脳卒中に関係する学会をご紹介

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日本の医学界には、「学会」と呼ばれる集まりがあります。
学会には、その特定の領域に関係する研究や診療を行っている専門職の人たちが参加しています。
学会にはいくつかの役割がありますが、その主な目的は学会員同士が学術的な情報を交換し、相互に学び合い、医学の発展を共有することにあります。
その目的を実現するため、学術集会と呼ばれる年1回の集会、学術雑誌の発行、専門医の育成などを行っています。
脳卒中に関係する学会もあります。
しかも複数の学会がそれぞれ役割分担して存在しています。
そこで今回の記事では、脳卒中に関係する学会について、それぞれの目的を中心にご紹介いたします。

日本脳卒中学会

関連学会
日本の脳卒中に関係する中心となる学会が、日本脳卒中学会です。
1975年に設立されており、現在では一般社団法人となっています。
学会員は脳卒中診療を主に扱っている医師であり、そのなかには内科、脳神経外科、救急医療、リハビリテーション医学、放射線医学などを専門としている医師たちが含まれています。
2021年の時点で、約8,300名の学会員がいます。
脳卒中に関係する学術的な情報交換を行う方法として、学会が発行する医学雑誌として「脳卒中」を発刊しており、投稿された論文の査読も行っています。
この査読は、その領域において専門的な知識を有する複数の人が、その論文の批判的に吟味し、世のなかに貢献するものとして発表するために行います。
ちなみに同学会は英文雑誌である「Journal of Stroke and Cerebrovascular Diseases」も発行していましたが、2020年以降は発行事業から撤退しています。
また年に1回は学術集会を行なっており、脳卒中診療に関する最新の知見の共有を図っています。
脳卒中学会では、脳卒中治療ガイドラインを出しています。
これは脳卒中を治療する際に参考とすべき治療方法を、科学的根拠に基づいて示しているもので、ガイドラインに基づいて診療を行うことで、現時点で世界的にみても最も正しいと思われる診療を行うことができます。
さらに脳卒中の診療の質を担保するために専門医制度も設けており、学会が審査をした上で一定以上の能力を有すると判断された医師に、脳卒中専門医の資格を発行しています。またその専門医を育成するための研修施設も認定しています。

日本脳卒中の外科学会

脳卒中診療の主に外科的な領域について扱う学会です。
学会員は主に脳神経外科医で、2021年時点で約3,800名の学会員がいます。
学会誌である「脳卒中の外科」を発刊しており、年に一回の学術集会を行っています。
脳卒中の外科に関しては、専門医制度は設けていません。
しかし、それぞれの脳神経外科医の脳卒中診療における外科的技術の質を担保することを目的に、「技術認定制度」を設けています。
また学会員の技術の向上を目指した講習会や教育セミナーを提供しています。

スパズム・シンポジウム

スパズム・シンポジウムは、主に脳血管の攣縮に対する学識を深めることを目的とした学会です。
攣縮とは、血管がけいれんしたように小刻みに収縮することで、その結果血管が細くなり脳卒中を起こしてしまいます。
このスパズム・シンポジウムは、脳卒中学会、脳卒中の外科学会と合わせ、脳卒中関連学会と位置付けられており、「STROKE2021」などと称する学術集会を合同開催しています。
スパズム・シンポジウムには専門医制度などはありませんが、「脳血管攣縮」という機関紙を発刊しています。

日本心血管脳卒中学会

2013年に設立され、2021年時点で750名ほどの学会員が在籍する、比較的新しい学会です。
日本頚部脳血管治療学会がこの学会の前身です。
脳血管だけでなく、心臓血管領域も含めた血管障害、脳卒中のあらゆる分野に関する学術的知識を深め合うことを目的に設立されています。
年一回の学術集会は開催されていますが、学会が発刊する機関紙はありません。

日本脳神経血管内治療学会

日本脳神経血管内治療学会は、脳神経血管に対する治療に関する学術的活動を主目的とした学会です。
日本神経治療学会と似ている名称ですが、こちらは脳卒中だけが対象ではなく、てんかんや神経難病など、多くの神経疾患の治療に対する学術的活動を目的としています。
日本脳神経血管内治療学会は、1982年に設立された特定非営利活動法人で、4,000人を超える学会員を有しています。
機関誌として和文誌「脳血管内治療」と英文誌である「Journal of Neuroendovascular Therapy」を発刊しており、毎年学術集会も開催しています。
このほか研究事業も行っており、学会が主導する研究のほか、脳血管内治療に関係する研究に対し研究費の助成も行なっています。
また脳血管内治療に使用される医療機器の使用状況を登録し、主に有害事象を調査するデータベース事業も行なっています。
そこでは専門医制度も有しており、脳血管内治療を行う脳神経外科医、放射線科医、救急医、内科医などの知識と技術を審査し、そのスキルを担保しています。

まとめ

今回は、脳卒中に関係する主要な学会をご紹介しました。
このほかにも日本内科学会、日本脳神経外科学会、日本救急医学会、日本放射線学会、日本リハビリテーション医学会など、より規模の大きい学会においても、脳卒中に対する基礎研究、臨床研究などに関する成果を共有する機関誌や学術集会は行われています。
さらには看護師を対象とした日本脳神経看護研究学会、リハビリテーションを実践する理学療法士や作業療法士を対象とした日本理学療法士学会、日本作業療法学会などもあります。
このように多くの関係者が協力し合い、日本の脳卒中診療の質を高める努力が続けられています。


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脳卒中ラボ


貴宝院 永稔【この記事の監修】
福永記念診療所 再生医療部長 再生医療担当医師

ニューロテックメディカル代表【 Dr.貴宝院 永稔 】
大阪医科大学卒業
私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。

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