この記事を読んでわかること
・冷え性改善や脳梗塞のリスク低減に効果的なお風呂の温度や入浴時間がわかる。
・血行促進に役立つ入浴剤の種類やふくらはぎマッサージの方法がわかる。
・入浴前後の注意点や、入浴中の体調管理方法がわかる。
お風呂で冷え性を改善し、脳梗塞リスクを下げる方法を解説します。
適切な入浴温度や時間、効果的な入浴剤の選び方、マッサージ法、安全な入浴のポイントなどを詳しく紹介。
さらに、温泉療法とリハビリテーション医療の関連性についても触れ、日々の入浴習慣が健康維持にどのように役立つかをお伝えします。
血行不良を解消するお風呂の温度と入浴時間の目安
お風呂に入ることはとても気持ちがよく、心身ともにリラックスしていく感覚が好きという方は多いのではないでしょうか。
実は、お風呂に入る頻度と、虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症)や脳卒中(脳出血、脳梗塞)の発症リスク低下と関連があることを示した研究があります。
この研究では、入浴の頻度が「週に2回以下」のグループと比較して、「ほとんど毎日」のグループでは、脳卒中全体の発症リスクが26%低くなるという結果が得られました。
病型別にみると、脳出血は46%、脳梗塞は23%のリスク低下が見られたということです。
このように、お風呂に入ることは脳梗塞のリスクを下げる効果が期待できそうですね。
しかし、適切な温度と入浴時間を守ることが重要です。
厚生労働省の研究によると、以下のようなお風呂の温度と入浴時間の目安が設けられています。
- 理想的な湯温は40℃以下
- 入浴時間は10分以内
ぬるめのお湯は副交感神経を優位にし、血管を広げて血流を促進するため、冷え性改善や脳梗塞予防に効果的です。
また、入浴前後にコップ1杯の水を飲むことで、脱水による脳梗塞リスクを低減できます。
さらに、温泉療法とリハビリテーションの関係を調べた報告によると、温泉療法は血流促進効果に加えて、自律神経の調整や筋肉の緊張を和らげる効果があり、リハビリテーションの一環としても活用されることが推奨されています。
冷え性改善に効果的な入浴剤やマッサージ法
入浴剤を活用することで、さらに血行促進効果が高まります。
特におすすめなのは炭酸ガス系入浴剤で、皮膚の毛細血管を広げて血流を改善します。
日本炭酸ヘッドスパ協会によると、炭酸ガスは湯中に溶けやすいとされています。
そして、その炭酸ガスが豊富に含まれたお湯の中につかることで、皮膚から炭酸ガスの一部が皮膚を通り抜け、皮下の毛細血管に入っていくのではないかと考えられています。
すると、血中の炭酸ガスが増えるので、ヘモグロビンが酸素を切り離し、細胞に酸素が供給されます。
そして、お湯につかっている体の部分の血行が促進され、酸素、水分、栄養が大量に供給され、炭酸ガスを含む老廃物を引き取る量も増え、新陳代謝が促進されると言う訳です。
その結果、血液中のヘモグロビンが10分程度の入浴で血行が大幅に改善されると報告されています。
入浴中には、ふくらはぎマッサージを取り入れるのも効果的です。
ふくらはぎは「第二の心臓」と呼ばれています。
ふくらはぎのマッサージによって、むくみの軽減や冷え症状の緩和、足関節の柔軟性やバランス能力の向上が見込めることが明らかになっています。
また、リラックス感や気持ち良さの増加、抑うつや痛みの減少効果もあります。
お風呂でマッサージすることで血液の循環が促され、冷え性改善だけでなく心理的なリラックス効果が期待できます。
ただし、入浴中のマッサージが長くなりすぎないように、気を付けましょうね。
安全に入浴するためのポイントと注意事項
安全に入浴するには、入浴前の準備や入浴中の体調管理、入浴後の注意点などに気を付けましょう。
入浴前の準備
- 浴室や脱衣所を暖めておく:急な温度変化(ヒートショック)を防ぐために、浴室や脱衣場の気温を同じくらいにしておくことは大切です。
- 体調を確認する:体調が悪い際には、無理にお風呂に入ることは避けましょう。
- 入浴前にトイレを済ませる
- お湯の温度を確認する:熱すぎないように気を付けましょう。
- 脱衣所が濡れていたら拭き取っておく:滑って転ぶ危険があるためです。
- 入浴前後は、できれば水分補給する:脱水症状になるのを避けましょう。
- 入浴は食後、飲酒後には1時間以上空けて行う:血圧の急激な変動を避けるために役立ちます。
- 入浴中はゆっくりと立ち上がる:立ちくらみを防止するために、入浴後にはゆっくりと立ち上がるようにしましょう。
- 同居者がいる場合は声かけを行う:緊急時の早期対応が可能となります。
入浴中の体調管理
浴室内は湿度と室温が非常に高くなっているため、急激に体調が悪化する可能性がありますので、注意しましょう。
例えば、長風呂は避けるようにしましょう。
入浴後の注意点
浴槽から出るときには、ゆっくりと立ち上がるようにしましょう。
急に立ち上がると、脳の血流が低下し立ち眩みの原因になることがあります。
十分に、水分をとることも大切です。
まとめ
お風呂は、適切な温度と時間、入浴剤やマッサージの工夫を取り入れることで、冷え性を改善しながら脳梗塞リスクを下げる有効な手段です。
特に脳卒中後のリハビリ期間には、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療リニューロ®が推奨する神経再生リハビリ®などの再生医療と組み合わせることで、血流改善と神経機能回復をさらに高めることが期待できます。
冷え性を和らげ、脳を守るために、毎日の入浴をぜひ見直してみてください。
よくあるご質問
- お風呂で血栓を予防する方法は?
- お風呂で血栓を予防するには、適度な温度(38〜40℃)で10分以内の入浴が効果的です。
また、入浴前後にコップ1杯の水を飲むことで、脱水を防ぎ、血液の粘度上昇を抑えることができます。
さらに、浴室や脱衣所を暖めて温度差を減らすことで、血圧の急激な変動を避け、ヒートショックのリスクを低減できます。 - 脳梗塞の人は湯船につかってもいいですか?
- 脳梗塞を経験した方でも、医師の指導のもとで適切な入浴は可能です。
ただし、熱すぎるお湯は血圧の急上昇を招くため、避けるべきです。
入浴前後の水分補給や、浴室・脱衣所の温度管理を徹底し、安全な入浴を心がけましょう。
<参照元>
(1):浴槽入浴頻度と虚血性心疾患・脳卒中発症リスクとの関連|がん対策研究所 予防関連プロジェクト:https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/8486.html
(2):入浴関連事故の実態把握及び予防対策に関する研究|厚生労働科学研究成果データベース:https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/22685
(3):温泉療法とリハビリテーション医療.Jpn Rehabil Med.2018;55:997-1003.:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/55/12/55_55.997/_pdf
(4):フットマッサージが心身機能に及ぼす影響.日本感性工学会論文誌.2019;18(4):279-283.:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjske/18/4/18_TJSKE-D-18-00075/_pdf
(5):!入浴中の事故を防ぎましょう!|鳥取市:https://www.city.tottori.lg.jp/www/contents/1588248245730/index.html
・日本炭酸ヘッドスパ協会-炭酸泉について:http://www.sodaspa.org/carbonic.html
あわせて読みたい記事:脳血栓の原因から考える食生活と運動の重要性
外部サイトの関連記事:高血圧が脳出血を引き起こす仕組みを解説
コメント