この記事を読んでわかること
・脳出血の急性期とはいつか
・脳出血を早期発見・早期治療することの重要性
・脳出血の検査・治療方法はどのようなものか
脳出血の急性期とは、発症から1〜2週間の時期とされています。
この間には、意識レベルや麻痺の程度などを詳細に観察しつつ、血圧を適切な値に下げたり、必要であれば脳内血腫を除去したりする治療が必要となります。
今回の記事では、脳出血の急性期の時期に行うことについて詳しく解説していきます。
早期発見・早期治療が大切なわけ
脳出血とは、高血圧が長く続いたことなどが原因となり脳の血管が破れ、脳内で出血をきたしてしまった状態のことです。
脳出血の原因は、高血圧が長く続いたことによる動脈硬化や、先天的な血管の奇形などがあります。
また、喫煙、飲酒が発生に関連する要因といわれています。脳出血の場合は、低栄養状態を反映したコレステロール値の異常低値も発生に関与します。
脳出血の症状としては、頭痛やめまい、言葉がうまく発せなくなる、手足の痺れなどがあります。
脳出血では前触れとなる症状が特になく、突然に現れることが多いのですが、軽度な症状のうちに医療機関を受診し、早期治療を行うことが大切です。
それでは、脳出血において早期発見・早期治療が必要な理由を解説します。
脳圧を制御による神経機能の維持
脳出血が起こり脳内に血腫(血の塊)ができると、脳圧、つまり脳内の圧力が高まります。
脳圧が高くなると、脳の神経組織に損傷を与えてしまいます。
脳出血を早期に発見し、血圧を適切な値に下げる降圧治療を行うことで、脳圧を制御し、脳のダメージを最小限に抑えることが期待できます。
合併症の予防
脳出血が進行すると、さまざまな脳出血の合併症が生じる可能性があります。
脳出血の合併症としては、脳浮腫(脳組織がむくんで腫れてしまう)、けいれん、意識障害、呼吸障害、水頭症(脳の中に水がたまる)などがあります。
また、脳圧が高まると、脳ヘルニアという脳を包む頭蓋骨から脳の一部が飛び出すような状態になってしまうこともあります。
こうなると、呼吸を司る脳幹が圧迫され、死亡のリスクが高まってしまいます。
脳出血を早期発見・早期治療することによって、こうした合併症が起こる可能性を下げることが期待できます。
病院での画像診断と評価の意味
脳出血が疑われた場合の脳出血の検査としては、頭部CTがまずは行われます。
脳梗塞やくも膜下出血でも、片麻痺やろれつ困難などの症状をきたすので、脳出血病変があるかどうかをチェックします。
そして、脳出血であると判断された場合には、脳血管造影などで血管の奇形や脳動脈瘤がないかどうかを評価します。
もしも血管奇形や動脈瘤があれば、その治療を行わなければ再度脳出血が生じる危険性があるため、そちらの治療を行っていく必要があるからです。
高血圧を伴う血圧管理が大事なわけ
脳出血の予防のためにも、治療のためにも血圧の管理はとても大切です。脳出血や脳梗塞、くも膜下出血を含む脳卒中の最大の原因は、高血圧とされています。
高血圧の最大の原因は食塩の過剰摂取であるといわれているので、減塩をこころがけることで脳卒中を予防しましょう。
また、脳出血の急性期において血圧高値を適切な値(収縮期血圧140mmHg)に下げることは、脳卒中治療ガイドラインでも妥当とされています。
理由としては、脳出血後に機能改善が良好になるからというものや、血腫の拡大をある程度抑制する効果があるというものがあります。
なお、脳卒中治療において急性期とは、一般的に発症から1〜2週間以内とされています。
脳内血腫の除去が必要になる場合
脳出血の治療では、血圧を適切に下げることが基本です。
薬物治療で、血圧を下げ、脳の浮腫を抑える点滴治療を行っていきます。
しかし、脳内血腫がとても大きく、脳の実質を圧迫しているような場合や、脳の血腫の部位によって手術で血腫除去が可能な場合には脳内血腫除去術を行います。
血腫除去術には、頭の骨を外し顕微鏡を用いて出血を治療する「開頭術」と、頭の骨に小さな穴をあけ、そこから内視鏡を挿入し血液を取り除く「内視鏡手術」があります。
まとめ
今回の記事では、脳出血の急性期の検査や治療について解説しました。
脳出血後にもし麻痺などの後遺症が残った場合には、リハビリで機能回復を行っていきます。
一方、従来脳出血で傷ついた神経細胞は、完全に修復することが難しいとされてきました。
当院ニューロテックメディカルでは、『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』をニューロテック®と定義しました。
そして、脳卒中や脊髄損傷、神経障害の患者さんに対する『狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療』のリニューロ®を提供しています。
リニューロ®は同時刺激×神経再生医療、骨髄由来間葉系幹細胞、神経再生リハビリによって『狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療』です。
脳出血後、後遺症などに悩み再生医療にもご興味のある方は、ぜひ一度当院までご相談ください。
よくあるご質問
脳出血の急性期に観察する項目は?
脳出血の急性期には、再出血や脳圧の亢進、脳ヘルニアを早期に発見するために、全身状態やバイタルサイン、瞳孔、対光反射などを観察します。また、急性期から筋拘縮の予防や関節の可動域を保つための病床リハビリテーションを開始します。
脳出血の急性期はいつまでですか?
脳出血の急性期は、一般的に発症から1〜2週間以内とされています。全身と脳の状態が落ち着き、点滴治療が不要になり、病状が悪化せずに安定してきた時期と考えると良いでしょう
<参照元>
脳卒中治療ガイドライン2021〔改定2023〕日本脳卒中学会 脳卒中ガイドライン委員会:https://www.jsts.gr.jp/img/guideline2021_kaitei2023.pdf
脳内出血 – 脳神経外科教室 京都大学医学部附属病院:https://neurosur.kuhp.kyoto-u.ac.jp/patient/disease/dis24/
脳血管障害・脳卒中 | e-ヘルスネット(厚生労働省):https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-006.html
2.合併症のある高血圧の治療 4)脳卒中.日内会誌.2011:100;400-405.:https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/100/2/100_400/_pdf
あわせて読みたい記事:脳出血と高血圧や心血管疾患の関係
外部サイトの関連記事:早急に対処が必要なクモ膜下出血の初期症状とは
コメント