この記事を読んでわかること
・片頭痛が脳梗塞リスクを高めるメカニズムがわかる。
・片頭痛と脳梗塞の共通する症状の見分け方がわかる。
・片頭痛のタイプ別に脳梗塞との関係性がわかる。
片頭痛は脳梗塞リスクと関連があり、特に前兆を伴う片頭痛は虚血性脳卒中の可能性が高まります。
本記事では、片頭痛と脳梗塞の関係性、共通する症状の見分け方、リスクを高めるメカニズムについて詳しく解説。
特に発症パターンや持続時間、頭痛の特徴などを比較し、適切な判断のポイントを紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
片頭痛が脳梗塞リスクを高めるメカニズムとは?
片頭痛は、発作性に起こる一次性頭痛の事です。
症状は4〜72時間続き、片側の頭が拍動するように痛むのが典型的です。
動くことで悪化し、吐き気や光・音・匂いに対して過敏になることもあります。
前兆(閃輝暗点や視覚異常など)が見られるのは片頭痛患者の約25%で、通常は頭痛の直前に起こりますが、頭痛の後に続くこともあります。
また、神経症状や胃腸症状、自律神経症状が伴うことも特徴です。
この片頭痛は、世界人口の約15%、つまり10億人以上が悩まされているとされ、特に女性に多い傾向があります。
片頭痛は、特に女性や前兆のある片頭痛の方において、虚血性脳卒中(脳梗塞)や心筋梗塞などの虚血性心疾患と関連しています。
この根本的なメカニズムとしては、以下のような物が考えられています。
- 内皮機能不全:血管の柔軟性が低下し、血流の調節が不安定になる。
- 凝固亢進:血液が固まりやすくなり、血栓が形成されやすくなる。
- 血小板凝集:血小板が過剰にくっつき、血流を妨げるリスクが増加する。
- 血管けいれん:脳血管が異常に収縮し、一時的に血流が途絶える可能性。
- 心血管リスク因子:高血圧、喫煙、経口避妊薬の使用が関連する。
- 奇異性塞栓症:卵円孔開存(PFO)を持つ患者では、静脈血栓が脳に移動しやすい。
- 拡散性脱分極:脳の電気的異常が血流に影響を与える可能性。
- 遺伝リスクの共有:片頭痛と脳梗塞に関連する遺伝的要因。
- 非ステロイド性抗炎症薬の使用:一部の薬剤が血液凝固に影響を与える可能性。
片頭痛と脳梗塞に共通する症状の見分け方
片頭痛の中でも、一時的に回転性のめまいや運動失調、耳鳴り、構音障害、難聴、複視、意識レベル低下といった症状を伴う、脳幹性前兆を伴う片頭痛というタイプがあります。
また、片麻痺性片頭痛という、運動麻痺(脱力)を含む前兆がある片頭痛があります。
そのため、片頭痛なのか脳梗塞なのかを症状から鑑別することは難しい場合があります。
症状の見分け方としては、特に以下のようなポイントがあります。
以下のポイントを参考にすることで、より正確な判断が可能になります。
発症パターン
片頭痛は徐々に症状が進行するが、脳梗塞は突然発症することが多いです。
持続時間
片頭痛の前兆症状は1時間以内に消失することが多いですが、脳梗塞の症状は長時間続き、改善がみられない場合が多いです。
頭痛の特徴
片頭痛は典型的な拍動性の頭痛が続きます。
一方、脳梗塞では、頭痛が目立たない場合も多いです(特に後方循環領域の梗塞)。
既往歴
過去に同様の発作がある場合、片頭痛の可能性が高いです。
逆に、初めて経験する症状の場合、脳梗塞を疑うべきです。
鑑別が難しい場合
片麻痺性片頭痛や脳幹性片頭痛は、症状が一時的であっても脳梗塞と誤認されることがあります。
TIA(一過性脳虚血発作)との鑑別も重要となります。
TIAは脳梗塞の前兆であり、数分〜数時間で症状が改善しますが、後に脳梗塞へ進行する可能性があります。
明らかに脳梗塞が疑われる場合(突然の麻痺・ろれつが回らない・意識障害など)は、すぐに救急受診すべきです。
疑わしい場合は、すぐに医療機関を受診することが最も大切です。
片頭痛のタイプ別に見る脳梗塞との関係性
片頭痛は、前兆があるタイプとないタイプに大きく分けられます。
そして、片頭痛性脳梗塞という片頭痛の合併症があるのですが、これは前兆のある片頭痛の典型的な頭痛発作中に発症し、画像検査によって証明された虚血性脳血管障害と定義されています。
この片頭痛性脳梗塞は、ほとんどの場合、若い女性で起こり、特に後方循環領域という脳の後部を支える血流系の領域で発生します。
後方循環領域は主に椎骨動脈(VAs)と脳底動脈(BA)を中心とする循環系です。
脳の後頭葉、小脳、脳幹などの重要な部位に血流を供給しています。
ここに梗塞が起こると視覚障害やめまい、小脳失調などが出現します。
前兆のある片頭痛患者においては虚血性脳卒中、つまり脳梗塞のリスクが2倍ほどに増加することが証明されていますが、これらは「片頭痛性脳梗塞」ではないことに注意が必要です。
特に、片頭痛患者における脳梗塞リスク増加には、片頭痛自体の影響だけでなく、生活習慣や血管リスク因子も関与していると考えられています。
まとめ
今回の記事では、片頭痛と脳梗塞の関係性について解説しました。
片頭痛と脳梗塞には共通する症状が多いため、特に「突然発症するか」「持続時間が長いか」「過去の類似発作があるか」を判断基準にすることが重要です。
また、片頭痛を持つ方は脳梗塞リスクが上昇する可能性があるため、血圧管理や禁煙、適度な運動などを心がけることが予防につながります。
疑わしい症状がある場合は、すぐに医療機関を受診し、専門医の診察を受けることが最も安全な対応です。
さて、脳梗塞後の後遺症に対する新たな治療アプローチとして、神経再生医療やリハビリテーションの組み合わせが注目されています。
近年では、同時刺激を活用した治療法や骨髄由来間葉系幹細胞を用いた研究も進んでおり、神経障害の回復に向けた選択肢が広がっています。
これらの治療に関する詳しい情報については、ニューロテック、脳梗塞・脊髄損傷クリニックなどのウェブサイトなどを参考にしてください。
よくあるご質問
- 頭痛は脳梗塞の前兆ですか?
- 頭痛自体が脳梗塞の前兆とは限りませんが、突然発生する強い頭痛には注意が必要です。
特に今までに経験したことのない激しい頭痛や、意識障害・片側のしびれ・ろれつが回らないなどの症状を伴う場合は、早急に医療機関を受診しましょう。 - 片頭痛から脳梗塞になる可能性はありますか?
- 片頭痛と脳梗塞には関連があり、特に前兆を伴う片頭痛の人は、脳梗塞リスクが高まることが知られています。
血管のけいれんや血液の凝固亢進が関与していると考えられます。
リスクを抑えるためには、血圧管理や生活習慣の改善が重要です。
<参照元>
(1)片頭痛 – 07. 神経疾患 – MSDマニュアル プロフェッショナル版:
https://www.msdmanuals.com/
(2)1Adelborg K, Szépligeti SK, Holland-Bill L, Ehrenstein V, Horváth-Puhó E, Henderson VW, Sørensen HT. Migraine and risk of cardiovascular diseases: Danish population based matched cohort study. BMJ. 2018 Jan 31;360:k96. doi: 10.1136/bmj.k96. PMID: 29386181; PMCID: PMC5791041.:
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5791041/
(3)国際頭痛分類第3版(ICHD-3)日本語版 第1部:一次性頭痛 1.片頭痛2:
https://www.jhsnet.net/kokusai_2019/1-1.pdf
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