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脊髄損傷と椎間板ヘルニア

           

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この記事を読んでわかること

脊髄損傷と椎間板ヘルニアについて
脊髄損傷と椎間板ヘルニアの原因
脊髄損傷と椎間板ヘルニアの治療


脊髄損傷と椎間板ヘルニアは共に脊髄神経に障害を与えますが、脊髄損傷は急激に発症し受傷部位によっては生命に関わる状態になること、初期から積極的治療が必要となることが特徴です。
椎間板ヘルニアは、緩徐な発症で特に治療を必要としないこともあります。
脊髄神経は、損傷された機能の回復は期待できませんが、再生医療の進歩により回復が望めるようになってきています。

脊髄損傷と椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニア
共に脊髄神経に関係する障害をきたしますが、その概要を説明します。

脊髄損傷とは?

脊髄損傷は、外傷などの外力によって脊髄神経が損傷され、損傷部位より下位の筋力や感覚、および他の身体機能に永久的なダメージをもたらします。
損傷された部位によっては、呼吸ができなくなる、排便や排尿がコントロールできなくなるなど、生活面だけでなく、生命の維持そのものにも影響が出る可能性があります。
損傷によって失われた機能は、回復することが困難とされています。
しかし最近の研究の進歩により、損傷された脊髄神経を修復できる可能性が出てきています。

椎間板ヘルニアとは?

椎間板ヘルニアは、背骨(椎骨)の間にあるゴムのようなクッションの働きをしている椎間板に生じた問題です。
椎間板は、柔らかいゼリー状の中心部(核)が、硬いゴムのような外側の部分に包まれていますが、椎間板ヘルニアは、核の一部が外側の部分にできた裂け目から押し出されることで発生します。
背骨のどの部分にも発生する可能性がありますが、多くは腰部に発生します。
椎間板ヘルニアの部位によっては、腕や脚に痛み、しびれ、脱力感が生じることがあります。
多くの人は、椎間板ヘルニアによる症状がありません。
症状があっても、時間の経過とともに改善する傾向があります。

脊髄損傷と椎間板ヘルニアの症状

まずそれぞれの症状について、ご説明します。

脊髄損傷の症状

脊髄損傷の症状は、脊髄の損傷部位と損傷の重症度という2つの要因に依存します。
損傷を受けていない脊髄の最下部は、損傷の神経学的レベル、また損傷の重症度は、失った神経症状の程度に応じて完全、あるいは不完全と表現されます。
例えば完全損傷では、損傷した脊髄レベルより下のすべての感覚(知覚)とすべての運動制御能力が失われます。
他方、損傷した脊髄レベルより下の感覚や運動の機能が一部でも残っていると、不完全損傷と呼ばれます。
また全ての四肢が障害される四肢麻痺、両方の下肢が損傷される対麻痺があります。
脊髄が損傷されると、運動麻痺、熱、冷たさ、触覚などの感覚の喪失、腸や膀胱のコントロールができなくなる、性機能の変化、脊髄の神経線維の損傷による痛み、呼吸困難などがみられます。

椎間板ヘルニアの症状

椎間板ヘルニアの多くは腰部に発生しますが、首にも発生することがあります。
症状は、椎間板の位置と神経を圧迫しているかどうかによって異なります。
椎間板ヘルニアでは、通常体の片側に症状が出ます。
椎間板ヘルニアが腰にあると、腰の痛みの他に、臀部から太もも、ふくらはぎに痛みを感じます。
足の一部にも痛みが出ることがあります。
首の椎間板ヘルニアの場合は、肩や腕に痛みを感じるのが一般的です。
咳をしたり、くしゃみをしたり、姿勢を変えたりすると、腕や脚に痛みが走ります。
椎間板ヘルニアによって影響を受けた神経の分布に合わせて、しびれや痛みを感じることがあります。
また神経支配に応じて、筋肉が低下することもあります。
なお椎間板ヘルニアは、症状が認められないこともあります。

脊髄損傷と椎間板ヘルニアの原因

脊髄損傷の原因

脊髄損傷は、椎骨、靭帯、椎間板の損傷、または脊髄そのものの損傷から生じることがあります。
外傷性脊髄損傷は、脊椎への突然の外傷性打撃により、椎骨が骨折、脱臼、粉砕、または圧迫されることにより発生します。
出血、腫脹、炎症などが、脊髄の周囲にも波及するため、数日から数週間にわたってさらなる損傷が生じます。
ちなみにがんや感染症など、外傷によらない、非外傷性脊髄損傷もあります。

椎間板ヘルニアの原因

椎間板ヘルニアは、多くの場合、椎間板変性と呼ばれる加齢に伴う摩耗や損傷によって起こります。
加齢に伴い、椎間板は柔軟性を失い、少しの歪みや捻りでも損傷を受けやすくなります。
ただし、原因を特定できないこともあります。

脊髄損傷と椎間板ヘルニアの治療

次にそれぞれの治療法についてご説明します。

脊髄損傷の治療

残念ながら、損傷された脊髄神経の機能を元に戻す方法はありません。
脊髄損傷の治療は、さらなる損傷を防ぐことと、脊髄損傷を受けた人ができる限り日常生活に戻れるようにすることに重点を置いています。
治療の初期段階では、脊髄の損傷を防ぐために首を固定することに加え、呼吸能力の維持、ショックの防止を目指します。
また損傷を最小限に止めることを目的に、メチルプレドニゾロンを点滴することもあります。
さらに脊椎を圧迫していると思われる骨片などを除去するために、手術が必要になることもあります。
なお回復の初期段階から、リハビリテーションチームが治療を開始します。
筋力の維持と強化、細かい運動能力の再獲得、日常生活への適応方法の習得を重視します。
特筆すべきこととして、最近注目を集めているのが再生医療です。
従来回復は不可能とされていた神経機能を回復させることを目的に、自分の間葉系幹細胞を利用した治療法です。
急性期だけでなく、発症後しばらく時間が経過していても、失った機能をある程度取り戻すことがわかってきています。

椎間板ヘルニアの治療

痛みの原因となる動作を避け、痛み止めを服用する保存的治療で、多くの場合数日から数週間以内に症状が緩和されます。
また痛みの緩和を目的に理学療法を行うこともあります。
椎間板ヘルニアで手術が必要な人はほとんどいませんが、保存的療法でも症状が改善されない場合、特に痛みが強い場合や麻痺がある場合は手術を考慮することがあります。

まとめ

脊髄損傷と椎間板ヘルニアについて、治療法も交えてご紹介しました。
特に治療は不可能とされてきた脊髄損傷については、再生医療の可能性が注目されています。
更なる医学の進歩に期待しています。

よくあるご質問

椎間板ヘルニアはどうしたら治る?
ヘルニアが吸収される3ヶ月間は保存治療が行われます。保存治療には薬物治療(非ステロイド性抗炎症薬、副腎皮質ステロイド、デュロキセチンなど)、硬膜外ブロック注射(神経を直接麻酔する)、理学療法(ストレッチや筋力強化訓練など)があります。保存治療で効果が乏しい場合は手術治療が検討されます。

椎間板ヘルニアの自然治癒はどれくらいかかりますか?
症状のある椎間板ヘルニアの飛び出た部分は、約2/3が自然に吸収されることがわかっています。症状がない場合、多くは変化はありません。保存療法(薬物、運動、コルセットなど)で概ね改善し、手術が必要となるのは症状の強さに関連して2〜5割程度です。

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貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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