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動静脈奇形による脳出血のリスクと対策

           

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この記事を読んでわかること

脳動静脈奇形の病態がわかる
脳動静脈奇形によって脳出血を起こす理由がわかる
脳動静脈奇形の治療がわかる


胎児期の血管形成異常によって生じる脳動静脈奇形は、通常よりも脳出血のリスクが高まることが知られています。
もし脳出血を発症すると、出血によって脳が圧迫されてしまい、最悪の場合死に至る可能性もあるため、脳出血を予防することが重要です。
この記事では、動静脈奇形による脳出血のリスクと対策について詳しく解説します。

動静脈奇形脳出血とは?その危険性と治療法

動静脈奇形脳出血とは?その危険性と治療法
動静脈奇形脳出血とは脳動静脈奇形に伴って生じる脳出血のことであり、脳動静脈奇形とは胎児期の異常によって脳の動脈と静脈が直接つながってしまう病気のことです。
本来であれば、動脈と静脈は直接つながることはなく、毛細血管という細く流れの遅い血管を介してつながっています。
毛細血管を介することによって、動脈からきた新鮮な血液の流れが落ち着き、臓器にゆっくりと十分な酸素や栄養を引き渡すことができるのです。
しかし、脳動静脈奇形では毛細血管を介さず直接動脈と静脈がつながってしまい、圧の高い動脈血が筋層の薄い静脈に流れ込むことで、血管が拡張して異常血管を形成します。
この異常血管を「ナイダス」と呼び、時間の経過とともに徐々に拡大していくと、パンパンに膨らんだ風船のように破裂しやすくなり、最終的に破裂すると脳出血に至ります。
静脈からの出血であれば損傷範囲も限定的ですが、動脈性の出血の場合は重症化して死亡する可能性もあるため、注意が必要です。
そこで、ナイダスが破裂する前に事前に治療すべきであり、その主な治療法は下記の3つです。

  • 脳動静脈奇形摘出術
  • 血管内治療によるコイル塞栓
  • ガンマナイフ

脳動静脈奇形摘出術は、頭蓋骨を開けて直接的にナイダスを摘出し、未然に破裂を予防する手術ですが、ナイダスの位置や大きさによっては手術が高難度で困難なこともあります。
そこで、最近では大腿部の血管からデバイスを挿入し、ナイダスを塞栓物質によって閉塞させる血管内治療によるコイル塞栓術も普及しています。
脳動静脈奇形摘出術よりもコイル塞栓は低侵襲であり、それに加えて体外から放射線を照射してナイダスの縮小を目指すガンマナイフを併用することも多いです。

動静脈奇形の特徴:脳出血を引き起こす仕組み

先述したように、脳動静脈奇形では動脈と静脈が直接つながってしまうことで、組織学的に脆弱なナイダスを形成します。
陳らの研究によれば、拡大したナイダスを摘出して病理検査を行うと、血管壁が所々で肥厚し、血管の弾性に関わる弾性繊維が所々で消失していたそうです。
ほかにも、一部血管の閉塞・血管壁の菲薄化・血栓の形成など、さまざまな血管トラブルが生じており、これが脳出血発症の原因となっています。

脳出血の急性期治療:外科手術と保存療法の比較

では、実際に破裂した場合、どのように治療すべきなのでしょうか?
主な選択肢は2つで、積極的に手術して血腫除去や止血を行うか、血圧のコントロールを行い経過を見るかです。
経過観察でいいのかと思う方もいるかと思いますが、静脈性の出血であれば血圧を下げるだけでも自然と出血が止まり、被害を最小限に止めることができます。
また、手術そのものにもさまざまな合併症やリスクがあるため、必ずしも手術が正解ではありません。
安藤らの報告では、仮に破裂して急性期重症度が高くでも、血腫除去術や脳動静脈奇形摘出術による機能回復は良好であると報告されており、再出血リスクが高いことを考えると積極的に手術を行うべきとしています。
もちろん、ナイダスの位置や大きさ、患者の予備力や年齢などを考慮して、治療法の選択は慎重に判断すべきです。

再発予防と生活改善のポイント

再発予防と生活改善のポイント
手術でナイダスを摘出した場合、再発のリスクは限りなく0に近いですが、コイル塞栓やガンマナイフでの治療後は再出血のリスクがあります。
そこで、再発予防に重要なのは下記の2点です。

  • 定期的な検診
  • 生活習慣の改善

検診でMRIや血管造影を行うことで、ナイダスの拡大を評価することができるため、拡大傾向の場合は早期対策できます。
また、高血圧や糖尿病などの生活習慣病を患うと動脈硬化が進み、さらに血管が脆弱になるため、普段から食事内容に気を使い、定期的な運動習慣を意識することは再発予防の観点から重要です。

まとめ

今回の記事では、脳動静脈奇形による脳出血のリスクについて詳しく解説しました。
脳動静脈奇形によってナイダスが形成されると、通常の血管よりも脆弱であるため脳出血のリスクが増加します。
約40〜80%の患者が脳出血を発症することが知られており、対応が遅れるとなんらかの後遺症が残ってしまうため、早期発見・早期治療が肝要です。
また後遺症が残った場合、現在の医療ではリハビリテーションによる機能改善が治療の選択肢ですが、近年では脳動静脈奇形による脳出血に伴う重篤な神経学的後遺症に対する再生医療の効果が大変注目されています。
また、ニューロテックメディカルでは、「ニューロテック®」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んです。
「ニューロテック®」では、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
また、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「同時刺激×神経再生医療Ⓡ」によって、これまで改善の困難であった神経学的後遺症の改善が期待できます。

よくあるご質問

脳動静脈奇形の再出血のリスクは?
脳動静脈奇形の再出血のリスクは、最初の1年で6〜18%、その後は2〜3%程度です。
特に最初の1年は再出血のリスクが高く、また再出血した場合の死亡率は13%と非常にハイリスクであるため、再出血の予防が重要です。

脳動静脈奇形破裂による脳出血はどのような症状ですか?
脳動静脈奇形破裂による脳出血では、麻痺やしびれ・頭痛・嘔気嘔吐・意識障害・言語障害などが出現します。
出血量が多い場合、血液によって脳が圧迫され、死に至る可能性があるため、注意が必要です。

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    脳動静脈奇形|慶應義塾大学医学部外科:
    https://www.neurosurgery.med.keio.ac.jp/disease/angiopathy/03.html
    頭蓋内動静脈奇形の臨床病理および神経放射線学的研究|J STAGE:
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/jnms1923/51/1/51_1_56/_pdf/-char/ja
    AVM保 存療法の長期予後|J STAGE:
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/scs1987/18/2/18_163/_pdf

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    PROFILEこの記事の監修
    貴宝院 永稔
    貴宝院 永稔 医師
    (大阪医科薬科大学卒業)
    • 脳梗塞・脊髄損傷クリニック 総院長
    • 日本リハビリテーション医学会認定専門医
    • 日本リハビリテーション医学会認定指導医
    • 日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
    • ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

    私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
    リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
    このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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