この記事を読んでわかること
・脳出血と後遺症について
・脳出血に対して急性期にできること
・家族の持つべき心構えとは?
脳出血とは脳の血管がなんらかの原因で破綻し、その部位に応じて様々な症状が生じる病気です。
出血により脳が圧迫されると命の危険性もあります。
後遺症により介護が必要な場合や、意識が戻らず寝たきりになってしまう可能性もありますが、そんな時家族は何をすべきでしょうか?
今回は、脳出血後の家族ができることについて解説していきます。
脳出血と後遺症について
脳出血はガンや生活習慣病と異なり徐々に進行するような病気ではなく、思ってもいない瞬間に発症し一気に生命を脅かすような病気であり、ほとんどの人やその家族は経済的にも精神的にも事前の準備などする間も無く病院に運ばれてしまうはずです。
脳とは多くの神経が複合的に集まった組織であり、有する機能や役割は多岐に渡ります。
そのため、出血によって脳のどの部位が障害されるかで発症する症状もそれぞれです。
特に後遺症として代表的な症状は上肢や下肢の麻痺、痺れや、排尿や排便の機能に関わる膀胱直腸障害です。
また出血が激しい場合、頭蓋骨という骨の容器内にどんどん血液が貯留していくため徐々に脳が圧迫されてしまい、結果的に呼吸機能や循環動態が破綻したり、意識障害が出現し寝たきりになってしまう方もいます。
一般的に脳出血後の平均的な余命は12年程度であり、発症年齢が高齢な方ほど余命は短くなる傾向にあります。
逆に言えば、大切な家族が脳出血を発症した場合、発症したその日から後遺症を持つ状態の家族と12年近く寄り添う覚悟が必要になるということです。
では具体的に、脳出血になった患者の家族はどういった対応をすべきなのでしょうか?
脳出血に対して急性期にできること
急性期には少しでも早く治療介入を行うことが後遺症などの予後の改善に関わることがわかっているため、医療機関では主に脳出血の治療が優先して行われます。
しかし、急性期の治療がある程度落ち着き病状が安定した場合、自宅に帰るための急性期リハビリテーションが行われます。
リハビリ時の患者の機能次第では、自宅の改修やリフォームなど必要な準備を行っていく必要があります。
また必要があれば介護保険の申請も家族が行うべきです。
脳出血に対して回復期にできること
次に急性期リハビリテーションが落ち着いた後は、そのまま自宅に帰る患者と、回復期リハビリテーションを行う病院に転院し、より安全な在宅復帰を目指してリハビリに励む期間に入る患者に分かれます。
もし仮に回復期リハビリテーション病院に転院する場合、施設内で様々なリハビリが実施されます。
この時期のリハビリにはもちろん家族によるサポートも重要ですが、施設内の医師や看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士など多職種によるリハビリが行われるため、ご家族は患者のメンタル部分のサポートが大切になります。
脳出血に対して在宅介護でできること
在宅介護こそ家族のサポートが最も重要な場面です。
まず、病状の面で言えば再発を予防するような生活習慣を心がけなくてはなりません。
血圧の変動や生活習慣病の併発は避けるべきであり、そのためには健康的な食事や、適度な運動、定期的な処方薬の内服など家族がサポートすべきことはたくさんあります。
また可能であれば積極的に外出を促し、発症以前のような快活さを取り戻すようにメンタル部分でのサポートも必要になります。
次に介護の面では、介護保険の申請を行い活用すべきです。
介護保険の守備範囲は非常に広く、在宅介護や通所サービス、自宅の改修や福祉用具の貸し出しなど多くのサービスを利用できます。
患者本人が自分で全ての手続きを行うことはなかなか非現実的であるため、家族によるサポートが必須になります。
これらの多種多様なサービスの中から実際にどういったサービスを利用するかは入院中のリハビリ時の患者機能などから鑑みてソーシャルワーカーが相談に乗ってくれますので、それらの手続きも行っておくべきです。
家族の持つべき心構えとは?
脳出血の患者の家族には、まず脳出血そのものに対する知識や、それぞれが持つ後遺症に対する知識をしっかりと持つ必要があります。
それぞれの患者に対しどんな時にどんなサポートが必要なのかをある程度自分で判断できるようになるからです。
また筆者が考える最も重要な心構えは、家族間だけで介護を背負いすぎないということです。
前述したように、介護には身体的、精神的、経済的な側面で様々なサービスが存在するため、積極的にそれらのサービスを利用し、負担を一手に背負いすぎないことが重要です。
常にベストな介護を提供するためには必ず役割分担が必要であり、役割分担は患者本人のためにもなります。
まとめ
今回は脳出血患者に対する家族の対応についてまとめました。
脳出血で一度損傷した神経細胞は基本的に回復しないため発症により多くの後遺症を残し、急性期から家族がやるべきことはたくさんあります。
特に在宅に退院してからは患者と過ごす時間が多くなるため、適切な対応を取れるように準備する必要があります。
また近年では、再生医療の発達が目覚ましいです。
自身の骨髄内の自己幹細胞を取り出し、培養したものを体に戻すことで損傷した細胞を再構築する治療法であり、これにより損傷した機能が回復することが期待されています。
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