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パーキンソン病の振戦とは

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パーキンソン病の患者さんにおいて、最も多い症状は安静時振戦と呼ばれる症状です。
振戦とは、意図していないにも関わらず体がリズミカルに震えてしまう症状のことで、パーキンソン病の場合は安静時に出現するという特徴があります。
そこでこの記事では、パーキンソン病における安静時振戦の原因や対処法に関して詳しく解説していきます。

パーキンソン病における振戦とは

パーキンソン病の症状
振戦とは、自身で意図していないにも関わらず、手や頭、声帯、体幹、脚などの体の一部に起こる、不随意でリズミカルなふるえのことです。
振戦の原因は様々ですが、パーキンソン病では主に安静時に振戦が起こります。
そもそも、パーキンソン病とは「黒質のドパミン神経細胞の変性を主体とする進行性変性疾患」です。
難しい単語が並んでいますが、脳の一部である黒質と呼ばれる部位が徐々に変性し、本来分泌されるはずのドパミンが分泌されなくなる病気です。
ドパミンは脳内で神経と神経の情報伝達に関わっているため、ドパミンの枯渇によって神経間での情報伝達がうまくいかなくなり、様々な機能に支障をきたします。
中でも、錐体外路と呼ばれる神経系への影響が代表的です。
人間がなんらかの動作を行う際、脳からの指令が錐体路と呼ばれる神経系を通り、脳→脳幹→脊髄→末梢神経→筋肉の順に刺激が伝わっていきます。
例えば、「腕を曲げる」動作の場合は、錐体路を通った刺激が頸髄から分岐する筋皮神経を介して、上腕二頭筋の収縮を引き起こすことで、この動作が成り立っています。
しかし、よりスムーズな運動を得るためには、腕を曲げる筋肉の収縮だけでなく、同時に腕を伸ばす筋肉が弛緩している必要があります。
そこで、錐体外路と呼ばれる神経系が自動で働き、橈骨神経を介して腕を伸ばす筋肉である上腕三頭筋を弛緩させます。
このように、スムーズな動作には錐体路による筋収縮と、錐体外路による筋弛緩が同時に起こる必要がありますが、パーキンソン病では錐体外路が障害されることで、様々な運動障害をきたす訳です。
安静時振戦以外の代表的な症状として、筋固縮無動・寡動姿勢反射障害などが挙げられます。
振戦は、パーキンソン病以外でも様々な原因で引き起こされます。

パーキンソン病以外の振戦とは

振戦は、いつどのような状況で起こるかでいくつかに分類されます。
例えば、安静時振戦はその名の通り、筋肉が安静な状態にあるときに起こる振戦です。
ここでは、安静時振戦以外の代表的な振戦をご紹介します。

企図振戦

例えば、安静にしていれば問題ないのに、机の上のペンを取ろうとすると手が震えてしまう、など、ある目標物へ向かう動きが引き金となって起こる振戦を「企図振戦」と言います。
運動の協調性やバランスを司る小脳が障害されている場合に生じます。

生理的振戦

生理的振戦とは、誰にでもある程度みられる正常な振戦です。
例えば、精一杯手を伸ばしたり背伸びする際に、筋肉が小刻みに収縮して出現するふるえのことです。
アルコールの禁断症状やカフェイン摂取、甲状腺機能亢進症などで顕著に見られる振戦です。

安静時振戦とは

安静時振戦は、安静時に勝手に手や指がリズミカルに震えてしまう症状のことで、様々な原因があり、それに応じて対処法も異なります。
ここでは、安静時振戦の原因や対処法について解説します。

安静時振戦の原因

安静時振戦の多くは、パーキンソン病によるものです。
パーキンソン病では錐体外路が障害されるため、リラックスしている状態でも勝手に筋肉の収縮と弛緩が起こり、ふるえとして出現します。
また、薬剤の副作用や脳卒中、頭部外傷、ウィルソン病、ウイルス性脳炎などによって脳内のドパミン分泌に異常が生じる場合も同様の症状が出現し、これを「パーキンソニズム」と言います。

安静時振戦の対処法

安静時振戦が出現した場合、どのように対処すべきでしょうか?
結論から言えば、安静時振戦に対する対処法は原因によっても異なるため、原因をはっきりさせる必要があります。
パーキンソン病が原因であれば、パーキンソン病に対する薬物療法が第一選択となります。
なんらかの薬剤によるふるえを疑う場合は、原因薬剤を中止すべきです。
そのほか、脳炎や頭部外傷、脳卒中であれば、それぞれの疾患に対する治療を優先すべきです。
また、それ以外に理学療法や作業療法を行い、できるだけ体を活発に動かすことも症状の進行を抑える効果が期待できます。

まとめ

今回の記事ではパーキンソン病における安静時振戦について解説しました。
パーキンソン病に罹患すると最も高頻度で認められる症状が安静時振戦であり、安静時振戦の原因としてもパーキンソン病が代表的です。
パーキンソン病ではドパミンの分泌に異常を来し、スムーズな運動を行うために必要な錐体外路がうまく機能しなくなることで安静時振戦をきたすため、症状の改善にはパーキンソン病の治療が必要となります。
治療法は主に、薬物療法、理学療法、手術療法などが挙げられますが、進行性の病気であるため、症状の進行を遅らせることが治療の目的となっています。
しかし、近年では再生医療の発達も目覚ましく、パーキンソン病で障害された黒質の細胞が再生すれば、脳内でのドパミン分泌が再開する可能性があります。
再生医療では、自身の血液から抽出した幹細胞を増幅させ、再び体内に戻すことで脳細胞の再生が期待されており、将来パーキンソン病治療の新たな選択肢になる可能性が期待されます。

Q&A

パーキンソン病の振戦は治るのか?
パーキンソン病は進行性の病気であるため、現在の医療では基本的に進行を抑えることが治療の目的であり、根治できるわけではありません。
しかし、振戦が主症状の患者では進行が緩徐であることが知られていて、適切な治療を行えば、10年ほどは問題なく日常生活を送ることができます。

振戦の治療薬は?
治療の中心は薬物療法であり、第一選択薬はL-ドパ、ドパミンアゴニスト(ブロモクリプチン、カベルゴリン、ペルゴリド、プラミペキソール、ロピニロール)、抗コリン薬などが挙げられます。
また、補助的にリハビリテーションなどの理学療法を行うこともあり、症状が重い場合は手術療法も検討されます。

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貴宝院 永稔【この記事の監修】
福永記念診療所 再生医療部長 再生医療担当医師

ニューロテックメディカル代表 Dr.貴宝院 永稔

大阪医科薬科大学卒業
私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。

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