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脳梗塞とエリテマトーデスの関係性とは?

           

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この記事を読んでわかること

SLEは自己免疫疾患であり、免疫系が自己の組織を攻撃して全身に炎症を引き起こすことがわかる。
SLEの活動性が高い場合、炎症や血管障害が増加し、脳梗塞の発症リスクが上昇することがわかる。
適切な治療や管理により、リスクを低減できる可能性があるため、早期の診断と治療が不可欠であることがわかる。


全身性エリテマトーデス(SLE)は自己免疫疾患の一つであり、全身の臓器や組織に炎症を引き起こす可能性があります。
一方、脳梗塞は脳の血流が遮断されることで発生する病態です。
この二つの疾患には関連性があることが知られていますが、そのメカニズムやリスク要因を理解することが、早期の発見と適切な治療につながります。
本記事では、SLEと脳梗塞の同時発症の背景やリスク要因について解説します。

脳梗塞と全身性エリテマトーデス(SLE)の同時発症を理解する

脳梗塞と全身性エリテマトーデス(SLE)の同時発症を理解する
全身性エリテマトーデスは、英語ではSystemic lupus erythematosus(SLE)と表記される自己免疫疾患です。
全身性エリテマトーデスは、自分の体を免疫系が攻撃してしまうことが原因とされています。
症状としては、発熱や体のだるさなどの炎症に関連する症状や、関節や皮膚、腎臓、肺、中枢神経など、内臓にいろいろな症状が現れます。
中でも重要なものの一つに、脳梗塞などの心血管イベントがあります。
全身性エリテマトーデスの方は動脈硬化が起こりやすく、頸動脈や心臓の冠動脈にプラーク(コレステロールや脂肪)が付着しやすくなります。
また、血液中に抗カルジオリピン抗体や、ループスアンチコアグラントが認められる、抵リン脂質抗体陽性例では、多発脳梗塞をきたすことがあります。
さらに、これらの症状はSLEの活動性や治療の進行度によっても異なります。
活動性が高い場合、より多くの炎症や血管障害が起こりやすく、脳梗塞の発症リスクがさらに高まります。
適切な治療を行うことで、これらのリスクを低減することが可能です。

脳梗塞とエリテマトーデス、それぞれの発症メカニズム

それでは、脳梗塞と全身性エリテマトーデス、それぞれの発症メカニズムについて解説していきます。

脳梗塞

脳梗塞は、脳の血管が詰まり血流が減少して、脳細胞が死んでしまう病気のことです。
脳梗塞の発症メカニズムは、血管が詰まる原因によって異なります。

  • アテローム血栓性脳梗塞
    高血圧や糖尿病などの動脈硬化の要因となる病気によって血管が狭くなり、血栓が作られて血管が詰まります。
  • ラクナ梗塞
    脳の深いところにある細い血管が詰まることで起こります。
    日本人に多くみられるタイプです。
  • 心原性塞栓症
    心房細動などの病気が原因で、心臓の中にできた血栓が脳の血管に運ばれて詰まることで起こります。

全身性エリテマトーデス

全身性エリテマトーデスは、免疫系が何らかの原因で自分自身の細胞を攻撃してしまう自己免疫疾患です。
メカニズムとしては、SLEは、免疫系が自己の細胞や組織を攻撃することで発症します。
この異常な免疫反応により、全身の血管や臓器に炎症が広がります。
また、SLE患者では抗リン脂質抗体が検出されることが多く、これが血管内での血栓形成を促進します。
SLE患者において、これらのメカニズムが同時に作用することで、脳梗塞のリスクが高まると考えられています。
これに加えて、SLEの慢性炎症は血管壁の構造を変化させることがあり、血管の弾力性が失われることでさらなる動脈硬化を引き起こします。
このような複合的なメカニズムが、SLE患者の脳梗塞リスクを増大させます。

エリテマトーデスが血管に及ぼす影響と脳梗塞との関係

エリテマトーデスが血管に及ぼす影響と脳梗塞との関係
SLEは血管炎や動脈硬化を引き起こしやすい疾患です。
これにより、血管の内壁が損傷し、血小板が集まりやすくなることで血栓が形成されます。
さらに、抗リン脂質抗体が存在する場合、血液が過剰に凝固しやすくなり、脳梗塞の発生率が上昇します。
また、SLEに伴う慢性的な炎症は、血管の柔軟性を失わせ、動脈硬化を進行させる要因ともなります。
これらの血管障害は、SLE患者が脳梗塞を発症しやすい背景となります。

複数の疾患が同時に起こる際のリスク要因とは?

SLEと脳梗塞が同時に発症する場合、以下のリスク要因が重要視されます。

抗リン脂質抗体症候群(APS)

APSは、SLE患者の約10〜20%で見られる合併症であり、脳梗塞やその他の血栓性疾患のリスクを著しく高めます。

ステロイド治療の影響

SLE治療で使用されるステロイド薬は、感染症リスクの上昇や血糖値の増加を招く可能性があり、間接的に血管の健康に影響を与える場合があります。

生活習慣病

高血圧、糖尿病、脂質異常症などの併存疾患は、SLE患者の脳梗塞リスクをさらに高める要因となります。

まとめ

全身性エリテマトーデス(SLE)は自己免疫疾患であり、炎症や血管障害を引き起こすため、脳梗塞との関連性が強い疾患です。
SLE患者では、抗リン脂質抗体や血管炎、動脈硬化といったリスク因子が複合的に絡み合い、脳梗塞の発症率が高まります。
そのため、SLE患者には早期発見や継続的な治療が重要であり、適切な血圧管理や抗凝固療法の導入が推奨されます。
また、生活習慣の見直しや定期的な検査を通じて、リスクを低減することが可能です。
医療者との密な連携が、長期的な健康維持の鍵となるでしょう。
SLEのような背景疾患をお持ちの方が多発脳梗塞を発症すると、その後遺症のケアやリハビリの難易度が高くなることがあります。
そのような場合にも、再生医療とリハビリテーションを組み合わせた、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』が役立つかもしれません。
リニューロ®では、同時刺激×神経再生医療®、骨髄由来間葉系幹細胞を用いて狙った脳や脊髄の治る力を高めた上で、神経再生リハビリ®を行うことで神経障害の軽減を目指します。
ご興味のある方は、ぜひ一度当院までご相談くださいね。

よくあるご質問

SLEの合併疾患には何がありますか?
SLEの主な合併疾患には、抗リン脂質抗体症候群、腎炎(ループス腎炎)、肺高血圧症、感染症、甲状腺疾患などがあります。
これらの疾患はSLEの免疫異常や慢性的な炎症が影響して発症することが多いため、早期診断と適切な治療が重要です。

全身性エリテマトーデスは完治しますか?
現在のところ、全身性エリテマトーデス(SLE)を完全に治す治療法はありません。
ただし、免疫抑制剤やステロイドを用いることで病気の活動性をコントロールし、症状を軽減することが可能です。
定期的な診察と治療を続けることで、生活の質を大きく向上させることができます。

<参照元>
・全身性エリテマトーデス(SLE)(指定難病49):
https://www.nanbyou.or.jp/entry/53
・原発性抗リン脂質抗体症候群(指定難病48):
https://www.nanbyou.or.jp/entry/4101
・全身性エリテマトーデス(SLE) 大阪大学大学院医学系研究科 呼吸器・免疫内科学:
http://www.imed3.med.osaka-u.ac.jp/disease/d-immu04-1.html
・脳梗塞|聖マリアンナ医科大学脳血管内治療科:
https://www.toyoko-stroke.com/explain/infarction.html

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PROFILEこの記事の監修
貴宝院 永稔
貴宝院 永稔 医師
(大阪医科薬科大学卒業)
  • 脳梗塞・脊髄損傷クリニック 総院長
  • 日本リハビリテーション医学会認定専門医
  • 日本リハビリテーション医学会認定指導医
  • 日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
  • ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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