日本人に多い後縦靭帯骨化症とは? | 脳梗塞・脊髄損傷・脳出血の再生医療ニューロテックメディカル

日本人に多い後縦靭帯骨化症とは?

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後縦靭帯骨化症は、椎骨をつなぐ靭帯が石灰化して厚くなることで脊柱管が狭くなり、主に頸髄が圧迫される病気です。
原因は不明ですが、特に日本人に多くみられます。
四肢に痛みや痺れがみられ、進行すると完全に四肢が麻痺してしまうこともあります。
鎮痛薬の使用を含む保存的治療で改善しない場合は、手術が勧められることもあります。

後縦靭帯骨化症とは?

後縦靱帯骨化症・黄色靭帯骨化症
後縦靭帯骨化症とは、後縦靭帯と呼ばれる比較的柔軟な靭帯組織にカルシウムが沈着することで靭帯が骨化し、通常の数倍も太くなって本来の靭帯が持つ柔軟性が低下する疾患です。
靭帯は、そもそも関節をまたいで隣接する骨同士をつなぎ、関節を支える軟組織ですが、後縦靭帯は、脊柱の骨と骨をつないでおり、脊椎を安定させています。
後縦靭帯は頸椎の上から2番目の椎骨から始まり、胸椎、腰椎を経て仙骨まで、背骨のほぼ全長にわたって走っています。
さらにこの後縦靭帯は、神経の束である脊髄に隣接しています。
脊髄は脊椎の中の脊柱管と呼ばれる空間を走行していますが、太くなってしまった靭帯が脊髄神経を圧迫し、様々な問題が生じてしまいます。
なお後縦靭帯骨化症は、頸椎に最も多く発生します。

後縦靭帯骨化症の原因

現在のところ、後縦靭帯骨化症の原因は完全には解明されていません。
ただしアジア人、なかでも特に日本人多く、かつ家族内でみられることも多いことから、遺伝的な要因がある可能性が指摘されています。
また50代から60代の男性に多くみられ、ホルモンやライフスタイルなどの要因も関与している可能性が考えられています。
特に性ホルモンやビタミンD及びカルシウムの代謝に関与するホルモンの異常、また肥満や糖尿病の関与も指摘されています。

後縦靭帯骨化症の症状

後縦靭帯は脊髄の近くを走行しているため、靭帯が骨化して太くなると脊髄を圧迫してしまいます。
そのため、次にみられるような脊髄神経の障害に伴う症状を伴います。

初期症状

後縦靭帯骨化症の初期は、全く症状がないか、もしくは軽い症状で始まることが一般的です。
頸部に発症した後縦靭帯骨化症の初期症状としては、まず首や肩の軽い痛みがあります。
そのうち片方の手の一部の領域に痛みやしびれが見られるようになりますが、徐々に範囲が広がり、かつ両方の手や足にも症状が出現します。

病状が進行したときの症状

靭帯が厚くなり、脊柱管内の貴重なスペースを占有すると、症状はより重くなります。
手足の痛みは激しくなり、手指の緻密な動きができなくなります。
さらに、歩行困難や膀胱直腸障害もみられることがあります。
多くの場合症状はゆっくりと進行しますが、軽い頭部への外傷の後に急に症状が悪化し、手足が動かせなくなってしまう場合もあります。

後縦靭帯骨化症の診断

病歴や診察により後縦靭帯骨化症が疑われる場合、主に次のような検査を行なって診断します。

単純X線検査

X線を使って骨の画像を撮影します。
脊髄神経や椎間板、靭帯などの軟部組織構造は通常X線では見えません。
単純X線検査を行うことで、骨の構造だけでなく、椎骨の弯曲や配列など、全体的な評価を行うことができます。
また後縦靭帯が骨化すると、通常は見えないはずの後縦靭帯が単純X線写真で白く見えるようになります。

コンピュータ断層撮影(CT)スキャン

X線とコンピュータ技術を組み合わせて、断層写真を撮影します。
CTスキャンは単純X線検査よりも詳細な画像を得ることができます。
また断層写真を見ると、後縦靭帯がどの程度脊髄神経を圧迫しているのかもわかるようになります。

磁気共鳴画像検査(MRI)

CTスキャンでは、神経の状態を詳しく評価するには限界がありますが、磁気共鳴画像検査(MRI)を行うと、脊髄神経の状態を詳細に評価することが可能になります。
そのため、特に痛みや麻痺などの症状が強い時や手術が必要と考えられる時は、MRI検査を用いて神経の状態を評価することが一般的です。

後縦靭帯骨化症の治療

頸椎カラー
後縦靭帯骨化症の治療は、主に保存的治療と外科治療に分けられます。

保存的治療

症状が軽度である場合、まずは鎮痛剤を用いて痛みをコントロールします。
また頸部に発症した後縦靭帯骨化症では、頸部の安静を保つことを目的に、頚椎カラーを利用することもあります。
これは首を適切な位置に保持させ動きを制限することが目的で、使用する人のサイズに合わせたカラーを装着します。
なお頸部の位置が適切でなければ症状が悪化することもありますし、固定を続けると頭を支える頸部の筋力が弱くなり、逆に症状が悪化することもあります。
したがって、頸椎カラーを使用する時は専門家の管理下で慎重に対応する必要があります。

外科治療

歩行障害など症状の進行が認められたり、脊髄の圧迫が画像検査で確認されたりした場合には、手術を検討することがあります。
手術の方法としては、主に骨化した靭帯を切除する方法と脊髄の通っている空間である脊柱管を広げる手術があります。
前者は前方法とも呼ばれていますが、脊髄神経を圧迫している靭帯の部分を切りだし、代わりに自分の骨などを埋め込んで固定をします。
後者は後方法とも呼ばれますが、骨化している靭帯はそのままにしておき、脊椎に割を入れることで脊柱管を広げます
一般的には後方法が選択されます。
なお手術後は、機能を回復させるためにリハビリテーションが必要となることもあります。

再生医療

現在、iPS細胞を用いた後縦靭帯骨化症の治療法の開発が進められています。

まとめ

後縦靭帯骨化症について、その症状や治療法についてご説明しました。
慢性的な痛みや手足の麻痺が進むことは、辛いことでしょう。
再生医療が実用化されるにはまだ時間を要するかもしれませんが、医療技術のさらなる進歩に期待したいところです。

あわせて読みたい記事:脊柱管狭窄症について

貴宝院 永稔【この記事の監修】
福永記念診療所 再生医療部長 再生医療担当医師

ニューロテックメディカル代表 Dr.貴宝院 永稔

大阪医科薬科大学卒業
私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。

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