小脳障害によるまっすぐ歩けないバランスの問題とは | 脳卒中・脊髄損傷|麻痺痺れなど神経再生医療×同時リハビリ™で改善

小脳障害によるまっすぐ歩けないバランスの問題とは

           

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この記事を読んでわかること

小脳が運動にどのように関わっているかがわかる
小脳障害でまっすぐ歩けなくなるメカニズムがわかる
小脳障害に対するリハビリテーションがわかる


小脳は、身体のスムーズな運動や適切な姿勢の保持を可能としているため、障害されるとまっすぐに歩けなくなります。
また、一度損傷すると完全に元に戻ることは困難であるため、歩行障害などによって日常生活に与える影響も甚大です。
この記事では、小脳障害による歩行障害のメカニズムやリハビリ方法について解説します。

なぜ小脳が障害されると平衡感覚が失われるのか?

なぜ小脳が障害されると平衡感覚が失われるのか?
小脳梗塞や小脳出血などの小脳疾患では、平衡感覚が失われてしまうことが多いです。
ただし、一言に平衡感覚といってもこれには下記のような2つの意味合いがあります。

  • 運動失調:運動時に筋肉同士が協調的な動きを取れなくなってふらつく
  • 平衡障害:同じ姿勢を維持できない状態

この2つは、どちらも平衡感覚と呼ばれるものであり、ともに小脳によってコントロールされています。
そのため、小脳が障害されると、運動失調もしくは平衡障害が生じてバランスを保てなくなるわけです。
そのメカニズムを歩行を例に説明しましょう。
まず、大脳皮質から歩行運動の指令が小脳に入力され、それと同時に、脊髄や末梢神経から深部知覚の情報(関節の曲がり具合など)や、迷路・前庭神経系から頭位の空間的位置感覚の情報、さらには視覚情報がインプットされます。
これらの情報を統合し、実際に身体が動くよりも前に次の瞬間の身体の状態を予測し、大脳皮質にその予想結果を送り返します。
その結果を受けて、大脳皮質からより適切な運動の指令が全身に伝達され、正常な歩行が得られるわけです。
つまり、大脳と小脳が相互に情報をやり取りし合うことでスムーズな運動が得られていますが、小脳が障害されるとスムーズな運動が行えなくなり、歩行中にふらついてしまいます。
歩行に限らず、椅子に座って姿勢を保つにも、重心を安定させるための各筋群の協調運動が必要となりますが、小脳が障害されると協調運動が得られず、重心を保てなくなるため、最悪の場合転倒します。
以上のメカニズムこそ、小脳が障害されて平衡感覚が失われる原因です。

毎日の生活でバランスを保つためにどう対応するのか

小脳障害の方が毎日の生活でバランスを保つためには、下記の2つがおすすめです。

  • PNF
  • フレンケル体操

PNFとは、Proprioceptive Neuromuscular Facilitationの略で、和訳すると「固有受容性神経筋促通法」のことです。
PNFでは、筋肉に抵抗をかけ筋収縮を促すことで、ある筋肉を動かす際の関節や筋肉の持つ深部知覚がより正しく、より多く脳に伝達させることを目的としています。
脳により多くの適切な情報がインプットされることで、障害された小脳の機能を補い、姿勢や運動を適切に保てるようになります。
実際には訓練されたセラピストがそれぞれの患者の機能に合わせてメニューを組み、施術を行うことが一般的です。
次に、フレンケル体操とは、小脳障害によって協調運動が失われた方に対し、正常である視覚情報を利用して固有感覚入力の強化や協調運動の再獲得を目的とした体操です。
座位で行うフレンケル体操の一例を紹介します。

  1. 座位の姿勢を保ち、足の前に置いた目印に対し、片足の爪先でタッチする
  2. その足を元の位置に戻す
  3. 両膝をつけて椅子から立ち上がり、再度座る

このように、視覚情報(足の前に置いた目印)を元に、正しい足の動きを再獲得していくわけです。
これはあくまで一例で、実際には数多くのメニューを理学療法士とともに行っていくのが一般的です。

まっすぐ歩くために続けているリハビリとセルフケア

では、小脳障害による歩行障害にはどのようなリハビリがあるのでしょうか?
発症早期で転倒リスクが低い場合は、上記で紹介したようなPNF・フレンケル体操のほかに、弾性緊縛帯・重錘負荷がおすすめです。
弾性緊縛帯・重錘負荷とは、どちらも四肢末梢に緊縛帯による圧迫、もしくは錘をつけることで運動を制限し、固有感覚入力の強化を促します。
症状が進み転倒リスクが高い場合は、四つん這いのバランス強化や、立位のバランス強化などを、さらに症状が悪化した場合は座位の保持訓練などを行います。
また自宅で訓練する場合は転倒リスクに注意すべきであり、二次的合併症予防のためにも手すりの導入・風呂場の改善・階段の滑り止めなど、自宅の環境整備や自助具の検討も必要です。

まとめ

今回の記事では、小脳障害によるまっすぐ歩けないバランスの問題について詳しく解説しました。
小脳は、大脳と密に連携をとり、また深部知覚や前庭神経からの位置感覚、さらには視覚情報などの数多くの情報を元に、正確かつスムーズな運動・姿勢を作り出しています。
そのため、小脳が障害されると歩行や動作に支障が出てしまい、その後の生活の質も低下してしまいます。
原因や程度にもよりますが、一度損傷した小脳の機能が完全に元に戻ることは困難であり、現状ではリハビリテーションによる機能の維持が主な治療です。
しかし、近年では再生治療が新たな治療法として非常に注目されています。
また、ニューロテックメディカルでは、「ニューロテック®」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んです。
「ニューロテック®」では、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
また、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「同時刺激×神経再生医療Ⓡ」によって、小脳障害に伴う歩行障害のさらなる改善が期待できます。

よくあるご質問

体のバランスが取れない病気は?
体のバランスは小脳・大脳・脊髄・前庭神経などが複合的に関与して成り立っているため、体のバランスが取れない場合、上記のいずれかが障害されている可能性があります。
特に、脳卒中に伴う大脳や小脳の障害が原因である可能性が高いです。

小脳が障害された際に生じる典型的な症状はどれか?
小脳が障害された際に生じる典型的な症状は、歩行時のふらつき、呂律障害・眼振・振戦などです。
特に、小脳障害による振戦は企図振戦といい、ある対象物に向かって体を動かす際に生じる振戦です。

<参照元>
J STAGE:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/40/8/40_KJ00009391875/_pdf
J STAGE:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/56/2/56_56.101/_pdf

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貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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