらはぎの全部もしくは一部に生じる痛みです。
単なる腰痛は坐骨神経痛ではありません。
痛みの性質は焼けるような、ビリビリするような、撃たれたようななど人により様々です。
末梢神経の問題なので多くが片側性(左右のどちらか一方)の症状も特徴的と言えます。
発症は、重いものを持ち上げようとした時や急に体をひねった時などが多いといわれています。
しかし、ゆっくりと徐々に発症する例も少なくありません。
治療の基本は対症療法、つまり鎮痛薬です。
アセトアミノフェン、ロキソプロフェンが最も使用されます。
ほとんどが6週間以内に改善するといわれますが、下記の椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症による他の症状がある場合、疼痛が強すぎる場合、除去可能な原因がある場合などは手術治療が行われます。
痛いとどうしても動きたくなくなりますが、過度な安静でも症状が治まるまでの期間は短くなりません。
痛くない範囲で通常の生活を過ごすのが良く、前傾姿勢をとる、同じ姿勢で長時間過ごす、重たいものを持つ、速いスピードで体をひねるなどの動作は行わないようにしましょう。
椎間板ヘルニアと腰部脊柱管狭窄症が坐骨神経痛に与える影響
椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症では、脊髄が入っている脊柱管が細くなります。
腰の高さでは馬尾という末梢神経が通っているので、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症があると圧迫されやすい、すなわち坐骨神経痛の症状が出現しやすいと言えます。
他に原因がない場合は、椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症が原因として治療を進めます。
まずは保存的に対症療法が取られることが多く、改善する例も多いです。
麻痺や膀胱直腸障害(失禁、排尿障害、失便など)がある場合、しびれや痛みが強くてどうにもならない場合は手術療法が行われることがあります。
姿勢が坐骨神経痛の原因となる理由
坐骨神経は非常に長い神経であり、背骨から足先まで続いています。
その間、骨や血管、筋肉などを乗り越える必要があり、姿勢の影響を受けるものもあります。
例えば、長座位や前傾姿勢は脊柱の内圧が上がりやすい姿勢と言われています。
椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症では内圧が上がり、脊柱管が圧迫されることで症状が出やすくなることも考えられます。
坐骨神経痛の原因には梨状筋症候群という疾患あります。
坐骨神経は脊柱から出たすぐに、梨状筋という筋肉のすぐ傍を通ります。
中には梨状筋を坐骨神経が貫く場合もあります。
梨状筋が坐骨神経を圧迫することで生じる坐骨神経痛を梨状筋症候群と言います。
筋肉は姿勢や動作により収縮の程度が変わるので、坐骨神経痛が姿勢の影響を受ける一因になります。
まとめ
この記事では坐骨神経痛の概要を述べ、特に原因について解説しました。
原因を特定できた場合にはその治療を行うことになりますが、原因疾患が手術治療の適応ではない、手術はしたくない、そもそも坐骨神経痛の原因が特定できないなど、症状とともに過ごさなければならない期間もあると思います。
その際は対症療法を行うことになります。
長期間続いて慢性疼痛となってしまうこともあります。
神経障害による慢性疼痛の治療の一つに再生医療が期待されています。
残念ながらまだ坐骨神経痛に特化した再生医療はありませんが、今後の発展に注目したいです。
当院では脊髄損傷後遺症に対してニューロテック®という「神経障害は治ることを当たりまえにする」取り組みを行っています。
ニューロテック®の中のリニューロ®は、同時刺激×再生医療、骨髄由来間葉系幹細胞、神経再生リハビリにて「治る力を高める治療」により構成され、少しでも患者さんに満足いただけるように取り組んでいます。
坐骨神経痛の患者さんにはまだ対象ではありませんが、常に最新の知見を集めて診療に望んで参ります。
よくあるご質問
坐骨神経痛の原因として最も多いのはどれか?
坐骨神経痛は坐骨神経に構造的な影響や圧迫があれば生じます。坐骨神経の原因の中で多いのは腰椎椎間板ヘルニアです。高齢者では腰部脊柱管狭窄症や脊椎すべり症が原因になることもあります。
坐骨神経痛でしてはいけないことは?
坐骨神経痛では負担を軽くするためにいくつかの動作に注意すべきです。具体的には、長時間の同じ姿勢を避ける、重いものを持ち上げない、前傾姿勢を取らない、過度に安静にしないです。痛みの出ない範囲でいつも通りの生活を行いましょう。
<参照元>
National library of medicine.Sciatica:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK507908/
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