この記事を読んでわかること
・くも膜下出血と高血圧の関連性
・女性特有のストレスとその対処法
・マインドフルネスが高血圧に与える良い影響
ストレスは間接的なくも膜下出血の原因となりえます。
女性には月経や妊娠、更年期障害などの特有のストレスがあります。
ストレスの管理には、リラクゼーション効果のあるヨガやマインドフルネスなどが有効です。
今回の記事では、こうしたストレスへの対処方法についても解説します。
ストレスと血圧の関連性
それでは、まずはくも膜下出血について解説し、高血圧とストレスの関連について述べていきます。
くも膜下出血とは
くも膜下出血は脳の血管の一部分に動脈瘤(どうみゃくりゅう)というこぶができて破裂して起こるものです。
脳梗塞や脳出血と合わせ、脳卒中と呼ばれます。
高血圧、喫煙、飲酒が発生に関連する要因と考えられています。
慢性的なストレスは高血圧の原因となる可能性がある
慢性的なストレスは、高血圧の原因となる可能性があります。
高血圧とは、一般的に「人の血圧が通常の範囲を超える状態」とされ、通常は収縮期血圧(最大血圧)が140mmHgを超え、拡張期血圧(最小血圧)が90mmHgを超える場合に診断されます。
一時的なストレスは通常、体が適切に対処するための正常な反応です。
しかし、慢性的なストレスは長期間にわたって高血圧の危険を増加させる可能性があります。
そのため、ストレスの適切な管理、健康的な生活習慣の維持、リラクゼーション技術の活用などが高血圧予防に役立つことがあります。
ストレス反応が改善されずに慢性化していくと、うつ状態などのメンタルヘルス面での疾患だけでなく、身体面での疾患に至ることがあります。
こうしたストレスに関連していると考えられている疾患を心身症といいます。
例えば、呼吸器系では気管支喘息や過換気症候群、循環器系では本態性高血圧症や冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞)、消化器系では胃・十二指腸潰瘍、過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、心因性嘔吐といったものがあります。
注意したい点としては、同じ高血圧でも、ストレスによる場合とそうでない場合とがあるということです。
両者の違いは、疾患の発症や経過にストレスが関係しているかどうか、という点にあります。
もしこれらの疾患にストレスが関係していると判断される場合には、体の治療とともに、ストレス状態の改善についても考慮する必要があります。
たとえば、ストレッサーに対する対処方法(コーピング)の工夫は、疾患の改善にとって有効な方法の1つとなります。
エストロゲン低下が脳動脈瘤リスクに与える影響
閉経後の女性は、エストロゲン分泌の減少により脳動脈瘤のリスクが高まります。
エストロゲンは血管壁の柔軟性を保ち、炎症を抑える働きがありますが、閉経後にその機能が低下すると、血管が硬くなりやすくなります。
このため、血管壁の脆弱化が進行し、脳動脈瘤が発生しやすくなります。
また、閉経後は高血圧のリスクも増すため、より慎重な健康管理が求められます。
エストロゲンと脳動脈瘤破裂の関係
閉経後に脳動脈瘤が破裂するリスクが増えることがわかっています。
特に、エストロゲンの低下は血管の損傷に対する耐性を下げ、脳血管にかかる負担が増すことで、くも膜下出血のリスクを高めます。
これにより、女性は男性に比べて約2倍の頻度で脳動脈瘤が破裂しやすいとされています。
女性特有のストレスとその対処法
女性には、生理的な変化として、女性ホルモンの急激な変化をもたらす月経や妊娠、更年期障害や、ライフイベント(結婚、妊娠・出産、育児、介護など)による 環境・役割の変化といった特有のストレス要因があります。
これらに対処するためには、以下のような方法が有効と考えられます。
ストレス要因を認識する
何がストレスを引き起こしているのかを理解することが、対処の第一歩です。
コミュニケーション
感情やストレスを家族や友人、信頼できる相手と共有することは、ストレスを軽減するのに役立ちます。
医師やカウンセラーなどの専門家による支援を受けることも大切です。
健康的な生活習慣
バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠は、ストレスを軽減するのに役立つ要因です。
リラクゼーションやマインドフルネスを取り入れる
マインドフルネスは、これらのストレス要因に対処するために、その瞬間に焦点を当て、過去や未来の心配から離れ、現在の状況に集中する方法です。
これにより、過度なストレス反応を緩和し、ストレスの原因に対する冷静な対応が可能になります。
くも膜下出血予防のためのリラクゼーション方法
ヨガ、瞑想、深呼吸、プログレッシブ・マッスル・リラクセーションなどのリラクゼーション効果のある瞑想などを取り入れることで、ストレスを緩和できます。
また、ストレスは自律神経系の活動やストレスホルモンの放出を増加させることがあります。
マインドフルネスの実践は、これらの生理的な反応を和らげ、リラックス反応を促進します。
深呼吸、瞑想、ヨガなどのマインドフルネスのテクニックは、ストレス反応を軽減し、身体と心のリラクゼーションをもたらすのに役立つでしょう。
脳動脈瘤リスクとストレス管理についてのまとめ
ストレスは、間接的にくも膜下出血の原因となりえます。
女性特有のストレスがあることを知ることは、メンタルヘルスケアの観点からも重要です。
くも膜下出血を発症してしまうと、重症の場合には手足の麻痺などの後遺症が残る可能性もあります。
当院では、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んでいます。
ご興味のある方は、ぜひお問い合わせください。
よくあるご質問
くも膜下出血と女性ホルモンの関係は?
くも膜下出血は、動脈瘤(どうみゃくりゅう)という脳の血管のこぶができ、それが破裂して起こります。エストロゲンという女性ホルモンは脳の血管の壁を保護する役割があるのですが、閉経後の女性では女性ホルモンの分泌が減少するため、脳動脈瘤の発生率が増加すると考えられています。
くも膜下出血はストレスが原因ですか?
ストレス自体がくも膜下出血の直接的な原因ではありません。しかし、長期間にわたる慢性的なストレスは、高血圧や他の健康問題を引き起こす可能性があります。高血圧はくも膜下出血のリスクを増加させる要因の一つですので、ストレスは間接的なくも膜下出血の原因にはなり得るでしょう。
<参照元>
高血圧 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
脳血管障害・脳卒中 | e-ヘルスネット(厚生労働省):https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-003.html
2 ストレスからくる病|こころの耳 厚生労働省:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-006.html
厚生労働省eJIM | 瞑想 | 各種施術・療法 | 一般の方へ:https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/overseas/c02/07.html
Role of estrogen deficiency in the formation and progression of cerebral aneurysms. Part II: experimental study of the effects of hormone replacement therapy in rats. J Neruosurg. 2005 Dec;103(6):1052-7.:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16381192/
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