頚椎後縦靱帯骨化症と胸椎後縦靱帯骨化症とは?9つのQ&Aで不安を解消! | 脳卒中・脊髄損傷|神経再生医療×同時リハビリ

頚椎後縦靱帯骨化症と胸椎後縦靱帯骨化症とは?9つのQ&Aで不安を解消!

           

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この記事を読んでわかること

後縦靱帯骨化症の原因がわかる
後縦靱帯骨化症の症状がわかる
後縦靱帯骨化症が生活に与える影響がわかる


後縦靱帯骨化症とは脊柱管を形成する後縦靱帯が骨化・肥厚して内部を走行する脊髄を圧迫する指定難病です。
麻痺やしびれなどの症状が進行すれば四肢麻痺や膀胱直腸障害などが出現し、仕事に支障をきたすのみならず、日常生活にも多く影響します。
そこで、この記事では後縦靱帯骨化症のよくある9つのQ&Aについてお答えします。

Q:頚椎後縦靱帯骨化症と胸椎後縦靱帯骨化症は、頚髄・胸髄損傷のリスクを高める?

頚椎後縦靱帯骨化症と胸椎後縦靱帯骨化症は、頚髄・胸髄損傷のリスクを高める?

A.頚椎後縦靱帯骨化症と胸椎後縦靱帯骨化症はどちらも、脊髄の背側に位置する後縦靱帯が骨化・肥厚することで前方に位置する脊髄を圧迫してしまう病気です。
そのため、頚椎後縦靱帯骨化症では頚髄を、胸椎後縦靱帯骨化症では胸髄を損傷するリスクがあります。

Q:後縦靱帯骨化症の主な症状とは?頚椎と胸椎で異なる特徴

A.後縦靱帯骨化症による症状は損傷する脊髄の高位や、損傷される神経の部位によっても異なります。
症状がどのように出現するかを理解するためには、運動神経と感覚神経の走行を理解する必要があります。
脳からの運動の指令は脳→脳幹→脊髄と下降し、各高位の脊髄から分岐した神経根→末梢神経を介して最終的に筋肉に到達し、運動が得られるわけです。
逆に、身体からの感覚は皮膚→末梢神経→脊髄→脳幹→脳と上行して、最終的に大脳皮質に入力されて知覚します。
そのため、頸髄が損傷すると頸髄以下の脊髄に運動の指令が伝わらず上肢も下肢も麻痺します。
また、頸髄以下からの感覚の情報も上行できなくなるため、上肢も下肢にもしびれが出現するわけです。
胸椎後縦靱帯骨化症の場合は、頸髄における運動・感覚の刺激伝達に支障がないため、下肢の麻痺やしびれは認められるものの、上肢の機能は保たれます。
靭帯の骨化が脊髄ではなく、脊髄から分岐する神経根を圧迫した場合、これらの神経症状は限定的です。
また重症化すると仙髄の機能が障害され、排尿や排便のコントロールが悪くなります。

Q:損傷を改善することはできる?

A.後縦靱帯骨化症の症状改善のためには、基本的に手術療法しかありません。
手術によって直接的に骨化した靭帯を切除し、神経や脊髄の圧迫を解除します。
その際、もし脊柱管が不安定であれば脊椎の固定を行うこともあります。
手術後のリハビリテーションも重要で、早期の回復と日常生活の質の向上に寄与します。
もし症状が軽度で手術を行うほどではない場合は、骨化によって圧迫されている神経を保護する目的で頸椎カラーの装着や、薬物療法による痛みやしびれの緩和を行うことが一般的です。

Q:日常生活に支障は出る?

A.発症当初は部分的な痛みやしびれが主ですが、症状が進行すれば徐々に手指をうまく動かすことができなくなったり、下肢の麻痺が出現します。
そうなると細かい作業ができなくなったり、歩行などにも影響が出るため、日常生活には大きな支障をきたします。
さらに重症化すると仙髄の機能が障害され、排尿・排便のコントロールがつかなくなってしまうため、一人での日常生活が困難になる可能性もあり注意が必要です。

Q:仕事は続けられる?

A.仕事を続けられるかどうかは症状次第です。
靭帯の骨化は基本的に自然軽快することはないため、時間の経過とともに悪化していきます。
また、仮に手術を行って症状が改善し仕事に復帰したとしても、数年から10年程度の経過で同部位かほかの部位の骨化が大きくなり、症状が再発する可能性もあります。
一方で、骨化が急速に進むことはなく、神経症状も必ずしも悪化していくわけではありません。
そのため、仕事を続けられるかどうかはどれほど神経症状が悪化するか次第です。

Q:家族にできることは?

A.後縦靱帯骨化症患者の家族にできることは基本的な日常動作に対する介護です。
下肢の麻痺によって自宅内での階段の登り降りや移動が困難になっている場合や、上肢の麻痺などによって着衣や入浴が困難になってしまう場合、生活を送る上で家族のサポートが必須です。
また、重症化して排尿・排便に支障が出る場合、導尿や便の処理など家族のサポートが必須となります。

Q:おすすめの治療法は?

おすすめの治療法は?

A.後縦靱帯骨化症に対するおすすめの治療法は、手術療法です。
骨化した靭帯による脊髄や神経根の圧迫を解除するためには、頸椎カラーなどの装具療法や疼痛緩和の薬物療法では不可能であり、手術によって直視下で骨化した靭帯を除去する必要があります。
また、後縦靱帯骨化症によって脊椎の安定性が不十分であると、ちょっとした転倒や外傷によって脊柱管が狭窄し、内部を走行する脊髄が大きく障害されるリスクも抱えています。
そのため、脊椎を安定させるための固定術も視野に入れた手術療法が一番おすすめです。

Q:医療費はどれくらいかかる?

A.後縦靱帯骨化症は国が定めるところの指定難病であり、医療費助成制度の対象となります。
その際、自己負担上限額は患者の所得にもよりますが、最大でも月額30,000円に抑えられます。
一方で入院中の食費やベッド代は自己負担となるため、入院期間や医療機関によっても最終的に支払う金額は異なります。
医療費助成制度の適応は症状によっても異なり、また実際にかかる医療費の目安も医療機関によって異なるため、事前に入院予定の医療機関に問い合わせておくと良いでしょう。

Q:どこで相談すればいい?

A.まずはお近くの、整形外科を標榜する医療機関を受診しましょう。
後縦靱帯骨化症の診断のためには脊椎MRI検査を実施できる医療機関である必要があります。
また、その後同じ医療機関で手術可能であればそれに越したことはないため、脊椎外科が手術を行なっている、ある程度大規模な病院に受診すると良いでしょう。
もしそのような医療機関に心当たりがない方は、近隣の整形外科のクリニックを受診し、そのクリニックから検査や手術可能な病院を紹介してもらう形となります。

頚椎と胸椎後縦靱帯骨化症についてのまとめ

今回の記事では、 頚椎と胸椎後縦靱帯骨化症の9つのQ&Aについて詳しく解説しました。
後縦靱帯骨化症は脊柱管狭窄を招き、内部を走行する脊髄が強く障害されれば四肢麻痺や膀胱直腸障害など重篤な神経症状をきたすため、日常生活に大きな支障をきたす可能性がある病気です。
通常、症状が軽症なら装具療法や薬物療法が選択されますが、症状が進行すれば手術療法が選択されます。
また、仮に手術が成功しても結局他の靭帯が骨化して症状が増悪する可能性があり、また対処が遅れれば重篤な神経学的後遺症を残す可能性もあるため、国の指定難病にも指定されています。
一方で、最近では「ニューロテック®」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んです。
ニューロテックメディカルでは、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「同時刺激×神経再生医療Ⓡ」によって、後縦靱帯骨化症による神経学的後遺症の改善が期待できます。

よくあるご質問

頚椎後縦靭帯骨化症は指定難病ですか?
頚椎後縦靭帯骨化症は国の定める指定難病です。
そのため、重症度が一定の基準を満たせば医療費助成制度の適応となり、患者が負担する医療費は所得などに応じて軽減されます。

胸椎後縦靱帯骨化症とはどんな病気ですか?
胸椎後縦靱帯骨化症とは、脊柱管後面を走行する後縦靱帯がなんらかの原因で骨化し、胸髄や胸髄から分岐する神経根が圧迫される病気です。
それによって、下肢の麻痺やしびれなどが出現し、悪化すれば膀胱直腸障害が出現する可能性もあるため、注意が必要です。

<参照元>
・後縦靱帯骨化症(OPLL)(指定難病69)〜|難病情報センター:https://www.nanbyou.or.jp/entry/98
・指定難病患者への医療費助成制度のご案内|難病情報センター:https://www.nanbyou.or.jp/entry/5460

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貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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