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脊髄損傷を早期に見極めるための初期症状と緊急対応

           

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この記事を読んでわかること

脊髄損傷の病態がわかる
脊髄損傷に伴う危険な症状がわかる
脊髄損傷に対する緊急時の対応方法がわかる


脊髄は脳と身体を繋ぐ架け橋のような役割を担っており、脊髄損傷になると四肢の麻痺やしびれをきたします。
また、損傷部位によっては呼吸筋麻痺やスパイナルショックなど、緊急性の高い症状を伴う可能性もあり注意が必要です。
そこでこの記事では、脊髄損傷を早期に見極めるための初期症状と緊急対応について解説します。

急な手足の麻痺や感覚喪失が示す危険信号

急な手足の麻痺や感覚喪失が示す危険信号
もしみなさんが日常生活の中で急に手足が痺れたり手足が麻痺して動かなくなったら、それは異常事態です。
このような症状をきたす場合、なんらかの神経疾患をきたしている可能性が非常に高く、しかも急速に症状が出現している場合は緊急性の高い疾患であることが多いです。
特に注意すべき疾患として脊髄損傷が挙げられます。
脊髄損傷とはなんらかの原因(交通事故や外傷が多い)によって脊髄が損傷される病態を指し、それによってさまざまな神経症状をきたす疾患です。
脊髄は脳からの運動の指令を身体に伝え、逆に身体からの痛みや熱さなどの感覚を脳に伝える、架け橋のような役割を担っています。
そのため、脊髄が障害されると急速に四肢に麻痺やしびれが出現するわけです。
またほかにも、運動の指令の発令元であり、感覚の情報の最終的な処理をするところでもある脳の異常によっても、急な手足の麻痺や感覚喪失は起こり得ます。
特に、脳梗塞や脳出血・くも膜下出血などの病気は脳血管の異常であり、突然発症する病気であるため、脊髄損傷と似たような経過をたどります。
一方で、脊髄損傷の場合は主に交通事故や頭部外傷・転倒・転落などが原因となることが多く、受傷起点がはっきりしていることが多いため、自身でも原因を把握しやすい点は脳疾患と異なる点です。

急性期に危険なショック症状や呼吸筋麻痺の見分け方

急性期に危険なショック症状や呼吸筋麻痺の見分け方
脊髄損傷では四肢麻痺や四肢のしびれなどの神経症状ももちろん厄介ですが、特に危険な症状は下記の3つです。

  • 呼吸筋麻痺
  • スパイナルショック
  • 膀胱直腸障害

まず、脊髄の中でも上位頸髄から分岐する神経は、呼吸筋である横隔膜に対して運動の指令を送っているため、脊髄損傷によって上位頸髄が損傷すると呼吸筋麻痺を引き起こす可能性があります。
実際に、佐々木らの報告によれば頸髄損傷患者は受傷高位に関わらず、どのレベルの損傷であっても肺活量の低下を認めており、特にC4レベル以上の損傷の場合は呼吸能力を大幅に低下させることが知られています。
低酸素血症によって最悪の場合死に至る可能性もあり、非常に緊急性の高い注意すべき症状です。

次に、スパイナルショックとは脊髄損傷によって引き起こされる著しい血圧低下のことで、呼吸筋麻痺と同様に命に関わります。
脊髄損傷に伴って自律神経にも支障をきたし、交感神経による血管収縮が失われることで血管が拡張し、血圧が低下します。
本来、出血やアナフィラキシーなどによる血管拡張によって血圧が低下した状態であれば、一生懸命心臓が頻脈を打つことで血圧を維持しようとしますが、交感神経が障害されるとむしろ徐脈になるため、血圧低下に対する代償反応すら起こりません。
その結果、血圧を維持できなくなり、やはり死に至る可能性もあるため注意が必要です

最後に、膀胱直腸障害も危険な症状の1つです。
排尿や排便は脊髄の一部である仙髄を経由して脳と連動して正常に機能していますが、脊髄が障害されることで正常な排尿や排便が得られなくなり、これを膀胱直腸障害といいます。
尿や便の失禁や尿閉・重度の便秘など、さまざまな症状をきたしますが、一般的にこのような所見が出た場合は重度の脊髄損傷が疑われ、緊急での手術を検討すべき所見であることから、膀胱直腸障害の有無も急性期の重要な所見です。

緊急時に取るべき行動と医療機関への連絡方法

緊急時に取るべき行動と医療機関への連絡方法
脊髄損傷を疑った場合、まず緊急時に取るべき行動は受傷者の体を無理に動かさないことです。
不用意に身体を動かせば脊髄の損傷が悪化する可能性があるため、特に頚部はしっかりと固定しましょう。
また、同時に呼吸筋麻痺やスパイナルショックの可能性もあるため、呼吸状態や手首の動脈の拍動などを確認しておくと良いでしょう。
脊髄損傷の治療は時間との勝負であり、緊急手術の可能性も含めて、適切な医療機関への搬送が求められるため、必ず救急車を呼んで緊急搬送するべきです。

まとめ

今回の記事では、脊髄損傷を早期に見極めるための初期症状と緊急対応について詳しく解説しました。
脊髄損傷は軽症であれば軽度の麻痺やしびれのみで済むこともありますが、重度の場合重篤な四肢麻痺や呼吸筋麻痺、スパイナルショックなど命に関わる可能性もあるため注意が必要です。
対応が遅れて神経細胞に不可逆的なダメージが加わると、神経学的後遺症が残ってしまうため、注意が必要です。
現状では重篤な後遺症が残った場合に改善する術はリハビリテーション以外になく、仮にリハビリテーションを行なってもこれらの後遺症を根治することは困難です。
一方で、近年では脊髄損傷の後遺症に対する新たな治療法として再生医療が大変注目されています。
ニューロテックメディカルでは、「ニューロテック®」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んです。
「ニューロテック®」では、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
また、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「同時刺激×神経再生医療Ⓡ」によって、これまで改善の困難であった脊髄損傷による後遺症の改善が期待できます。

よくあるご質問

脊髄損傷の対処法は?
脊髄損傷の対処法は、不用意に患者の身体を動かさず安静を保ち、呼吸状態や循環動態を確認することです。
また最悪の場合呼吸停止する可能性もあるため、救急車の要請も重要です。

頸椎損傷の応急処置は?
頸椎損傷の応急処置は、周囲の安全を確保した上で、両手で頚部を固定し、極力受傷者の体動を抑制します。
また、呼吸状態が悪化している場合は下顎を挙上して気道を確保します。

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    1:脊髄損傷|日本整形外科学会:https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/spinal_cord_injury.html
    2:頚髄損傷患者における受傷から1年間の肺活量推移|J STAGE:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsrcr/29/1/29_92/_html/-char/ja
    3:神経(原)性ショック|日本救急医学会:https://www.jaam.jp/dictionary/dictionary/word/0530.html

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    PROFILEこの記事の監修
    貴宝院 永稔
    貴宝院 永稔 医師
    (大阪医科薬科大学卒業)
    • 脳梗塞・脊髄損傷クリニック 総院長
    • 日本リハビリテーション医学会認定専門医
    • 日本リハビリテーション医学会認定指導医
    • 日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
    • ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

    私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
    リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
    このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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