この記事を読んでわかること
・腰髄損傷の一般的な原因と症状
・腰髄損傷とその長期的な影響
・再生医療による腰髄損傷の治療
腰髄は、腰のあたりにある背骨、つまり腰椎の中を通る神経の束です。
腰髄は、主に腰から下の運動や感覚を司っていますので、損傷を受けるといろいろな症状が現れます。
この記事では、腰髄損傷の影響や後遺症、そして再生医療による治療の可能性について解説します。
腰髄損傷の一般的な原因と症状
腰髄とは、脊髄のうち腰椎、つまり腰のあたりにある脊椎という骨によって囲まれた脊柱管を通る部分のことです。
腰椎という背骨は5つあり、その部分を通る脊髄のことを「腰髄」と呼んでいます。
また、脊髄は腰椎の上の方で終わっており、それより下のレベルでは神経の束が馬の尻尾のように細かく分かれています。
この領域は「馬尾(ばび)」と呼ばれます。
脊髄が損傷されると、その障害された部位から下の身体への脳からの指令も、下から脳へ信号も伝わらなくなってしまいます。
そのため、運動麻痺や感覚麻痺、自律神経障害、排尿障害、排便障害などのさまざまな障害が生じます。
腰椎レベルでの腰髄損傷が起こると、以下の症状が起こります。
- 損傷した部位の痛み
- 障害を受けた神経が担当する足の筋力低下としびれ
- 排尿障害がでることも
脊髄損傷の発症率と腰髄損傷に至る原因
脊髄損傷は、日本では毎年約5000人発生しているとされ、発症は20才代と60才代に多く、損傷部位は頸髄60%、胸髄や腰髄40%とされています。
原因は、交通事故、転落、転倒の順に多く、高齢化が進む日本では高齢者が転倒し、例えば尻もちをついた時などに怪我をし、腰髄損傷に至るということも増加傾向です。
腰髄損傷とその長期的な影響
腰髄損傷の長期的な影響としては、運動障害や感覚障害などが後遺症として残るということがあります。
運動障害
腰髄を損傷したレベルに応じて、運動麻痺の症状は以下のようになります。
- 第2腰髄:股関節を曲げることができなくなる
- 第3腰髄:膝を伸ばすことができなくなる
- 第4腰髄:つま先を上にそらすことができなくなる
- 第5腰髄:足の親指を上にそらすことができなくなる
これらの症状は下肢麻痺症状となるのですが、腰髄の損傷の程度によってその麻痺の重さは異なります。
感覚障害
感覚障害についても、腰髄損傷を受けたレベルによって、太ももから足の甲に至るまでの、下半身の感覚障害が生じます。
さらに、しばしば、身体の表面の特定の部位に痛みを伴うこともあります。
感覚が麻痺すると、骨折や捻挫、皮膚のやけどや傷に気づくのが遅れ、感染が悪化するなどの影響があります。
膀胱直腸障害
腰髄よりさらに下のレベルの仙髄という部分が障害されると、膀胱直腸障害を生じることもあります。
これは、膀胱や腸の制御機能が失われ、排尿や排便のコントロールがうまくいかなくなるということです。
尿路感染症などのリスクが高まったり、排便・排尿がうまくいかないことでQOL(生活の質)が下がってしまう、という影響があります。
再生医療による腰髄損傷の治療
腰髄損傷は、一度損傷されてしまった神経は自然に治癒することは難しく、後遺症が残ってしまいます。
従来の治療では、脊髄損傷そのものを治す方法はなく、損傷部位が不安定になりさらに障害部位が増えてしまうことを予防したり、リハビリテーションをスムーズに行うために神経圧迫の解除やインプラントによる脊椎固定などの手術を行う、という方法がとられてきました。
最近では、脊髄損傷に対して再生医療による治療が応用されつつあります。
例えば、iPS細胞による脊髄損傷の再生医療や、Muse細胞を用いた脊髄損傷の再生医療、骨髄間葉系幹細胞による脊髄損傷の再生医療などがあります。
札幌医大で痛みが強い脊髄損傷の患者さん12名に治療を行ったところ、骨髄間葉系幹細胞の移植後12週時点で痛みは半分以下程度に減少したという報告があります。
ニューロテック®では、研究成果による裏付けがある「骨髄間葉系幹細胞の点滴投与」を受けることができます。
脊髄損傷の再生医療では、神経機能の再生そのものが期待でき、損傷に伴う種々の症状改善効果が期待されます。
まとめ
この記事では、腰髄損傷の原因や症状について解説しました。
また、腰髄損傷に対する再生医療の可能性についても述べました。
再生医療は、損傷した神経そのものを修復させることで、運動に関しては筋力、動作、歩行の改善、感覚に関しても触覚などの改善、またしびれの改善が期待されます。
今後もますます期待できる治療法と考えられます。
腰髄損傷後の後遺症に悩み、再生医療に対してご興味のある方は、ぜひ一度ニューロテック®までご相談ください。
よくあるご質問
腰髄損傷の原因は?
腰髄損傷は、腰椎の骨折などの外傷が原因となることが一般的です。骨粗鬆症など骨が弱っている高齢者では、尻もちをつくなど簡単な外傷が原因で、胸から腰にかけて圧迫骨折・破裂骨折を引き起こすこともあるので注意が必要です。このような骨折を起こしてしまうと、脊髄も損傷されてしまうことがあるのです。なお、65歳以上の高齢者の約40%に脊椎骨折があるといわれています。
腰椎損傷の症状は?
腰椎損傷の主な症状は、足や臀部(尻)のしびれ、痛み、脱力(麻痺)などです。休み休みでないと長距離を歩けなくなることがあります。また、高齢者の方では、下半身の運動麻痺などが原因となり、寝たきりになることもあります。下半身の感覚、つまり知覚も麻痺することで、床ずれなどの怪我の発見が遅れ、重症になってしまうこともあるため注意が必要です。
<参照元>
大阪府/【脊損についての医療的知識】病態(疾患と機能障害のようすと対策):https://www.pref.osaka.lg.jp/keikakusuishin/kankou/sekisonnbyoutai.html
脊髄損傷・脊椎損傷とは:https://www.research.johas.go.jp/22_sekizui/past01.html
脊髄損傷|一般社団法人日本脊髄外科学会:http://www.neurospine.jp/original62.html
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