この記事を読んでわかること
・パーキンソン病とは
・パーキンソン病の症状
・パーキンソン病のリハビリテーション
パーキンソン病とは「身体が思い通りに動かせなくなる病気」です。
また、個人差はありますが進行性の病気で、薬物療法とリハビリテーションでの治療が一般的です。
パーキンソン病は進行性の病気であるため、リハビリテーションは進行を抑制することを目的に行っていきます。
パーキンソン病とは
パーキンソン病は、黒質にα-シヌクレインというタンパク質が蓄積することが原因で、黒質で作られるドパミンが減少する病気です。
ドパミンは「人の身体を思い通りに動かすために必要な神経伝達物質」であり、ドパミンが減少することで運動機能が低下し、日常生活に障害を来すことがあります。
例えば、休んでいる時に手足がふるえたり、身体がこわばって手足が動かしにくくなったりします。
個人差はありますが進行性の病気で、厚生労働省が定める難病の一つです。
しかし、早期から薬物治療やリハビリテーションを行うことで症状進行の抑制が期待できます。
パーキンソン病の症状
パーキンソン病でみられる運動症状とは、4大症状とも言われる「無動/動作緩慢・振戦・筋強剛・姿勢保持障害」のことです。
また、パーキンソン病患者の特徴的な歩き方である「すくみ足・小刻み歩行」も併せて解説します。
無動 / 動作緩慢(かんまん)
無動/動作緩慢とは「動き始めが遅れたり、動き自体が遅くなる・減るなどの減少」ことです。
最初は「字が書きにくい」「箸が使いにくい」などの症状から始まり、徐々に寝返りや更衣動作、歩行などの大きい動きへと症状は進行していきます。
パーキンソン病の症状の中で、もっとも日常生活に影響を及ぼします。
振戦(しんせん)
振戦とは「手足のふるえ」のことです。
パーキンソン病の振戦は座っている・寝ているなど安静にしている時に手足がふるえ、物を取る・起き上がるなど動く時にはふるえが減少するのが特徴です。
また、パーキンソン病患者100名のうち「振戦が初発症状として現れた者は69%だった」と報告されており、パーキンソン病の初期症状としてみられます。
筋強剛
筋強剛とは「リラックスした状態でも手足・体幹がこわばっている状態」のことをいいます。
どの方向に手足を動かしても硬さがあり、他人が手足を曲げ伸ばしすると一定の抵抗感(鉛管様現象)があったり、カクカクとひっかかる(歯車様現象)ような抵抗感があります。
また、顔の筋肉もこわばってくるため、表情が乏しくなるのも特徴です。
姿勢保持障害
姿勢保持障害とは「身体のバランスが悪くなり、転びやすくなる」症状です。
例えば、後ろにバランスを崩した時は身体が前かがみとなり、つま先が上がる反応(反射)が起こりますが、パーキンソン病によって本来起こるはずの反応(反射)が起こらず、そのまま後ろへ転倒してしまいます。
しかし、個人差はありますが、姿勢保持障害が初期症状として現れることは少なく、他の運動症状よりもおそく現れることが多いです。
すくみ足・小刻み歩行
すくみ足とは「歩き出す時の1歩目が出ない現象」です。
また、歩き出しても「歩幅が狭く、ちょこちょこ歩く」小刻み歩行も出現します。
パーキンソン病患者のリハビリの目的
パーキンソン病患者のリハビリを行う目的は「少しでも進行を遅らせること」です。
その理由は、パーキンソン病は進行性の病気であり、現在も厚生労働省が定める難病の一つだからです。
例えば「片側の手足にふるえが生じる程度であったものが、徐々に身体がこわばりが強くなり転倒を繰り返すようになった」など徐々に身体機能が低下していきます。
また、パーキンソン病の症状の一つである意欲の低下や無動などから運動頻度が減り、さらに身体機能の低下をきたしてしまうおそれがあります。
そのため、リハビリテーションを行うことによってパーキンソン病の進行を遅らせ、日常生活での動きや生活の質(QOL)を保つことに繋げることができます。
パーキンソン病のリハビリテーション
パーキンソン病に対してのリハビリでは「運動療法(複合的運動)」が推奨されています。
また、早期からリハビリを行うことで、進行を遅らせる効果は高くなります。
運動療法とは以下のようなものがあります。
- リラクゼーション・ストレッチ
- 筋力運動
- 歩行練習
- 生活動作練習
- 構音・嚥下訓練
1つずつ解説していきます。
リラクゼーション・ストレッチ
パーキンソン病は身体のこわばりや緊張による柔軟性低下をきたしやすい病気です。
そのため、リラクゼーションやストレッチを行うことで身体の柔軟性を保ち、動きやすい身体を作ります。
手や足、体幹、首、顔などを大きく動かすことが重要です。
リハビリをする上でも正しい動きでの練習が望ましいため、身体の柔軟性を保つことは重要です。
筋力・体力をつける運動
パーキンソン病では、無動や意欲の低下から筋力・体力の低下を起こしやすくなります。
そのため、全身の筋力・体力をつける運動が必要です。
- 重りを持って運動する
- 立ち座りを反復する
- 自転車エルゴメータをこぐ
など、全身を使う運動を行います。
筋力が低下する部位は人によって違うため、評価をした後に運動を開始します。
歩く練習
パーキンソン病では、すくみ足や小刻み歩行がみられます。
目印や音があることで歩きやすい環境を整えることが重要です。
- 床に歩幅の間隔で線を引き、跨ぎながら歩いてもらう
- メトロノームの音に合わせて歩いてもらう
- トレッドミルを使う
上記のような運動を反復することで、すくみ足や小刻み歩行の改善に繋がります。
生活に必要な動きを練習する
「日常生活で出来ることを増やす・維持する」ことを目的に行います。
その理由は、生活の質を高める・維持することに繋がるからです。
例えば、更衣やトイレなど周りと比べて出来ないことが多いと意欲低下に繋がってしまいます。
しかし、出来ることが増える・維持されることで生活の質が高まる・維持されるため、日常生活の動作を練習する必要があります。
また、ストレッチなどを十分に行った後に生活動作の練習を行うと正しい動作が学習できるため効果的です。
構音(こうおん)・嚥下(えんげ)訓練
パーキンソン病では、無動や動作緩慢、筋強剛の影響で構音(こうおん)障害・嚥下(えんげ)障害をきたすことがあります。
構音障害:言葉を正確に発音することが難しくなること
嚥下障害:食べ物を安全に飲み込めないこと
- 呼吸筋のストレッチや筋力運動
- 発声練習
- 飲み込む練習
構音・嚥下障害は、コミュニケーションや食事と生活でとても大事な要素であるため練習する必要があります。
まとめ
パーキンソン病は100人に1人が発症し、厚生労働省が定める難病の一つです。
現時点では薬物療法とリハビリテーションで進行を遅らせることが最善の治療となっています。
そんな中、パーキンソン病の治療として「再生医療」が期待されています。
すでにiPS細胞を用いた移植治療の研究が進んでおり、ラットや霊長類での移植治療では行動改善が報告されています。
移植治療は根本的な治療であるため、今後の成果に注目を集めています。
ニューロテックメディカル株式会社では、「ニューロテック®」としてパーキンソン症候群・パーキンソン病・脳卒中・脊髄損傷などに対する幹細胞治療の基盤特許を取得しており、再生医療の効果を高める取り組みを行っています。
パーキンソン病に対しては、再生医療と最先端のリハビリテーションを組み合わせる(神経再生医療✕同時リハビリ™️)ことで最大限の機能回復を達成できると考えています。
パーキンソンの症状にお悩みの患者さんやご家族の方は、ぜひご相談ください。
よくあるご質問
パーキンソン病の効果的なリハビリは?
パーキンソン病体操、振動刺激、その他「LSVT」などパーキンソン病に特化したリハビリ、などが簡便であり効果的です。
入念なリラクゼーションとストレッチ、大きな筋肉の筋力訓練、歩行練習といったバランス訓練、大きく身体を動かすトレーニング、四肢体幹への刺激を増やすこと(振動刺激など)生活動作練習、構音・嚥下訓練を日常生活でも続けていくことで、脳・身体機能の改善・維持に効果的です。
パーキンソン病に良い食べ物は何?
食べ物では小麦や卵、乳製品、牛肉、豚肉、食物繊維を含む食べ物(大豆や野菜、きのこなど)、飲み物はコーヒーが良いとされています。
食べ物を栄養がかたよらないように、バランスよく摂取することが重要です。
<参照元>
・日本神経学会「パーキンソン病診療ガイドライン2018」:
https://www.neurology-jp.org/guidelinem/parkinson_2018.html
・一般社団法人 日本理学療法学会連合「パーキンソン病理学療法診療ガイドライン:
https://www.japanpt.or.jp/upload/jspt/obj/files/guideline/14_parkinsons_disease.pdf
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