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ハンチントン舞踏病の原因と特徴

           

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この記事を読んでわかること

ハンチントン舞踏病とは
ハンチントン舞踏病の主な症状
症状が発現するメカニズム


病因遺伝子の異常な繰り返しが原因で脳の一部が萎縮してしまうことで、ハンチントン舞踏病を発症します。
この記事では、ハンチントン舞踏病の原因や特徴について説明しています。

ハンチントン舞踏病とは

ハンチントン舞踏病は、日本に約900人いるとされている国の指定難病対象疾患(指定難病8)です。
慢性進行性の神経変性疾患で、舞踏病運動を主体とする不随意運動・精神症状・認知症を特徴とします。
発症年齢は小児期から高齢までさまざまですが、30歳くらいの人が多いとされており、男女差はほとんどありません。
遺伝性疾患のため、ほとんどの場合で両親のどちらかがハンチントン舞踏病を発症しており、一般に子どもの方が早い年齢で発症する傾向があります。

ハンチントン舞踏病の主な症状

ハンチントン舞踏病は慢性進行性の疾患で、症状はゆっくりと進行し、舞踏運動を中心とする不随意運動・運動の持続障害・精神症状がみられます。
大脳基底核

初期症状

初期段階では、箸を使う、字を書くなどの細かい動作がうまく出来なくなる行動障害がみられ始め、また、同じ動作を続けることができなくなるため、物を落としたり、転んだりしてしまいます。
その他には、無関心になる、過敏になる、不安、うつ症状、幻覚、妄想、目の動きの異常などの特徴が初期症状として認められます。

中期・後期症状

中期には、不随意運動、ジストニア、舞踏運動、体重減少、発話障害などがみられ、後期には、筋肉のこわばり、動作緩慢、重度の舞踏運動、深刻な体重減少、話せない、歩けない、嚥下障害、などの症状が認められます。
以下に、それぞれの症状について説明します。

運動症状
症状が進行すると、全身の動作が難しくなり他人の介助が必要となります。
歩行が不安定になるため、つまずきやすく転びやすくなります。
また、食事のときにむせやすい、話がしづらい、などの症状も徐々に出てきます。
不随意運動
自分の意思とは関係なく、顔面、手足などが素早く動く状態を不随意運動といいます。
その中でも、首を動かす、手先がちょこちょこと動く、顔をしかめる、舌打ちする、などの症状は、「舞踏運動」と呼ばれ、ハンチントン舞踏病という呼称の元となっています。
精神症状
一般的な認知症状とは異なり物忘れ・記憶障害はあまり見られませんが、計画能力や全体把握能力が障害される傾向にあります。
また、怒りっぽくなる、同じことを繰り返す、などの性格変化や行動変化も目立ち、うつ症状が強いと自殺してしまう人もいますので注意が必要です。
稀に癲癇発作を合併することがあります。

これらの症状は、「大脳基底核」「大脳皮質」など脳の特定部分が萎縮することで発症しますが同じ家系でも症状や経過はさまざま異なり、社会生活に介助が必要になるまで一般的に発病から10年以上とされています。

ハンチントン舞踏病の原因

ハンチントン舞踏病はポリグルタミン病の1つで、病因遺伝子は46本ある染色体の中の第4染色体にあるHTT遺伝子(遺伝子産物はhuntingtin:ハンチンチン)の繰り返し配列の異常によって惹き起こされる遺伝疾患です。

ハンチントン舞踏病と遺伝の関係

ハンチンチンの通常の繰り返し配列の長さは26回以下ですが、ハンチントン舞踏病の方は36回以上、多いときでは120回を超える繰り返し配列が認められると報告されています。
配列の繰り返しが36~39回の場合、生涯にわたって症状が認められないこと(不完全浸透)もありますが、繰り返しが40回以上の場合、ほぼ100パーセントの確率でハンチントン病を発症します(完全浸透)。
症状と配列の繰り返し数には関連があり、繰り返し数が多いほど配列が長くなり、症状が重く発症が早くなる傾向があります。
また、表現促進現象といって世代を経るごとに繰り返し数が増加する傾向があります。

症状が発現するメカニズム

配列が多く繰り返されたハンチンチンの異常タンパク質は、非常に長いものになります。
長い異常タンパク質は、その後、小さな毒性のある断片に切断され凝集し、神経細胞に蓄積します。
異常たんぱく質が蓄積すると、神経細胞は正常に機能できなくなり、最終的には細胞死を惹き起こします。
脳の奥深くの尾状核と被殻と呼ばれる大脳基底核の一部で細胞死が起きることにより、ハンチントン舞踏病が発症します。
大脳基底核は筋肉の動きを滑らかに調整する働きがあるため、舞踏運動を主症状とする不随意運動や精神症状などが発現すると考えられています。

ハンチントン舞踏病の治療法

舞踏運動など不随意運動や精神症状に対して、ドーパミン受容体遮断作用を示す抗精神病薬や、舞踏運動治療薬としてテトラベナジンが対処療法として処方されていますが、ハンチントン舞踏病の根治療法は現時点では存在しません。
DNAからRNAを発現する際に、繰り返し配列をスキップするような根治治療薬の開発が国内外で行われていますが、まだまだ研究段階にあります。

当院で行っている再生医療リハビリについて

当院では再生医療とリハビリを組み合わせた複合治療法「ニューロテック®」という積極的なリハビリテーション治療を行っています。
骨髄由来の間葉系幹細胞を培養し点滴することで、骨髄由来細胞が神経細胞に分化し損傷部位にとどまり、さらにサイトカインを産生することにより、神経損傷に対する治療効果が認められています。
損傷を受けた大脳基底核の神経細胞を再生医療により回復させながらリハビリを行うことで、ハンチントン舞踏病の進行を抑制することが期待できます。

まとめ

この記事では、ハンチントン舞踏病の原因や特徴についてご説明しました。
現状では、ハンチントン舞踏病を根治することは困難ですが、将来的に再生医療を組み合わせることにより症状の進行抑制に繋がり、患者さんの希望となれることを切に願っています。

Q&A

ハンチントン病の死因は?
「大脳基底核」「大脳皮質」といった脳の特定の部分が萎縮することがハンチントン舞踏病の原因と言われており、行動障害・精神症状などが発症します。そのため、この病気で亡くなった方の死因は、低栄養、感染症、窒息、外傷が多いことが報告されています。

ハンチントン舞踏病の筋緊張は?
ハンチントン舞踏病の症状は、顔面、舌、口唇、手足などに不随意不規則の舞踏運動が現われることを特徴とし、口をとがらせる、物をなげる・こねまわすような雑多な運動が認められ、甚だしい時は歩行も困難になります。

<参照元>
・遺伝性疾患プラス
https://genetics.qlife.jp/diseases/huntington
・難病情報センター
https://www.nanbyou.or.jp/entry/175


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貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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