この記事を読んでわかること
パーキンソン病による顔の表情の変化や症状がわかる。
パーキンソン病への検査や治療がわかる。
パーキンソン病発症が日常生活に与える影響がわかる。
パーキンソン病を発症すると顔の表情が固くなったり、全身の運動をスムーズに行えなくなることで生活にさまざまな支障をきたします。
適切に対応すれば社会復帰も望めますが、放置したり誤ったセルフケアを行うと症状は悪化してしまうため、注意が必要です。
この記事では、パーキンソン病の症状や対策、社会復帰への道筋について解説します。
顔の表情が変化するパーキンソン病の症状とは
「ここ最近表情が固くなった」「表情が強張って感情が読み取りにくい」
このような表情の変化をきたしている場合、パーキンソン病の可能性があります。
パーキンソン病とは脳内で運動調節を担う黒質と呼ばれる部位に原因不明の変性が生じてしまい、ドパミンと呼ばれる運動を調整する神経伝達物質が不足してしまう病気です。
本来、このドパミンが作用することで人はスムーズな運動が可能になりますが、ドパミンが枯渇することでスムーズな運動ができなくなります。
例えば、腕を曲げる際には上腕二頭筋が収縮しますが、同時に腕を伸ばす筋肉である上腕三頭筋が弛緩していないとスムーズに腕を曲げることができません。
この場合、ドパミンは上腕三頭筋が弛緩するように働きかけることでスムーズな運動を可能にしています。
パーキンソン病ではこのドパミンが枯渇してしまうため、全身のさまざまな運動がスムーズに行えなくなり、さまざまな症状をきたします。
顔の表情に変化をきたす点が特徴的で、具体的な変化は下記の通りです。
- 仮面様顔貌:喜びや怒りなどの感情が表情に出にくくなる
- まばたきの減少:一点をじっと見つめるようになる
- 額のシワが目立たなくなる:表情の変化が減ることでシワも減る
- 固縮:顔の筋肉がスムーズに動かず表情が固くなる
- 脂漏性顔貌:顔面の皮脂が増加して脂っこくなる
また、顔面症状以外にも全身の筋肉・運動に影響が及ぶため、他にも下記のような症状をきたします。
- 振戦:特に安静時に生じやすい四肢のふるえ
- 動作緩慢:全ての動きが遅くなる
- 姿勢反射障害:バランスが悪くなり転倒しやすくなる
これらの症状が見られる場合はパーキンソン病が疑われることもあるため、医療機関に早めに相談しましょう。
パーキンソン病の診断方法や治療

まずパーキンソン病を疑う場合には最も専門的に診断・治療ができる神経内科を受診すべきです。
問診や身体診察、神経診察、頭部CT検査や頭部MRI検査を行い、実施可能な医療機関であればさらに高度な検査としてDATスキャン(ドパミン神経の状態を可視化する検査)、心筋MIBGシンチグラフィ(パーキンソン病では心臓にMIBGという検査薬が集積しなくなる)などの特殊な検査も行います。
これらの検査結果や情報を統合してパーキンソン病の診断を行い、薬物治療を行います。
薬物療法の選択肢は豊富ですが、基本的にはどれも脳内で枯渇したドパミンの作用を強めるための治療です。
残念ながら現在の医療では一度パーキンソン病によって変性した黒質の細胞を元に戻すことはできないため、症状と向き合いながら治療を継続していく必要があります。
パーキンソン病発症から社会復帰への道筋

「パーキンソン病を発症したらもう仕事に復帰できない?」「パーキンソン病を発症したらずっと病院を受診しないといけない?」
このような疑問や不安をお持ちの方も少なくないでしょう。
先述したようにパーキンソン病は現在の医療では完治できない病気であるため、定期的に医療機関を受診する必要があります。
一方で、早期発見・早期治療できれば、仕事にも復帰できる可能性があり、病状が安定していれば病気と向き合いながらも1ヶ月〜3ヶ月に1回程度の受診で管理できることが多い病気です。
そのためには早期発見が非常に重要であり、多くの場合は振戦や動作緩慢、筋固縮などの症状が初期に生じるため、これらの症状が見られる方は直ちに医療機関を受診しましょう。
すでに姿勢反射障害などの症状を認めている場合は症状が進行している可能性が高く、早めに医師へ相談し、転倒予防やリハビリを含めた対策を検討しましょう。
また、医療機関に受診するのはもちろんですが、同時にご自身でのセルフケアも早期の社会復帰のためには必要不可欠です。
運動、食事、睡眠などを規則正しく行うことで症状の軽減や進行を抑制できる効果が期待できます。
無理のない範囲での積極的な歩行やストレッチ、栄養バランスの良い食事と定期的な水分摂取、規則正しい時間で早寝早起きを心がけましょう。
パーキンソン病自体は確かに難病ですが、早期から適切に治療やセルフケアに取り組むことでその後の生活の質を改善できる可能性があるため、早期発見・早期治療を心がけましょう。
まとめ
難病であるパーキンソン病は動作緩慢や振戦、姿勢反射障害などの全身症状とともに、仮面様顔貌やまばたきの減少など顔の表情にも変化をきたす病気です。
進行性の病気ではあるものの、早期から適切に対処すれば十分社会復帰が見込めるため、病気を疑う場合は早期に医療機関を受診しましょう。
さらに近年では、神経障害が「治る」を当たり前にする取り組みとして注目されている「ニューロテック®」という考え方があります。
これは、脳卒中や脊髄損傷に対して「狙った脳・脊髄の治る力を高める」再生医療「リニューロ®」を軸とするアプローチで、骨髄由来間葉系幹細胞や神経再生リハビリ®を組み合わせた治療法です。
パーキンソン病による神経障害に対しても、今後このような先進的な治療法が希望となる可能性があります。
回復への選択肢を広げるためにも、医療機関と連携しながら一人ひとりに合った支援を継続することが大切です。
よくあるご質問
- パーキンソン病の初期症状は?
- パーキンソン病の初期症状として振戦などの運動症状以外に、便秘や嗅覚障害、睡眠中の異常行動など、非運動症状も挙げられます。
これらの症状は運動症状よりも早期から出現することが多いです。
- パーキンソン病が寿命に与える影響は?
- 近年の医療の進歩によって、適切な治療を行えば症状の進行を以前より大きく抑えることができるようになりました。そのため、パーキンソン病患者の寿命は健常者と大きな差はないと報告されています。
<参照元>
(1)パーキンソン病(指定難病6)|難病情報センターhttps://www.nanbyou.or.jp/entry/169
(2)パーキンソン病|筑波大学脳神経内科https://neurology.md.tsukuba.ac.jp/information/pd/
(3)パーキンソン病診療ガイドライン2018|日本神経学会https://www.neurology-jp.org/guidelinem/parkinson_2018.html













コメント