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一過性脳虚血発作と脳卒中の関係

           

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この記事を読んでわかること

一過性脳虚血発作とは
一過性脳虚血発作の原因
一過性脳虚血発作の危険因子


一過性脳虚血発作は、脳卒中と同様の症状が一過性に起こるものです。
この発作は、通常数分程度しか続かず、麻痺などの障害を残すことは基本的にありません。
ただ、一過性脳虚血発作は将来発生する脳卒中の警告である可能性があります。
したがって、一過性脳虚血発作は将来の脳卒中に対する警告であると同時に、脳卒中を予防する機会にもなります。

一過性脳虚血発作の症状

プラークとは

血管のプラークができる様子と血流の流れ方


一過性脳虚血発作の症状は、通常数分程度で消失しますが、まれに24時間続くこともあります。
症状は、脳卒中の初期に見られるものと類似しています。
複数回起こることもあります。
つまり、体の片側のみの顔、腕、脚のまひやしびれ、言葉が不明瞭になる、目が見えにくくなる、平衡感覚が失われるなどです。

一過性脳虚血発作の原因

虚血性脳卒中、つまり脳梗塞と同じ原因であることが一般的です。
脳梗塞では、血栓によって脳の一部への血液の供給が妨げられます。
ただし脳梗塞とは異なり、一過性脳虚血発作では、血栓の閉塞は短時間であり、永続的な損傷は起こりません。
一過性脳虚血発作の根本的な原因は、脳に酸素と栄養を供給する動脈の1つにプラーク(動脈硬化)と呼ばれるコレステロールを含む脂肪性沈着物が蓄積することにあります。
プラークは動脈を通る血流を減少させ、血栓の発生につながります。

一過性脳虚血発作の危険因子

一過性脳虚血発作は、将来の脳梗塞を予防するチャンスでもありますので、変えることができる危険因子を把握することは重要です。

変えることができる危険因子

危険因子となる生活習慣からご紹介します。
まず喫煙習慣がある方は、禁煙をしましょう。
また運動不足の方はできれば毎日30分ほどの運動でリスクを減らすことができます。
塩分と脂肪の多い食事も、危険因子となります。
さらに飲酒量の多い方も注意が必要です。
また特に内蔵型肥満は、リスクが高くなりますので、適度な体重になるように生活を見直しましょう。
そのほか、高血圧の方、コレステロールが高い方、糖尿病のある方は、しっかりとコントロールしましょう。
心不全や不整脈をお持ちの方もリスクが高まります。

変えることのできない危険因子

家族の誰かが一過性脳虚血発作になったことがある場合、年齢が55歳を過ぎる男性で、また一過性脳虚血発作の既往がある方は、一過性脳虚血発作、そして脳卒中になるリスクが高くなります。
このような危険因子は、変えることができません
しかし、自分が危険な状態にあることを知ることで、他のリスクを減らすためにライフスタイルを変えようという気持ちになることができます。

一過性脳虚血発作の診断

一過性脳虚血発作の診断は、通常病歴が大切です。
合わせて身体診察として、視力、眼球運動、言語、筋力、神経反射、感覚器機能を診察します。
頸動脈の雑音があれば、動脈が硬化している可能性があります。
この場合、頸動脈超音波検査をすることがあります。
頭部のCT検査では、造影剤を使用する場合もあります。
CT検査では首や頭の血管の状態を評価することができます。
磁気共鳴画像検査(MRI)または磁気共鳴血管造影検査(MRA)は、強い磁場を使用し、脳の複合的な3D画像を生成することができます。
MRAは、MRIと同様の技術を用いて首や脳の動脈を評価しますが、血管に造影剤を注入して血管の状態を詳しく調べます。
このほか、血管造影を用いて脳の動脈を詳細に見ることもあります。
細くて柔軟なチューブ(カテーテル)を太腿の付け根から挿入し、造影剤を使用して脳内の動脈のX線画像を撮影します。

一過性脳虚血発作の治療

一過性脳虚血発作の原因に応じて、薬物、手術やバルーン手術(血管形成術)を選択します。

薬物療法

選択される薬剤は、一過性脳虚血発作の部位、原因、重症度、種類によって異なります。
抗血小板薬や抗凝固薬が、最もよく利用される薬剤になります。
これは一過性脳虚血発作を起こす際、血管内で血液の塊である血栓ができていることから、血栓をできにくくすることを目的に使用しています。

外科手術

頸部の動脈が中等度または高度に狭くなっている場合、頸動脈内膜切除術を行う場合があります。
この予防的手術は、再び一過性脳虚血発作や脳卒中が起こる前に、頸動脈の脂肪沈着物(プラーク)を除去するものです。
動脈を切開し、プラークを除去して動脈を閉じます。

血管形成術

頸動脈形成術またはステント留置術と呼ばれる処置が選択されます。
この方法は、バルーン状の装置で詰まりかかっている動脈を開き、小さなワイヤー製チューブ(ステント)を動脈に挿入して、動脈の開通を維持するものです。

まとめ

一過性脳虚血発作の原因や症状から治療法まで、詳しく説明をしました。
一過性に改善するために軽く見てしまう方もおられますが、脳卒中の前兆でもあります。
もし気になる症状のある場合は、ぜひ主治医にご相談ください。

よくあるご質問

一過性脳虚血発作の治療方法は?
基本的には内科的治療になります。
動脈から血栓が飛んだ可能性が高い場合にはアスピリンなどの抗血小板薬を、心房細動があり塞栓症が疑われる場合にはワーファリンなどの抗凝固薬が処方されます。
外科的治療としては、頸動脈に高度狭窄がある場合には頸動脈内膜剥離術や頸動脈ステント留置術が考慮される場合もあります。

一過性脳虚血発作ってどんな病気?
一過性脳虚血発作は、急性梗塞を伴わない、脳・脊髄・網膜の局所的虚血による一時的な神経学的機能障害と定義されています。
脳梗塞に似た症状を呈しますが、症状が持続した時間とは関係なく、画像診断などで梗塞巣が見つかったものは脳梗塞と診断されます。

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貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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