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脳梗塞後の睡眠について

           

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この記事を読んでわかること

脳梗塞と睡眠の関係
良い睡眠のための生活習慣


睡眠は人生の1/3を占めるとも言われており、睡眠の健康への影響は多く知られています。
脳梗塞は睡眠障害で発症リスクが高くなり、更に脳梗塞後遺症の一つに睡眠障害があることもあり、近年では脳梗塞と睡眠の関わりが注目されています。
この記事では睡眠についておさらいし、脳梗塞と睡眠について記載します。

睡眠の重要性

睡眠に関して悩みを持つ人は7割という調査があります。
現在の日本での生活は、スマートフォンやパソコン、ゲームなどの刺激、長時間の通勤や変則な労働など、睡眠に対してはあまり良くないもので溢れています。
睡眠不足などの睡眠障害は日中の活動に影響があるだけでなく、生活の質(quality of life:QOL)にも影響します。

脳梗塞と睡眠の関係

レム睡眠ノンレム睡眠

脳梗塞のリスクとしての睡眠障害

睡眠と脳卒中の関係を国際的に調べた研究では、様々な睡眠障害と脳卒中の関連が示されました。
具体的には短い睡眠時間(5時間未満)、長い睡眠時間(9時間以上)、睡眠の質の低下、入眠困難・睡眠維持困難、予定外の昼寝、いびきなどがあると脳卒中になる可能性が高くなることがわかりました。

不眠症と脳梗塞のリスク

脳梗塞は脳卒中の一つの病態なので、脳梗塞のリスクも上がることになります。
睡眠障害を改善すればすぐに脳梗塞のリスクを減らせるか、どこまで減らせるかは分かっていませんが、睡眠障害を放っておくと生活の質を損なうことになります。
何も発症していなくても睡眠障害で困っている人は、医療機関で相談すると良いでしょう。

不眠が脳に与えるダメージ

不眠や睡眠不足は、脳の様々な機能に悪影響を及ぼします。
特に、前頭葉は判断力や意欲、感情のコントロールを司る重要な部位であり、睡眠不足によって機能が低下すると、集中力の低下、衝動的な行動、うつ症状など、様々な問題を引き起こす可能性があります。
さらに、海馬の萎縮により記憶力が低下したり、脳全体の萎縮が進み、認知機能が低下したりするリスクも高まります。
長期的な睡眠不足は、アルツハイマー病などの神経変性疾患の発症リスクを高める可能性も指摘されています。

脳の前頭葉への影響

前頭葉は、私たちの行動や思考をコントロールする司令塔のような役割を果たしています。
睡眠不足になると、前頭葉の活動が低下し、判断力や計画性、感情のコントロールが難しくなります。
結果として、衝動的な行動や感情の爆発、意欲の低下、うつ症状などを引き起こす可能性があります。

睡眠不足による脳の構造変化

睡眠中に脳は休養し、記憶の定着や新しい神経細胞の生成が行われます。
しかし、睡眠不足が続くと、脳の修復・再生機能が低下し、海馬や前頭葉などの重要な部位が萎縮する可能性があります。
また、脳内の清掃活動が妨げられ、老廃物が蓄積することで、神経細胞の機能が低下し、認知機能の低下や神経変性疾患の発症リスクが高まることが懸念されています。

脳梗塞発症後に起きる睡眠障害

一般に睡眠障害の有病率は20%程度と報告されています。
一方で脳卒中患者における睡眠障害の有病率は25-78%と言われ、一般の人と比較すると高いです。

睡眠不足が脳に与える影響

日本の研究では、発症早期の脳梗塞では7日以内に約9割が睡眠呼吸障害を認めたと報告しています。
また、回復期において、回復の実感があまりない人ほど睡眠障害が多いという報告もされています。

睡眠と脳梗塞の回復の関連

脳梗塞の回復期では、神経の可塑性(脳内の神経ネットワークが成長もしくは再編成されること)が重要になります。
睡眠はこの可塑性にも良い影響を与えます。
しかし、脳梗塞患者では中枢性睡眠時無呼吸、不眠症などの合併が多く可塑性への影響が懸念されています。
睡眠障害がどの程度可塑性に影響を与えるのか、その機序などについてはまだ明確ではありません。

良質な睡眠にむけて

生活習慣

いわゆる「規則正しい生活」は、快眠には非常に重要です。
1日24時間なのに対して、体内時計は25時間周期と、少し長めになっています。
この「ずれ」を解消するのが光なのです。
朝起きたらカーテンを開けて日光を浴びる、夜に強い照明を浴びすぎないというのは体内時計を整えるうえで重要な要素です。

寝具選び

睡眠中には体温が下がります。
これは眠りをより深くするために、体から熱を放出するために汗をかいていることにより起こります。
よって、湿度を一定に保つ(吸湿性もしくは放湿性が高い)、温度を一定に保つ(保温性が高い)ことが良い寝具の条件となります。
ベッドや敷き布団は「圧を感じない程度には柔らかく、体が沈み込まない程度に硬い」ものが理想となります。
柔らかいものの方が体には良さそうなイメージがあるかもしれませんが、柔らかすぎると脊柱が曲がってしまい、体には負担が多くなってしまいます。
特に脳梗塞後遺症のある方は、麻痺のために同じ姿勢をとってしまうことも少なくないです。
自身にあったマットを選ぶのが良いでしょう。
枕が合っていないと、朝から肩や首がこることがあります。
ベッドや敷布団と首の角度が5度になる状態が最も良い角度と言われています。
最近では枕をオーダーメイドで作成してくれる店舗も増えました。硬さや安定感など、相談してみましょう。

脳梗塞後の睡眠についてのまとめ

この記事では脳梗塞と睡眠についての解説を行いました。脳梗塞は発症前から発症後まで睡眠障害との関わりが大きいです。
脳梗塞を発症した本人も、またその周囲の人も睡眠障害がある場合は、医療機関の受診を検討しましょう。
そのような方の不安を少しでも解消すべく、当院ではニューロテック®という「神経障害は治る、を当たり前にする取り組み」を行っています。
そのうちのリニューロ®は、同時刺激×神経再生医療、骨髄由来間葉系幹細胞、神経再生リハビリなどの「狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療」で構成されます。
後遺症やそれに続く睡眠障害は、患者さんと周囲の方のQOLに大きく関わるので、当院では今後も情報を集めながら対策・治療に取り組んでいきます。

よくあるご質問

脳梗塞と睡眠の関係は?
睡眠時無呼吸症候群を含むあらゆる睡眠障害は脳梗塞のリスクと言われています。脳梗塞発症後には将来への不安や脳卒中うつ、中枢性睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害を起こしやすいことが知られています。

脳梗塞の後遺症で眠くなるのはなぜですか?
脳梗塞の後遺症で眠くなるのは、夜間の睡眠が十分ではないのかもしれません。脳梗塞患者では不安やうつ、睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害を起こしやすいです。また、障害があることで日中のストレスや疲れが多くなることも原因として考えられます。

<参照元>
回復期脳卒中患者における睡眠障害と主観的回復感との関連:https://square.umin.ac.jp/jjcrs/2014_125-130j.pdf
Sleep Patterns and the Risk of Acute Stroke:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10238154/
脳血管障害患者における睡眠呼吸障害に関する検討:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jstroke/33/5/33_5_488/_pdf/-char/ja

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貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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